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【『藤子・F・不二雄がいた風景』を読んで】
こんにちは。バナナ星です。
11/29に発売された『藤子・F・不二雄がいた風景』を読みました。
ネタバレになるので詳しい中身にはあまり触れませんが、読後の感想を書きます。
値段・外装
お値段は税込4,400円。
タイトルだけ見て「欲しい!」と思い書店に行ったが取り扱いがなく、出版社取り寄せになった。そこで初めて値段を知った。
思いの外、高い。
しかし、実際に本を手に取ると、値段に納得がいった。
まず、サイズが大きい。B5サイズ。芸能人の写真集くらい大きく分厚い。
また、外装も立派だった。重厚な茶色い表紙と、中のページも厚紙チックでしっかりしている。
内容については後述するが、外装・内容含めて満足感が高かった。
内容について
この本は4つの章で構成されている。
第1章「Biography」:藤子・F・不二雄生誕から、年代ごとに足跡をたどる。数々の名作誕生の背景を徹底紹介。
第2章「Memories」:伝説のトキワ荘で日々を共にしたアニメーターの鈴木伸一・まんが家の水野英子や、当時の担当編集者・アシスタント、初期ドラえもんアニメのプロデューサー、初期映画ドラえもん監督など、当時の関係者が語る、藤子・F・不二雄。
第3章「Works」:筆跡が色濃く残る原画を中心としたイラスト集。作品構想メモや下絵も掲載。のび太の未来の姿が描かれた「45年後」も1編まるまる掲載。
第4章「Favorite」:藤子・F・不二雄の好きなもの特集。仕事道具、本棚、世界旅行記、家族との思い出などを徹底取材。
第1章では、F先生の生い立ちや漫画家人生を概観できる。
第2章では、第三者(トキワ荘同居人や編集者など)から見たF先生が綴られている。
第3章では、原画のコピーを隅々まで堪能できる。
第4章では、F先生の趣味や私生活が垣間見える。
私は藤子・F・不二雄ミュージアムやふるさとギャラリーに行ったことがあるため、F先生についてはある程度知っていた。
しかし、ミュージアムだと集中して展示物を見ることができない場合もあるため、改めて活字情報をじっくりとインプットできて学びになった。
また、第三者から見たF先生は人によって少しずつ特徴が異なり、人間らしさを感じた。
寡黙だったり、雄弁だったり、新史的だったり、無邪気だったり。
F先生と直接お会いしたくなった。
原画のコピーも、ミュージアムだと額縁やガラス越しで距離があるが、
この本ではほぼゼロ距離で堪能できる。
とんでもなく細かい描き込みばかりで感動した。
そして、改めてF先生の描くドラえもんが一番好きだと感じた。
アニメのドラえもんも映画のドラえもんも二次創作のドラえもんも全部好きだが、F先生のドラえもんには懐かしさと安心感と愛が凝縮されている。
また、F先生が多趣味なことは知っていたが、それがどのように作品に活かされてきたのかを感じ取れた。
作品のために何かをしていたのではなく、たまたま好きだったもの・経験したことが言語化できないレベルでアイデアに転じてきたのだと思う。
さまざまなエピソードを通して感じたのは、
F先生の寛容さと溢れ出るエネルギーであった。
総じて愛されるお人柄だったのだと思う。
なぜドラえもんがヒットしたのかについて語る部分で、のび太がとことんダメダメで成長しないからだという話があった。だからこそ大勢の共感を呼ぶのだと。
それは、F先生自身にも当てはまるのではないだろうか。
「ぼくはのび太でした」というように、F先生はのび太に自分を投影している。
そののび太は世界中の人々の共感を呼ぶ愛すべきキャラクターである。
ということは、F先生自身も周りから愛される人物だったはず。
実際、編集者やご家族のインタビューから先生への愛が伝わってきた。
今まではF先生のことを
・ドラえもんの生みの親である
・とても漫画が上手い
・アイデアが秀逸
といった理由で尊敬していたが、この本を読んで、人柄や生き方に尊敬の念を抱くようになった。
改めて、ドラえもんを好きになれてよかったし、ドラえもんを通してF先生に出会えてよかった。