見出し画像

Radio won't even play my jam?

Radikoタイムフリーで、『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』を聴いた。都内の銭湯に行ってた。「死にかけの婆さんに念仏を唱える」という激烈に面白いギャグこそなかったけど、まあよかった。
 
さて、何年前だったか? 西新井かどこか失念したけれど、とにかくどこかにマムシが訪れた。うろ覚えで申し訳ないが、見物客の若い男とこんなやりとりをしていた。

「お前、一人か? スーツなんて着て。ネクタイ、一人で結べるのか? 生意気に髪の毛キレイにしやがって」
こうやって、マムシが若い男性をイジった。
「あ、ま、はい、一人で結んで……」
若い男はオドオド応じたんだ。
そこにマムシが追撃する。
「何持ってんだよ、これ?」
「マムシさんと会えることを楽しみにしてて、記念にと思って、録音機を」
「バカヤロー、生意気なことしやがって! で、お前、一人で来たのか? 一人で来れたのか?」
「迷ってしまって、人に尋ねて連れて来てもらいました」
「バカ! いい年して一人で来れねえのか! それにしてもここまで連れて来てくれるいい奴がいるもんだねえ」
 
終始笑いを交えながら、こんなやりとり。

恥ずかしながらこの時点では気付かなかった。オドオドしてる若者をマムシがいじってる、それだけだと思った。曲が終わって他の見物人に話しかける。そしてコーナーが終わる寸前、マムシがその見物人に言う。

「よかったね、俺に話しかけてもらって。近くに白い杖を持ったお兄さんがいなきゃ話しかけてないよ」

そう、マムシがイジッていた男性は目の不自由な方だったわけ。マムシの口から白杖のことが出るまで気付かなかった自分を、ダサいと思った。
ラジオは耳のメディアだ、それを忘れていた。でもま、忘れるぐらいぼんやり聴いていたってことで、それってラジオの本領発揮じゃん?


王ケイ

いいなと思ったら応援しよう!