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ブックショート『シコメとネグセ』
載せ忘れていたので載せます。
ブックショートアワード2022年度8月優秀作品『シコメとネグセ』です。井原西鶴の『八百屋お七』と島崎藤村の『破戒』をモチーフにしていますが、本当は木山捷平の『メクラとチンバ』をモチーフにしています。しかしパブリックドメインになっていないので、『八百屋お七』と『破戒』ということにしました。
バカバカしい恋愛物語です。ぜひぜひお読みください。
ちなみに木山捷平の『メクラとチンバ』に関して、評論家の呉智英私がこうおっしゃっています。
木山の名詩一篇が現在は読むことはおろか、論じることも憚られている。現代表記に改めて全文紹介する。
差別的言葉多いがためにこんなことになっているわけです。さて、ここで木山捷平の『メクラとチンバ』を掲載しましょう。他のサイトでも読めるので、著作権なんて気にしません。
お咲はチンバだった。
チンバでも
尻をはしょって桑の葉を摘んだり
泥だらけになって田の草を取ったりした。
二十七の秋
ひょっくり嫁入先が見つかった。
お咲はチンバをひきひき
但馬から丹後へーー
岩屋峠を越えてお嫁に行った。
丹後の宮津では
メクラの男が待ってゐた。
男は三十八だった。
どちらも貧乏な生ひ立ちだつた。
二人はかたく抱き合ってねた。
AUskeえいゆうすけ