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ロディ・フレームとギブソンのアーチトップ

冬になると思い出すのであるが、僕がギターコードワークで最も好きなのがAztec Camera ”Walk out to winter”のイントロである。

コードをネットで調べて貼り付けるとこのようになる。
|E|D|C#min7|A#min7-5|
|Amaj7・D#min7-5|G#min7・C#min7|C7|B7|

スリーコードしか知らないロック少年は顔を顰めそうだ。ちなみに最初のEは12フレットのバレーコードである。カッタウェイのついたギターじゃないと押さえられない。18歳のギター少年はGibsonのアーチトップでこれを一生懸命考えたのだろう。当時のインタビューを覚えているのだが、ファーストアルバムのレコーディング中に感極まって泣き出してしまったという。こんなにかっこいいコード進行を発明しちゃったのだからそれも大袈裟な話ではないだろう。

この歌の「壁に貼った(ジョー)ストラマーのポスターが剥がれかかっているけれど、代わりに貼るものも思いつかない」という歌詞は有名だ。「冬に歩き出そう」というタイトル自体が、ポストパンクの新しい時代を念頭に置いていたもののはずだ。その行き先は実際には希望溢れるものではなかったし、本人のその後の音楽キャリアも輝かしいものにはならなかったけれど。

この映像は初めて観た。バンド全員ダサいジャージみたいなのを着ている。意外とちゃんと演奏している。コーラスのお姉さんが妙に大人っぽくて似合わない感じで面白い。ロディが弾いているのはGibson ES-175ではないだろうか。

□Aztec Camera - Walk Out To Winter (OGWT)

この曲が入っている一枚目の「ハイランド・ハードレイン」は1983年の発売。このアルバムがあまりにもキャッチーで感じが良かったので、続く1984年に発売された「ナイフ」は世間的にはあまり評価されていないような気がするが僕は大好きだった。プロデューサーはなんとマーク・ノップラーである。渋すぎる。二枚目は一気に大人びた感じがするが、この時まだ20歳の青年である。ファーストから一年後のアルバムなのにものすごい音楽的な進歩があるように思う。二十歳くらいの才能ってほんと爆発的なのだ。

シングルカットされた「オール・アイ・ニード・イズ・エブリシング」のイントロのギター、16分音符でテケテケと小刻みにピックする元オレンジジュースのマルコム・ロスのギターが革新的だった。こちらもうちょっといい解像度の動画がないものかと思うが、時代を感じてしまう。

□Aztec Camera - All I need is everything

そしてそのB面で当時ヒットした、あのヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」をカバーしている。アコースティックなスローなアレンジで原曲を半分バカにしたようなカバーだったが、単にばかにしているわけではない。どこかのインタビューで言っていたが「あの曲はルー・リードのスウィート・ジェインのコード進行と同じなんだ。かっこいいでしょ。」と。

その「ジャンプ」のスペインでのライブ映像。曲終盤のギターソロが青春な感じで見てる方が少し照れてしまう。

□Aztec Camera - Live La Edad De Oro - Jump

アーティストの使用ギアのデータベースサイトで調べるとロディ・フレームのギターは、
・Gretsch G6196T Country Club
・Martin D-45 Acoustic
・Gibson ES-175
・Gibson ES-295
などである。
きっとギブソンのアーチトップが好きなんだろう。このES-295は1952年から1959年までしか作られていないギターのようだ。Reverbなどで調べても全然出ていない。1954年製がナント240万円で出てくるのみ。

こちら2013年のライブ映像。ちょっとおでこが後退しているけど全然変わらない。ちょうどデビュー30年だから49歳くらい。冒頭本人が説明していますね、弾いているのは1953年製のGibson ES-295とのこと。

□Roddy Frame - Walk Out To Winter - Theatre Royal, Drury Lane 01/12/2013

一度腰を据えて、ギブソンのアーチトップギターについて研究してみようかと思う。詳しい人教えてください。

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