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医大生で日本代表アスリート、二足のわらじ生活が限界を迎えたとき思い切ってやめてよかったこと【Only One Story#2】

「勉強も部活も頑張りたいけど、どっちつかずになっている気がして苦しい」
「仕事も運動も本気で取り組みたいのに、時間がなくて実現が難しい…」

現役アスリートのみなさん、
アスリートの卵のみなさん、
そして、スポーツを愛するみなさん、
こんな悩みはありませんか?

学校や部活で本気でスポーツに取り組んでいたり、社会人をやりながらアスリートとして活動したりしていると、どんな方でもこのような悩みに直面する場面があると思います。

「文武両道」を掲げてがんばっている方は多いと思いますが、それを実現するのは難しいことですよね。

筆者こと池田も、2年ほど医師をしながらオリンピック代表として活動してきましたが、文武両道を実現することは簡単ではありませんでした。
陸上にのめり込みすぎて成績が下がり、担任の先生に心配されたこともありました…笑

というわけで、今回は「文武両道」の秘訣を求めて、中畑友里(なかはたゆり)選手に取材をしてきました!「医学生」として勉学に励みながら、2021年より「フラッグフットボール日本代表」として活躍している若きアスリートです。

文武両道のスペシャリストである中畑選手に、医学部での厳しい勉強と日本代表としての活動をどのように両立しているのか、リアルな苦悩と実現のコツを語ってもらいます。

「競技者としての夢」と、「医療人としての未来」を追い続ける中畑選手の話が、あなたが抱える「両立」の悩みに新たな視点をもたらし、挑戦への一歩を後押しするきっかけになることを願っています。

仕事や勉学とスポーツの両立、あるいはなにかを両立しなくてはいけない状況で悩んでいる方は、ぜひこのまま読み進めてみてください!

【企画・Only One Storyとは?】
Only One Storyとは、他人とは違う道を歩む「アスリート」たちに焦点を当てたインタビュー企画です。医師として勤務しながら、オリンピック日本代表として活動した経歴を持つわたし「池田弘佑(いけだこうすけ)」が、ちょっと変わった経歴を持つアスリートを取材し、彼らの選択にある苦悩や喜び、その裏側にある「覚悟」を読者の皆さんにお届けします!
スポーツに興味があってもなくても役にたつ・楽しめる連載なので、こちらのマガジンからぜひご購読ください!(無料です!)

JAFA/Huddle

名前:中畑友里(なかはた ゆり)
所属:大阪医科薬科大学医学部医学科
競技:フラッグフットボール
ポジション:WR(ワイドレシーバー)
競技実績
 世界フラッグフットボール選手権 第3位(2024)
 アジア・オセアニア選手権 優勝(2023)
SNS:Instagram

ブランク直後に日本代表に選出された理由とは?

ーーフラッグフットボール(以下フラッグ)と出会ったきっかけを教えてください。

小学3年生の時に友達に誘われて、鈴原ファイティングローゼズという小学生チームの練習に参加したのがきっかけです。

フラッグフットボール
アメリカンフットボールのタックルを除いた、1チーム5人でプレーする球技。
選手は腰につけた「フラッグ」をとられるとプレーを止めなければならない。
楕円形のボールを相手陣地まで運ぶことで得点となる。
2028年ロサンゼルスオリンピックで初めて実施される予定。

ーー日本代表になられたのは高校3年生の3月だそうですね。中学高校でもフラッグをされていたのですか?

いいえ、中学高校の部活ではバスケットボール部に所属していました。
もちろん、フラッグを全くしなかったわけではなく、たまにプレーすることもありました。

受験が終わった後に、フラッグの代表選考会が開催されることを聞き、そのセレクションで代表に選ばれました。

ーー6年間バスケをして、そこからの日本代表…!それは驚きです。日本代表に選出されたのは、何が要因だったと思いますか?

2021年はなんで選出されたのかわかりません(笑)
2022年はキャッチ力、2023年はマンツーマンで勝てる、2024年は周りがよく見えているとのことでオフェンスリーダーをさせてもらいました。
注意されたことを修正するのが早い、とはよく言われます。

JAFA/Huddle

日本代表としての挑戦と成長

代表1年目こそベンチに甘んじていた中畑選手ですが、2年目からレギュラーを勝ち取り、2024年にはオフェンスリーダーを務めるまでになりました。
ここではその成長の軌跡を追っていきます。


ーー中畑さんの競技者としての強みを教えてください。

プレーへの理解力だと思います。
パスを通すために、相手の動きを読むだけでなく、味方の動きも考慮しつつ、自分がどう動くべきなのか考えながら走ります。

(クォーターバックからのパスを受けてゴールを目指す際に)ターゲットになってキャッチすることも好きですが、それと同じくらいターゲットになる人を作り出すことも好きですね。

JAFA/Huddle

ーー逆に、弱点はありますか?

精神的な弱さです。
コンディションが理想の状態でない場合や予想外の事態が起きた場合でも、変わらず最大限のパフォーマンスを出せる選手になりたいです。
そのために、日々楽しみながらトレーニングするよう心がけています。

ーーターニングポイントとなった試合はありますか?

私はほとんどベンチにいましたが、2021年の世界選手権、日本対アメリカの試合です。
アメリカは絶対王者的存在ですが、そんな相手に互角に日本は互角に戦えていました。世界王者とも渡り合っているチームメイトの姿を見て、私ももっと頑張ろうと思えました。
そこからは、キャッチの基礎をひたすら繰り返しました。

ーー前回(2024年)の世界選手権ではオフェンスリーダーもされ、日本は3位という快挙を成し遂げられました。勝因は何だったと思いますか?

