関西コミティア71の出張編集部レポ
はじめまして、作者未詳と申します。
主に一次創作の少女漫画を中心に漫画を投稿している商業誌漫画家志望です。年齢はぎりぎりアラサーだと認めたくない、25歳です。26歳になったらアラサーという言葉を受け入れたいと思っています。
出張編集部に行こうと思ったワケ
漫画を描き始めたのは22~23歳ごろで最初は趣味にできたらいいなと思いアナログで描いていました。しかし、描いているうちに漫画の面白さに気づき、描く側としてもっと価値を感じてもらえる漫画を描きたいとおもい少女漫画雑誌に投稿し始めました。
結果は良くてもAクラス、最近はBクラスなどとあまり良い成績をのこすことができていないのが現状です。
しかし、結果はどうであれ、自分が納得できない限り改善することができないのがこの漫画というものの世界であります。
たとえば、編集者さんのいう、”わかりやすさ”というのは様々な意味がありそれを真の意味で書き手が理解できなければきっと改善されないことでしょう。投稿して批評シートとよばれる改善したほうがいいところが描かれている紙をよんでもいまいち言っていることがわからないということがあったので持ち込みや出張編集にいこうと思いました。
ちなみに持ち込みは描き始めてすぐに行ったことがあるのですが、あの時の私は人の意見を受け入れる度量がなく、持ち込みの後、約1年半ほど漫画を描くことができませんでした。それほど何かショックだったのだと思います。
漫画を描くこともそうですが、フィードバックをうけいれることにも同じくらい体力がいります。なので出張編集部に行ってまた描きたくなくなったらどうしよう、と考えていたのですが、今回は全然大丈夫でした。
おそらく、人に評価をされることに慣れてきて、作品の悪いところ=作者の人格否定という構図がなくなったからだと思います。最初のうちはどうしても、作品と自分自身を絡めてしまいがちですが、慣れてしまえば客観的に受け止められるのではないかと思います。
今回の出張編集部で持ち込んだもの
16P読み切り漫画 2本
16Pネーム
とりあえず2本ほど完成原稿を見ていただいたら現状が分かるのではないかと思い直近で描いた漫画をプリントアウト。
そして今描いている漫画のネームもプリントアウトして持ち込みました。
7社ほど回ったのですが、どの編集の方もほとんど全部見てくださりました。おそらくではありますが、16ページという分量が短いので2本とも見てくださったのではないかと予想しています。
本当は作品を公開したいと思っているのですが、まだ投稿した漫画賞の結果が出ていないため控えさせていただきます。
それでは行った順にもらったアドバイスを描いていこうと思います。
集英社マーガレットさん
編集さんは女性の方で、黒髪でかわいらしい雰囲気だったのを覚えています。年齢はおそらく同世代かそれより下かなという印象です。
良い点
キャラ付けが明確
言葉のセンスがある
モノローグでサクサク進んでいく
つかみはキャッチー
起承転結の起のわくわく感はある
コマ割りのセンスがある
改善したほうが良くなる点
デッサンが時々崩れている
瞳をもっと研究して描いてみる
線の入り抜きをもっと研究しましょう
服のしわをもっと研究しましょう
話の軸がわかりにくい
その思想に至った理由のエピソードがあればいい
見開きの右上に意外性のあるシーンがくるように調節しよう
これらの点を指摘してくださりました。
少女漫画雑誌さんの意見を聞けて大変勉強になりました。今思えば、ほかの編集部より作画面をきちんと見ているのかなという印象でした。
フラコミlikeさん
女性の編集者さんでした。あまりその方の印象を覚えていないのですが、雑貨屋さんの店員をしている家入レオさんのような雰囲気があったような気がしています。1日前の出来事なのにこんなに思い出せないものなのですね。
良い点
強そうなキャラデザがいい
キメどころの表情がいい
改善したほうが良くなる点
メリハリが弱い
見たかったところがズレていった
最後らへんに重要キャラを登場させるのではなく冒頭から出したほうが良い
服の素材をトーンなどで表現する
