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中古車相場が決まる要因(2020年~)

国内販売向け相場

相場下落

国内向け販売の中古自動車相場は、私達の購買による需要と供給により推移します。

最近の記憶で新しいところですと、2020年春にコロナが初めて流行した時、人の動き、経済が停滞してコロナ特需関連以外の多くの株価は大幅に下落しました。

当時は未知のウイルスと流説に不安となり、人々の積極的な購買行動も無くなりました。

この時、中古自動車については20-30%程市場取引き相場が急落したのです。

行動制限がある状況で、新しい車を買おうという意欲と環境が無くなるので当然の事だと思います。

高級車を多数展示している中古車販売店では、保有しているだけで在庫の価値が3割目減りしてしまいます。500万円の中古車を20台保有していると3000万円が、、、とても辛い状況です。

この相場下落は長くは続かず数ヶ月程で元に戻っていきました。

株と同じで下落時に売却せず保有していれば含み損となり価格が戻った時に損失を無くせますが、当時の混乱初期は近い将来、元に戻る市況を楽観的に考える事は容易ではありませんでした。

相場高騰

次は相場高騰です。

コロナ禍が落ち着き、停滞していた経済活動が再開していくと、その急増する需要に狭めてしまった供給が追い付かずに様々な分野で供給不足による物とサービスの価格急騰現象が起きました。

航空機の便数が激減している事、世界中で貿易取引きが一気に再開した事により貨物船のコンテナ不足も生じ国際物流費が高騰しました。

オートランド東京ではALTEED社の自動車用パーツ、回転灯等を販売していますが、当時は20万円で輸入できた海上コンテナ貨物費が60万円以上になり大変な思いをしました。

中古車についてはコロナ禍行動制限の解除により控えられていた購買活動が再開し価格は元に戻り、需要増により車種によってはコロナ禍以上の相場となるものもありました。

それに加えて、世界的な半導体不足という問題が生じました。

これにより新車の生産が滞り発注しても2年待ち等の状況が多発、新車が購入出来ないのなら中古車を買うしかない、という環境となり車種によっては新車価格を上回る中古車も多くみられました。

以前のように年数が経つと下落していくのが必然となる中古車の相場は、需給バランスの混乱により乱高下をする見通しの難しい局面が続く事になりました。

海外輸出向け相場

海外輸出向けの中古車相場はどのような要因で変動するのでしょうか。

前述のように、コロナ禍経済停滞からの回復、半導体不足の要因は世界的な問題なので同じく影響します。

そのような不規則な要因に加えて、国内向け相場とは異なる要因の1つに為替の影響があります。

円安となり海外販売を行う新車メーカーが軒並最高益を計上している事が報じられていますが、中古車についても円安の影響がダイレクトに影響します。

例えば某国の中古車販売業者が自国で3万ドルで流通している日本車を販売利益経費を考えて2万ドルで調達輸入したい場合、1ドル110円ならば220万円の予算となりますが、1ドル150円の円安時には300万円の予算をもつことができます。

その為に積極的に日本国内で仕入れを行う事が可能となり、またそれは同業者も同じ事となるので日本国内の買い付け価格は競合し値上がりをする事になります。

かつてのような勢いは無いとしても、世界の中では輸出大国の1つである日本において、輸出時の為替の影響は皆様もよくご存知のとおりです。

そしてもう1つの要因として、輸入国側個別の特別な事情があります。

輸入国側の要因

日本車は世界中で新車販売されている人気車である事は言うまでもありません。

しかし、中古車については日本から輸出されている国はとても少ないのをご存知でしょうか。

まず1つの要因として、ハンドルの位置による問題があります。

日本では右ハンドル、左ハンドルどちらでも走行可能ですが、国によっては自国ルールと逆側のハンドルの自動車の走行を禁止しているケースもあります。

右ハンドルは日本以外にはイギリス、オーストラリア等ありますがとても少数なのです。

もう1つの要因として、日本車中古車の輸入を禁止している国の主な要因として、自国産業の保護があります。

しかし、自動車を生産できるメーカーを要する国は先進国を主に数える程です。海外のメーカーだけではなく、日本のメーカーが安い中古車を日本から輸出されると現地での新車販売に影響するという理由により、現地政府へ禁輸または高い関税かけるよう働きかけている、という側面も一部あります。

近いところですと大国中国へも中古車の輸出は行えません(第3国を経由して輸入されているケースも裏ではありますが)。

日本から中古車を輸出できる国は多いとは言えませんが、輸出国側の市況による需要の変動により、日本国内の中古車相場も影響を受ける事となります。
輸入国側の要因2 特別な事情

