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モロッコ/ アル・ハウズ地震について

9月9日朝

「昨夜マラケシュで地震があったけれど私たちは無事です」

とのメッセージがマラケシュから届きました。
モロッコでは、1960年代にアガディールで12000人が亡くなる大きな地震があり、私が暮らしていた時も、地中海沿いの町、アル・ホセイマで一度ありましたが、マラケシュで地震が起こるとは誰も想定していませんでした。すぐに頭に浮かんだのは、あの耐震性など全くなさそうな家やアパートは大丈夫なのか、ということ。

彼女によれば、アパートの中の被害はそこまでなく、キッチンの壁の、もともと緩んでいたタイルが数枚落ちたのみ。一瞬停電したのちにすぐに復活し、壁際に積んであった子供のおもちゃも崩れていなかったそうで、「珍しいけれど地震かな。みんな外に出ているみたいだから、私たちも出ようかな。そういえば、この建物大丈夫なのかな」という感じ。まさかここまでの大惨事になるとは思ってもいなかったそうです。

一報を受け、SNSを確認したところ、マラケシュの旧市街やホテルなどから逃げる人々の様子、大きく揺れるクトゥビアモスクなどの動画が出てきて、当初はマラケシュで被害が大きかったのかと思いましたが、マラケシュで被害が大きかったのは、旧市街のごく一部、メッラー地域を中心とする一角で、マラケシュ全体としてはそこまで被害は無かったそうです。(当初、マラケシュとしてSNSにシェアされていた倒壊したアパートなどの写真は、アスニなどの別の街の写真でした)

https://en.wikipedia.org/wiki/2023_Marrakesh-Safi_earthquake#/map/0 より)
本震及び余震マップ。数字はマグニチュード。
(https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us7000kufc/map)より
(地震前の写真です。マラケシュ以南のアトラス山中には、写真のような小さな集落が無数にあります。山肌に沿って住宅が作られ、家畜を飼い、道を挟んだ向こう側には畑や果樹があるというのが、典型的なこの辺りの集落のスタイルです。集落へ通じる道は、非常に狭く、徒歩かロバでしか入る事ができません)

被害が多かった山間部

今回の地震で最も被害がひどかったのは、マラケシュから70キロほど離れた震源地近くの山間部でした。

9月11日午後8時現在の死者数は、合計2862人。行方不明者の数は公表されていませんが、まだ瓦礫の下で救助を待つ人が多数いるとのこと。また、今回の地震で家屋を失ったり、影響を受けた人は30万人に上ると想定されています。

主要地域の死者数
アルハウズ地域(アトラス山間部)1604人
タルーダント 976人
シシャワ 202人
ワルザザート 41人
マラケシュ18人

震源地であるアルハウズ地域は、アトラス山中に村や集落が点在する地域。
日本人の観光客にはあまりなじみのない地域ですが、この地域には昔から数百人単位の小さな集落が多く、彼らは日干し煉瓦や煉瓦、ブロックでできたシンプルな家に住み、自給自足に近い酪農を行なってきました。
地域の女性たちは、ボシャラウィットという古布、古着を使ったカラフルなラグを織ることで知られており、私も何度か、細い山道を登りラグを買い付けに行ったことがありますが、二車線の山道から、一車線しかない細い舗装道を進み、さらにいくと四駆がないと難しい無舗装道に入り、最後は徒歩で村までたどり着きました。

地震前の写真です。

平常時でもかなり難しい道ですが、地震後の落石や落岩で道が遮断されているところが多く、援助が困難だとのこと。少し大きな町である、アスニには軍による移動病院が設けられ、ヘリによる救助活動が行われています。一刻も早く1人でも多くの方が救出されることを祈っています。

マラケシュの様子

マラケシュでは、旧市街の一部の地域で住宅が崩れたり、壁にヒビが入ったり、バルコニーが落ちるなどの被害がありました。地震の当日、翌日は建物の崩壊を恐れて外で寝る人で溢れていたようですが、地震から数日たち、月曜日にはほぼ平常通りの日々が始まっているようです。在住のスタッフや友人によれば、レストラン、カフェ、スーパーなどは普通に営業されており、学校も通常通り。普段は観光客で溢れるスークの人通りは少ないものの、9割がたの店は普通に空いているとのこと。

当初、マラケシュが壊滅的な被害を受けたように報道されたため、今後の旅行客キャンセルが増えることが心配されていますが、10月にマラケシュで予定されている世界銀行の会議も開催されると発表されました。

マラケシュの被害はそこまで大きくありません。また、人気観光地であるシャウエン、タンジェ、フェズ、メクネスなどの北部、メルズーガなどの南部の町は震源地からかなり離れているために、地震の影響はありません。


寄付の受付先

地震から数日たち、人々の関心は、被害が大きかった地域への支援に向かい、献血、募金、支援物資の輸送などが盛んに行われています。

今回の地震で家を失うなど影響を受けた人の数は30万人を超えると発表されています。この記事をお読みの方の中には、モロッコ雑貨のお買い物や、モロッコ旅行で、モロッコを身近に感じていらっしゃる方も多いと思います。
寄付をご検討の方がいらっしゃいましたら、下記の非営利組織もご検討ください。

ヴァージングループのオーナー、リチャード ブランソンの母親、エヴァが創設した非営利組織Eve Branson Foundationの寄付受付窓口です。
90年代から震源地近くのアスニで女性の職業訓練などを行って来た非営利組織なので、最も援助を必要としている被災地に届くと思います。
「モロッコ地震の救援とアスニ渓谷の復興活動を支援します。当初、この基金は、食料、燃料、きれいな水、医薬品、避難所などの家族の当面のニーズを満たすのに役立ちます。その後、基金はニーズの変化に応じて、被害を受けた住宅の修復やインフラの再建などのプログラムを中心に、影響を受けた地域の復興活動に重点を置くことに移行します​​」(寄付受付ページより引用)

Eve Branson Foundationの詳細についてはこちら。

Amal

マラケシュの恵まれない女性の自立を促すための非営利組織。マラケシュで最も美味しい家庭料理を食べられる、という評判のレストランで有名ですが、今回の地震の被災者向けの募金を募っています。



地震前のモロッコの山あいの村の風景

最後に。地震の報道で、モロッコの田舎を初めてご覧になった方も多いと思います。彼らが、地震前にどんな暮らしをしていたのか、をイメージしていただけるような写真をシェアしたいと思います。
(アトラス山中の同じような田舎の村や集落の写真です。被災地とは限りません)

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