こちらの編集さんは具体的な漫画家さんを例に出して教えていただきました。話がズレていくという悩みを言うと、プロットの段階でズレていないか確認したほうが良いのではないかとおっしゃってくれました。
コミックグロウルさん
女性の編集者さんで、金髪と黒髪のミックス・・・アッシュっていうんでしょうか、そういうような髪型をされていました。
良い点
2本の漫画とも描きたいテーマは見えている
序盤と終わりの方はキャラが一貫してみえる
改善したほうが良くなる点
主人公の悩みが見えない
序盤でキャラクターが見えない
重要人物をだすのが遅い
設定を出すなら早めに
描きたいものが後半になっているので主軸を早めにみせる
読ませたいセリフと書き文字の重要度が同じくらいになっている
すべての線の強弱がおなじなのでもっと工夫する
集英社週刊少年ジャンプさん
男性の編集者さんでした。頭の回転早そうな人で、私の偏見ですが、サッカー部っぽい方でした。高校生の頃、同じ雰囲気をしたサッカー部の子がいたので完全に独断と偏見ですが・・・
良い点は一つだけ、絵に華が出てきているというところです。
記事を描いているうちに気づいたことではあるのですが、良い点ってあまりいわれないものなのですね。聞いているときは何とも思わなかったのですが、まとめてみると、こんなに分量に差があるのかと思いました。
あの、誤解してほしくないのですが意外と指摘のほうが私的にはありがたいと感じていて、私が求めているのは私が理解できる言葉で指摘してほしいという部分なので、もっといいところ言ってほしいなどとはあまり思いませんでしたし、実際には会話をしながらアドバイスをいただいているのでキツいなと感じることもないです。
それでは気を取り直して
改善したほうが良い点
ジャンルが分かりにくい
ネームが読みずらい
コマ割り構図を研究する
前情報がないのでどこでなにしてるかわからない
1コマ1情報でかく
主人公の好感度が低い
主人公が説教っぽくなってる
努力パートが少ない
応援したくなるキャラクターにする
キャラクターにモチベーションを持たせることで話の展開をつくる
デッサン力を鍛えましょう
モチベーションがあるんだけど見えにくい
話の軸とキャラのモチベーションを明確に
ジャンプって感じの指摘をしていただきました。特に、努力がないみたいなのを言われたときは本当に「おー、ジャンプだ!」と思いました。おそらくキャラの好感度や応援したくなるキャラづくりを求めている編集部さんなのでそういったアドバイスができるのかなと思いました。
やはりジャンプ作品は物語の分かりやすさが重要ですし、その点でアドバイスを聞きながら改善ポイントをつかめた気がします。
ナンバーナインさん
男性の編集さんでした。ダンス部にいそうな20代の方でした。
良い点
好きなことを描いているのが伝わる
フリとオチが利いている
話の初めの展開が分かりやすい
終わり方がよい
キャラクターの対比構造がよい
話の期待感がある
改善したほうが良くなる点
何を期待して読むのかを明確に
画面の細かい仕上げをしっかりしよう
読者にどんな感情を持たせたいのか明確に
話をしながら、なるほどと思った点があって、たとえば映画を誰かに進めるときに、これはこういう物語で、こういうところがおもしろいんだよねって説明できる、そんなふうに漫画でもどういう物語で、どういうところが面白いといえるのかを明確にしていけばいいと言っていました。
誰向けにかいて、何が面白いか、その作品の旨味を明確にすればもっとよくなりますというふうにおっしゃってくれました。
ナンバーナインさんで活躍されている作家さんは自分のファンを増やしながら活動していく方がおおいとのことでSNSなどで漫画家さんを探していると伺いました。また、WEB媒体なのでグレースケールで描かれているほうが多いようです。
集英社ココハナさん
男性の編集者さんで、20代くらいの方でした。語尾の声が低くなる話し方をされていました。俳優の戸塚純貴さんのような方でした、たぶん。
まんがmeeさんと同じブースにあって、ココハナさんのところが丁度空いていて、どちらか決まってますか?と聞かれ、どこでもよかったので見ていただきました。
