Fairytale of New York祭り パートIII
あと少しで11月30日、シェインの命日だ。早いものだ。この一年、色々なことがあった。日本では能登の地震、夏の酷暑、再び能登の大雨、首相交代。今日はアメリカの大統領選挙の開票日だった。それにしてもなんでトランプなのか。とてもじゃないが世界が良い方向に進んでいる気がしない。今にも何か酷いことが起きるのではないか、という不安で霧がかかったような現実が続く。しかし、生きていかなければならない。そして今年もクリスマスが来る。またこのメロディーが聞こえてくるだろう。
ということで、Fairytale of New York特集の第3弾である。
ちなみに第一弾と第二弾はこちら。
まずはこちら、シェインの葬式である。
葬式なのにみんな笑顔なのが良い。歌を歌っている髭面の男性はGlen Hansard、デュエットの相手はLisa O’Neillである。バックを固めているのは、懐かしきポーグスの面々、スパイダー・ステイシー、ジム・ファイナー、テリー・ウッズ、ジェイムス・ファーンリーの姿が見える。泣ける。
グレン・ハンサードは『Once ダブリンの街角で』という映画の主演で有名で、あの名作『コミットメンツ』にもギタリスト役で出演していたとのこと。しかし、ミュージシャンとしての彼のことはまり知らない。正直僕はあまり好きなタイプではない。シェインも生きていたら文句を言いそうだ。一方でもう一人のリサ・オニールは素晴らしい。カースティ・マッコール無き今、たくさんの女性がデュエットを歌ってきたけど、このリサ・オニールの素っ気ない、少ししゃがれた歌声はピッタリだと思う。ダブリンで歌手を目指してメイドのバイトを長くやっていた甲斐があるのに違いない。
こちらは同じ頃、シェインとシニード・オコーナーの追悼コンサート。
同じくグレン・ハザードが歌っているが、相手はなんとケイト・オリオーダンだ。この歌は元々ポーグスのベース担当だったケイトとのデュエットの予定であったが、セカンドアルバムのプロデュースをしたエルビス・コステロと結婚して連れていかれてしまったため、仕方なくデュエット役を探していたところ、3枚目のアルバムのプロデューサー、スティーブ・リリーホワイトの当時の奥さん、カースティ・マッコールに白羽の矢がたった、という経緯がある。
こちらがそのデモ音源。カースティのところをケイトが歌っている。そういう意味でこの追悼コンサートの映像はなんだか感慨深い。
こちらは生前のシェイン。2008年、アイルランドのテレビ局TG4の番組の企画。
デュエットの相手は誰だろう、と調べてみるとこの人はJoyce Redmondという女性歌手で、なんとあのスティーブ・アールの名曲「Galway Girl」のモデルになった人だという。彼女自身はダブリン出身なのだが、たまたまゴールウェイにいた時に、アメリカから遊びにきていたスティーブ・アールと知り合い、アイリッシュセッションに連れて行ってあげたりしたのだという。その時にスティーヴ・アールがインスピレーションを得て作った歌が「Galway Girl」だという。しかもここで演奏のバックを固めているのはこの歌を国民歌にしたシャロン・シャノンバンドである。なかなかおしゃれなセッションである。
同じ時期、同じメンバー、演奏はこっちの方がいい。
こちらは2014年のダブリン、シャロン・シャノンのライブにゲストで登場したシェインとウォリス・バードのライヴの模様。
Wallis Birdはアイルランド出身、1982年生まれのシンガーソングライター。シェインと一緒に歌っている彼女の嬉しさがこちらにも伝わってくる。そして、さすがシェイン、タバコを吸いながら、お酒のグラスもセットしてある。先日東京のアイリッシュパブでアイルランド人に教えてもらったのだが、シェインはパブに行くと、自分の前に3つパイントのグラスをセットするという。一つはジン、一つはポティーン(アイルランドの密造酒)、一つはスプライトだという。このライブでは一つだけだったが。
こちらでは、シェインの葬式のパレードに集まった人々がマーチングバンドの演奏に合わせて歌っている。
最後にダブリンの14歳の少年の歌。シェインの葬式の翌日、ダブリンの街角で演奏したんだそうだ。素晴らしい。