2024年 べストアルバム
今年はフィンランド音楽以外の新譜もたくさん聴いたので、フィンランド音楽以外を対象としたベストアルバム記事を作ってみました。
フィンランド音楽版は追って投稿します。
Ulver 『Liminal Animals』
Ulverの作品は基本的に内向きな、自分の心の深い部分でふわ~っと浮かぶような内容という印象なんだけど、本作は非常にポジティヴな外に向けたエネルギーを感じました。つまりポップ。でも彼らならではの陰の部分はしっかり残していて、新鮮でありつつもUlverらしさも感じられる作品でした。
Ihsahn 『IHSAHN』
どの曲もかっこよすぎる。尖りに尖った暗黒の音なんだけどこちらのテンションはぶち上がる。ロックな音とストリングスの絡みにMr.Childrenの『SOUNDTRACKS』を感じました。
Opeth 『The Last Will And Testament』
とにかく音が良すぎる。新メンバーのフィンランド人のドラマーの音がとてもかっこいい。かなり複雑なことをやっているはずなのにどの曲もすんなり聴けてしまうかんじはむしろ怖い。そういう意味ではOpethはWeather ReportやReturn to Foreverに近い存在なのかも?
aiko 『残心残暑』
2020年以降のaikoは作品を出すごとにどんどん良くなっているというのはこのnoteやXで散々語ってきたんだけど、本作も相変わらず絶好調だなと感じました。アルバムの中で、Clairoあたりのメロウなポップスの割合がかなり増えてきているんですよね。つまりは完全に私好みの方向に向かっていってくれていて、もうただただ「ありがとう!」って気持ちです(『blue』をはじめて聴いたとき、嬉しすぎてガッツポーズしました)。間違いなく、現時点でのaikoの最高傑作だと思います。
official髭男dism 『Rejoice』
今のヒゲダンに適う相手は存在するのでしょうか。そのくらい完璧なポップアルバムを彼らは生み出してしまった気がします。アルバムとしての流れを非常に意識した(途中で聴くのをやめる、といったことをさせないような作り)全編最高なのだけれど、1曲目~4曲目の流れが特に素晴らしい。次から次へと名曲が飛び出してくるのに寄せ集め感や聴き疲れをさせず、聴き終わったあとに妙な達成感を味わわせてくれる作品だと思います。
柴田聡子 『My Favorite Things』
Nick Drakeは『Bryter Layter』よりも『Pink Moon』。柴田聡子は『Your Favorite Things』よりも『My Favorite Things』。なんとも切ない気持ちにさせてくれるメロウな音は、誰かといるときにBGMとして流してもとても心地の良い音で、ふと何か流したいってなったときに聴いていました。
MONO 『OATH』
最終的に一番大切なものは愛。時間は有限。誰しも平等に死はやってくる。なので一日一日を大切に過ごすこと。日々当たり前に思っていることに感謝すること。自分と関わってくれている人を最大限リスペクトすること。そのようなことを、このアルバムから教えてもらったような気がします。
Clairo 『Charm』
全曲最高にソフトなポップスなので、誰といてもBGMとして流せる。そんな風にラフに楽しむこともできるし、じっくり聴き込めば洗練された音のひとつひとつに気付けて更に楽しい。全てがちょうどいい塩梅というか、多くの人が楽しめるように強く意識して作ったアルバムなのかな。その上で聴き終わった後に心に切ない気持ちを残すのはaikoの作品と似ている。フジロックで観たいです。
toe 『NOW I SEE THE LIGHT』
toeの作品とここまで向き合ったのは何年ぶりだろう。『the book about my idle plot on a vague anxiety 』を出した頃のtoeはとにかくクールで、かっこいいバンドってイメージだった。しかし本作を聴いて、今のtoeは、そんな時期を越えて、儚さとか、虚しさみたいなことにフォーカスしたバンドに変わったのかなという印象を受けた。そのような、掴んだらふわっと消えてしまいそうな、それでいて存在感のある音に魅かれ、うだるような夏の暑さの中ヘッドホンして何度も聴いた。ワンマンライブがあれば観たいです。
SUMAC 『The Healer』
自分たちの中で自分たちだけのルールがあって、そこを極限までブチ切れながら追求していったら最終的にマイルスの『Get Up With It』くらい過激な作品が誕生したかのような作品。こちら側の、周りに左右されない強固な集中力が必要な作品だけど、そこまで集中して聴くのはとても楽しい。ながら聴きしてはならないなと思いました。