法律や自国産業保護等の要因をお話ししましが、それらは頻繁に変わる事の無い固定されたものとなります。

これとは別に、輸出国側の特異な状況により、特定の条件の国産中古車相場が高騰する事例もあります。

25年ルール/アメリカ

有名なところですと、アメリカの25年ルールというものがあります。

今回の記事内容はロシア向けが主題となる為に詳細は割愛しますが、右ハンドル車の走行が一切認められていないアメリカにおいて、新車製造から25年経過した自動車はクラシックカー扱いとなり、ハンドルの向き以外以外にも日本より厳しい排ガス検査等も免除となります。

その為、映画ワイルドスピードの影響もあり大人気の日本のスポーツカーが適法に輸入できる事となり、日本国内の中古車相場を高騰させています。

新車価格600万円程度の平成13年日産スカイラインGT-R(通称R34)最終型が業者オークション市場で3000万円以上の値が付く事もよく目にします。

若者の自動車離れが進むなか、走りを楽しめる中古スポーツカーは高級車となり手が届かず、ますます自動車への興味を持つ人が減るであろうこの相場高騰は良いのか悪いのか考えてしまうところです。

新政権誕生/ミャンマー

こちらはとても特殊なケースです。

10年以上前の話しですが、トヨタマークⅡの一部車種が国内市場で高騰しました。

数万円程度の解体車として流通していた中古車が、業者オークション市場で突然100万円以上の値を付ける事態になりました。

更に特異なのは、全てのグレードではなくJZX110型(通称110系マークⅡ)のNA車(ターボ車ではない)のみです。

また、外装色はパール系という謎の条件に驚いた事を覚えています。

聞いたところによると、ミャンマーで新政権が樹立され、それまで規制されていた中古車の輸入が特定条件のもとに緩和され、対象のマークⅡはそれまで政府関係者が多く使用していた為に許可が出る特定条件に該当した車種の1台との事。

その為にミャンマー国内では数百万円でも需要があるマークⅡを、関連業者が日本国内で買い集めた事により相場が高騰したようです。

余談ですが、突然の高騰と特定条件が重なる為にこの相場を直ぐに把握していない中古車販売業者も多く、変わらずに低価格で在庫をカーセンサーやgoonet等に掲載していた店は直ぐに売約済みとなったとの事です(情報を知ってオークション市場に出せば100万円以上になりましたが、、、)

また、この高騰により日本中の対象マークⅡがミャンマーに流れ過ぎて輸入規制がかかる事となり、最後の方に高く買い付けたバイヤーは痛い目を見たそうです。

経済制裁/ロシア

今日現在終結の見えないロシアウクライナ戦争。

ロシアは日本の中古車の最大輸出相手国です。

富山県や新潟県等の日本海側には多くのロシア向け中古車輸出業者が場を構えています。

ウクライナ侵攻により経済制裁を科す国が増える中で、日本政府も輸出規制を行う事になりました。

2022年4月より、600万円以上の新車中古車のロシアへの輸出を禁止しました。

これが制裁となり日本車中古車の輸出は減るでしょうか?結果は逆でした。

ロシアから日本車メーカーが撤退した事により、ロシア国内では新車調達が行えなくなりました。

その為、日本からの中古車買い付けが急増したのです。600万円という規制、これに該当する国産車の方がはるかに少なく、対外的に制裁していますアピールのような裏事情を感じてしまうところがあります。

SUV車等のロシアで人気の車種は市場相場が高騰しました。


そして、長引く侵攻と制裁の緩さも浮き彫りとなり、2023年8月から制裁強化されました。


日本政府は2023年8月9日、米国や欧州と足並みをそろえるかたちでロシアに対する輸出禁止措置を拡大した。「化学工業生産品」や「鉄鋼」「輸送用の機械およびその部分品」など合わせて758品目が輸出禁止措置の対象品目として追加された。

中でも「輸送用の機械およびその部分品」については、今回新たに排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)なども輸出禁止品目として追加された。ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア向けの中古自動車輸出は増加傾向にあったことから、今回の輸出禁止措置拡大は一定の影響があるとみられる。

※日本貿易振興機構JETRO、WEBサイトより抜粋

日本政府は輸出禁止措置を拡大、中古車も輸出禁止に(ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)

世界で最も高性能かつ人気の国産ハイブリッド車が全て禁輸となり、1800cc迄のガソリン車のみしか輸出が行えなくなりランドクルーザー等人気のSUV車も高排気量の為に禁輸となりました。

小排気量のガソリン自動車しか輸入出来なくなったので600万円の規制に比べて影響は大きい結果となりました。(制裁を科していない親ロシア国を経由する等、抜け道はあるようですが、、、)

最大の中古車輸出相手国であるロシアの影響は日本国内相場に大きな影響を及ぼしました。

また、不規則な状況により予想もつかない値動きをする車種も出てきています。
こちらに関しては次回の記事で紹介したいと思います。


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