戦略性の高さだと思います。
一対一では、スピードや体格の優れた方が優位となります。
そのため、海外の体格の良い選手と一対一で戦うことにしてしまうと相手が優位になってしまいます。
日本はそれを埋めるために、周りとの連携を上手く使うことを目指しました。

ーーさらに上を目指すために、日本代表として取り組むべきことは何だと思いますか?

強みである戦略性の高さをもっと磨くとともに、フィジカル面も強めていくべきだと思います。

JAFA/Huddle

「フラッグがもっと有名になってほしい」

ーーズバリ、フラッグの魅力を教えてください。

フラッグは、体格や運動能力などほとんどのスポーツでアドバンテージとなる要素だけで勝敗が決まるわけではありません。
思考判断力やコミュニケーション力を駆使してプレーを組み立てていくため、性別や身体能力に関係なく、誰もが活躍できるスポーツなのが魅力です。

ーー日本のフラッグの競技環境について、良い点や改善すべき点は何ですか?

フラッグは年齢や性別に関係なく楽しめるので、小学生チームや女性チームなど様々なカテゴリーのチームがあります。

一方で、改善すべき点は練習場所です。
日本代表の練習であっても、練習場所を確保するのに苦労しています。

また、フラッグをもっと身近に感じるような環境が必要だと思います。
アメリカでは、平日でもふらっと公園に行くとフラッグをやっていると聞きました。
日本のフットサルのように、気軽にフラッグができる環境があればいいなと思います。

JAFA/Huddle

医学部の勉強と日本代表を両立。しかし、その苦悩も。

ーー勉強と日本代表としての活動を両立するのは、並大抵の努力ではなし得ないことだと思います。最も大変だったのはどんなことでしたか?

時間がないことです。
勉強している時には、トレーニングした方がいいんじゃないかと不安になったり、トレーニングしている時には、勉強した方がいいんじゃないかと不安になります。

ーー時間がない中で、どんな工夫をされましたか?

できるだけ短時間で済ませるようにしました。
勉強もトレーニングも1、2時間でとりあえず区切るようにしています。

遠方で練習がある時は、移動の新幹線の中で勉強をしていました。

ーー両立が難しい中で、支えとなった人や出来事はありましたか?

ここでは挙げきれないほどたくさんの人にお世話になっています。
助けてくれる人のことを想うと、頑張らないとなぁと思います。

JAFA/Huddle

ーー現在、大学は休学されていると伺っています。休学された時の心境を教えてください。

休学を勧められたとき、大学生活もフラッグフットボールも、ギリギリの状態で両立していたことに気付きました。
朝なかなか起きられず、授業に毎日出席することが難しくなり、フラッグの練習でも思うように身体が動かない日が増えていました。

「どちらも全力で頑張るのは無理なのかもしれない」と感じることもありました。

ーー実際に休学されてどうでしたか?

休学はしてよかったです。
フラッグに専念して本気でやるかどうか決める時期になったかなと。

オリンピックと医師を目指して

ーーフラッグで学んだことはどんなことですか?また、それを将来の医師としてのキャリアにどのように活かしていきたいですか?

コミュニケーションを取って周りを知ることの大切さです。
1人のルートが少しズレるだけでプレー1つが崩れたりすることもあります。
なので、1つのプレーに対して何回も話し合い調整していきます。
また、上手く進まない時に、相手がどういう動きをしているのか情報共有をして作戦を立て直したりします。

まだ現場に出たことはありませんが、医療現場でも周りとの連携が大切と聞きます。

JAFA/Huddle

ーー逆に、医学で学んだことがフラッグに活きたことはありますか?

医学における学び続ける力が、フラッグにおいても新しい見方やスキルを積極的に身につけようとする姿勢に活きているかもしれません。


ーー今後の目標を、フラッグと医学の両方の点から教えてください

オリンピックの舞台で、思考力を武器にプレーする姿を見せることで、運動に自信がない人でもフラッグを始めるきっかけになってほしいです。
また医師としては、スポーツを頑張るアスリートに寄り添えるような整形外科医になりたいです。

ーー最後に、同じように多忙な生活を送る人やアスリートにメッセージを!

なんでこんなに頑張っているんだろうと思った時にはもうなにかしらのSOSかもしれません。
私のように遠回りしても、少し立ち止まってみても大丈夫なので、頑張る理由を忘れないように自分で選んだ道を進んで行ってください。
応援しています。

JAFA/Huddle

あとがき

医学生アスリートとして世界の舞台で活躍する中畑選手。

順風満帆に見えるそのキャリアには、見えない努力と苦悩がありました。
現在は来年(2025年)に中国で開催されるワールドゲームズに向けてフラッグに専念されています。
さらにその先には2028年のロサンゼルスオリンピックを見据えているそう。

医学生アスリートが世界の舞台で戦う姿はきっと多くのファンを励ましてくれるはず!
応援しています!


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↓このnoteを書いた人↓

<池田弘佑(いけだこうすけ)>
医師。東京2020日本代表(陸上・リレー)。鳥取県在住。学業が忙しい、指導者がいない、練習相手がいない、練習場所がない、そんな選手に向けて限られた環境で競技するノウハウを発信しています!

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池田弘佑(Kohsuke IKEDA, OLY)
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