Rider's Story あなたが遠い
割引あり
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス収録作品
高校卒業したら一緒にツーリングに行くという約束、あなたはまだ覚えていますか。落ち着いたら連絡する、と言って東京へ行ってしまってから、もう五年。一度も連絡はありませんでした。でも僕は一、二年前からあなたを知ることになりました。バイク雑誌や女性誌などで「大型バイクに乗るモデル」として登場し始めましたね。僕は今のあなたの様子を知ることができてうれしく思う反面、高校時代付き合っていた彼女が、今や手の届かない存在になってしまったようで少しさみしい。
俺はそこまで書いた手紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱へ投げ入れた。
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