私の勉強不足でココハナさんという漫画雑誌さんを知らなかったのですが、紙雑誌での掲載を目指しているので丁度良かったなという印象です。とてもきれいな絵柄が多い漫画雑誌ですし、着眼点も合致した感じがありましたので今度きちんと雑誌を買って参考にしたいなとおもいました。
良い点
最新のネームの作画が良くなってる
女の子のキャラがいい
1p目の読み方がわからない
適度にくすっとできていい
読後感がよい
モノローグのセリフはリアリティがあって良い
対比はしっかりできていた
情報の取捨選択ができている
改善したほうが良い点
セリフで強調している点を絵でみせる
出し惜しみはせずにみせていく
作品に合わせて指摘してくださいました。けっこう会話しながらアドバイスをいただいたので、箇条書きにできないところもあるのですが、私の作品全体を見て、暗いテーマから明るい話にする作品作りがうまくて、強みなのではないかと言っていただきました。
こちらの編集者さんが唯一、絵柄について言及されてました。猫目のキャラデザがうまいというか、急にうまくなっているとおっしゃってくれました。
コミックニュータイプさん
男性の30代ほどの方でした。荒川良々さんとユーチューブで動画投稿をしているバシャウマさんのような感じの方でした。口ひげだぁ、と思いました。
良い点
描きたいものが決まっている感じが伝わってくる
設定がキャッチーでわくわくして読める
見開き使ってるのよい、好印象
改善したほうが良い点
出し渋ってる感がある
もっと重要人物の絡みが欲しい
物語に関わる設定はわかりやすくかく
キメゴマで描けてるレベルの作画で全部描く
かきこみやベタを増やして情報量上げる
この編集者さんはなんかすっごく慎重に漫画を見られる方で、見てる途中も1ページ戻ってから読み進んだりしていたので、「これまじでめちゃくちゃ読みにくいって言われる可能性あるぞ」とびくびくしていたのを覚えています。
が、話しているととても作者の意図をくみ取ろうとしているかただということに気づきました。
あの、なんか見開きを作ってることにすっごく感激されました。少女漫画なので見開きを作るのは当たり前だと思っていたのでそういう点をほめてくださるのはうれしかったのと、その見開きのシーンが描きたいシーンであることが伝わってくるといってくださりました。
私自身は話を描くとき、冒頭部分とオチをかいてその中間を繋げるかんじでネームを描いているので、中盤が雑になってしまうという問題をかかえていました。
その点が今回多くの編集部で指摘されたところと合致しています。
その対処策としてプロットの描き方などを教えてくれました。
プロットを描く意味がわからなかったのでとても参考になりました。
出張編集部へ行ってみての感想
7社の編集部さんで見ていただいたところでタイムアップになりました。11時から15時までみっちりまわったのですが、もっと時間があればいいのにとも思いました。
基本的には空いているところに持ち込んでみる、というスタンスをとっていたので待ち時間が少ないところを中心に回っていました。意外と時間帯によっては少年ジャンプさんもすいていたりしたので、行きたい編集部がないのなら空いているところにもっていってみるのも良いのかもしれません。
ただ、ジャンププラスさんやマンガワンさんは常に混んでいた印象があります。WEB媒体での掲載を目指す方が増えたのか、間口が広そうな媒体だから持ち込んでいるのかわかりませんが、意外に感じました。
私はあまり漫画アプリを利用しないので、紙媒体や雑誌として載ってしまうほうがいいなと思ってしまうのですが、最近の漫画家さんは紙面であってもWEBであっても売れるものは売れていますので、そういう時代の変化もあるのかなと、邪推しました。
持ち込みに来ている方を観察してみたのですが、何歳かわかりにくかったです。おそらくほぼほぼ20代~30代、学生さんはあまりみなかったような・・・気がします。何人か話してみると、私と同じ25歳、26歳あたりのかたでしたので、女性はその年代層が多いのかな、と感じましたし、男性の方は本当に分からなかったです。
出張編集部にずっといたので全くコミティアの醍醐味である部分を楽しめずに帰りました。つぎはもっとまわってみてみたいです。
メンタル弱めの自覚がある人が持ち込むには?
