届き方と届け方
私が作る作品は全て手作業で行い、他の誰の手を介する事なく一人で完結しています。
作品を作る道具まで全て手作りです。
一織り、一織り丁寧な仕事をしていかないと、確実に良いものなんて出来ないのです。
きちんと向き合って、考えながら手を動かさないと作品にはならない。
私は手を動かすだけの作業の果てに出来上がったものではなく、「ちゃんと考えて、頭の中でイメージしたものを可能な限り作品として再現するんだ」と常々気をつけています。
さて、前置きが長くなりましたが、
そういった心持ちでいつも臨んでいる訳ですが、なかなか腕が付いて行かず、焦ったり時には落ち込んだり、一人で制作から運営、広報など全てをまかなっているものですから、不安はいつも付きまといます。
そう言った時に心からやっていて良かったと思うのは購入者などの顧客の存在ですね。
今でも心のこるエピソードをつづります。
2018年の12月にライフスタイルショップ 長月さんで作品の展示販売・オーダー会を行いました。正直かなりの遠方なので、どのくらい人が見に来てくれるかとても心配だったのですが、同時開催したワークショップも無事盛況に終えることができました。
Aura loomとして活動し始めのころにwebshopで作品を購入してくださった方がこのイベントを知り、お店まで足を運んでオーダーをしに来て下さいました。 その時私はおりませんでしたので、長月さんにヒアリングをしてもらい、オーダーを承りました。
今回のオーダー受付方法は、「希望のイメージの写真を見せてもらい、その写真をモチーフにしデザインはお任せで作らせてもらう。」というものです。
写真そのものを複製するのではなく、Aura loomのエッセンスをフィルターにして、作品を作るというもの。 できてからのお楽しみなので、けっこうドキドキでした。(え、私が?でしょう。そう私が、なのです。)
今回なんとそのモチーフは赤ちゃんの写真。とても可愛くてふわふわで愛らしい姿です。
この天使のようなお子様の一歳のお誕生日の記念にとの事でした。その記念に立ち会えるのもとても光栄で、嬉しい事でした。
写真を介して、赤ちゃんを見つめる優しい眼差しを感じられますね。
私も一人の男子を育てているのでこの写真を見ては当時の懐かしさやら大変さを思い出しだし、一織り一織り丁寧に作りました。
赤ちゃんの時ならではのあの淡い色合いを大事に、模様はほんのり空色を混ぜてました。これからの時代を生きていく世界はきっと優しさに溢れているからと、私なりのメッセージとして作らせて頂きました。
そして以前購入頂いた作品に使った糸がほんの少し残っていたので、ちょっぴり混ぜました。
写真右端の下の白いものです。
こうやって見ると本当に初期から見てくださってるんだな…と感じ入ります。
そして、どの糸かは私と、もし気づいたとしたらオーダー主さまのみ分かる演出としました。こっそり混ぜたので敢えてお伝えせず、長月さんへ納めさせて頂きました。
後日、手元に届いた旨の連絡を頂戴した際には、糸の事もちゃんと気づいて下さってました。(お写真の掲載も快諾してくださり、さらに感謝です。)
実際、私とオーダー主さんは一度もお会いした事がないのですが、様々なつなぎ目で、とても近くに感じるのことが出来ました。 遠方だったけど、イベントをして良かった。 本当にそう思いました。 ハブとして作品を繋いで下さった長月さんにも感謝致します。
素敵なお店です。 noteも書かれていますよ。
結びに、インターネットという地理的な条件の壁を乗り越え人と人、人とモノの出会いが生まれ、物流という仕組みがあるからこそ物質も安心して届ける事が出来ること。
そして、お店という媒介者・代弁者があることももちろん忘れることはできず、どこを経由して届けられるかというのも今後ますます大切になってくるのではないかな、と一作家はぼんやり思うのでした。
サポートは個展の費用や学費・研究のための書籍の購入として大事に使わせて頂きます。他、応援してるアーティスト・作家のサポートにも使いたいです。