私自身、打たれ弱く、アドバイスや結果を見るのが怖い部分があったのですが、覚悟を持ってからは変わりました。
どういう覚悟か、といいますと
目標です。
私なら、紙雑誌で掲載される、ですね。
趣味じゃなくて大衆向けに作品を発表するぞと決めたのでその過程で言われること、改善すべきポイントは直したほうが私にメリットがあると考えなおしました。
冒頭にも書きましたが、編集者さんの言葉は作品への批評であり、作者自身の否定ではないので、そこをはき違えず、分けて受け止めること、そして最後には慣れです。
圧倒的に人に見せる機会が少なかったのでへこんでいましたが、これからは商業誌でもっと多くの人に見てもらう機会を目指している立場ですので、かかんに人に見てもらおうというマインドに変更できました。
あと、落ち込んだら運動すればいいんです。
運動すれば心拍数が上がりますので、考えなくてすみます。シンプルですね。
でも、次の作品を描くとなったらやはり、メンタルがいい時に見てもらうほうが絶対今後長く描けるのかなとは思うので、うん・・・人によるとしか言えませんね。すみません。
感想に書くまでもない、徒然なるもの
ここからは食事中には読まないでいただきたいところです。
いいですか?
あの、今回の編集部の持ち込みを終えて、帰路に就く途中、編集さんたちと話していたことを思い出していたら唐突に
「あぁ、一本糞みたいなやつか・・・」
となんか、腹落ちしたのを覚えています。
あぁ、漫画の読み切りって一本糞みたいにかけばいいのね、と。
どういうことかといいますとですね、
初めから終わりまで一貫するということですね。
私は描き方的に最初と最後を書いて、その途中を埋めるみたいな感じで描いていたので、途中がダレたり、話のテーマが分かりにくかったりしていたんですね。
だからほとんど全部の編集部さんに話の軸について言及されました。
自分でもそれは改善せねばと思っていたのですが、今回の持ち込みでそれの改善法がつかめたのではないかと思っています。
それで一本糞についてですが、あの、皆様は快便ですか?
私は快便ですが、特に一本糞、つまり初めから最後までつるんと出てくれたうんこに嬉しさを感じます。
あぁ、腸内環境がいいんだな、と。
そういう一本糞って何がいいのかと言いますと、すっきりするじゃないですか、出した後。
一本で最後まで出てくれたから、コロコロうんこの時みたいにまた別の機会にトイレで排出する可能性がないですし、なによりトイレットペーパーが少なく済みます。その点で、拭いても拭いても心配してしまうあの、残便感が全くないというのもこのタイプの便のよさかと思います。
読後感がいい作品を描くというポイントにもつながりますね。やはり今の時代はあまり暗い話は避けたいところですし、私自身も救いのない話は苦手です。
なので、一本糞のように一貫した話の軸をつくること、そして一本糞を出したあとのようなすっきり感、読んでよかった感を意識して作ろうとおもいました。
ほんとうに下品な表現になってしまいましたが、普段からこういったことを考えているわけではなく、たまたまそういうインスピレーションが浮かんだだけ(・・・・だよな・・・・そうだと・・・信じたい・・・)です。
ちなみに余談なんですけど、わたくし、高校3年生まで、便意でおなかが痛くなるということを知りませんでした。
ある日、すごくおなかが痛くて、でもそういったもの理由が思い浮かばなくて、お母さんに相談したんです。
「おなかがめっちゃ痛いんだけど・・・どうしよう・・・」と。
すると母は、「トイレに行けば?」と言ったので私は疑問符を浮かべながらトイレに行きました。そして排便、そして驚き、
おなかが痛くなくなっていました。
当時の私は、おどろいて母に報告しました、「うんこしたらおなかが痛くなくなった」と。
母は笑っていました。そんなことにも気付かなかったのか、と。
思い返せば私は、便意をどうやって察知していたのかと考えてみたら、おしりに違和感、肛門あたりに異物を感じるときにトイレに行っていたことに気付きました。
私だけですか?これは・・・皆さんはおなかの痛みでうんこをしているのでしょうか?別に気になりませんが、そういうことを思い出しました。
駄文失礼します、またどこかでお会いしましょう。