メロディについて②
優れたメロディとは何か。
私なりの見解を示しますと、以下の3点があるかがポイントです。
1.印象に残る(ふとした時に鼻歌になる)フレーズ
2.起承転結
3.他の音に引き立ててもらうための余白
1については、誰もが目指しているところだと思います。
ではそのようなフレーズを書くために
作曲家は何をするべきでしょうか?
これ、意外と難しく考える必要はありません。
答えはずばり、“実際に口ずさんでみること”です。
ハミングでも母音でもいいので、とにかく歌ってみる。
そうすると、そのメロディがどっちに行きたいのか、
どんな感情を表現するのに向いているのか など、
主旋律としてのポテンシャルがより具体的になります。
歌う時はアカペラもいいですし、
コード進行とリズムだけ決めた状態から始めるのも◎。
コツはファーストテイクに固執しないこと。
何パターンも試して、一番良いのを採用すればOKです。
2は言語化が難しいところですが
「あれがこうきてこうなったので、こうかなぁ?と思ったんだけど
実はこうだった。だから最後はこういうことになったんだねぇ」
まあ、そんな感じでしょうか(超難解)
例えるなら、“スラスラ読める文章”と似ています。
要は論理的に一本の筋が通っているので、
誰が聴いても“起承転結”を感じられるメロディってことです。
具体的にいうと、まず四小節分のメロディを書きます。
(あれがこうきてこうなった、の部分)
その後、そのメロディに対して次の四小節を書きます。
よくあるのは、前半はまえと同じ内容で後半に変化があるパターン。
(こうかなぁ?と思ったんだけど実はこうだった、の部分)
そしたら、ここまでの八小節分のメロディを踏まえて
続きを書くならこういう流れになるんじゃない?を新しく書く。
(だから最後はこういうことになったんだねぇ、の部分)
上記のような組み立てかたをすれば
ごく自然なかたちで“起承転結”が出来上がるので、
滞りのない、スラスラと耳に入ってくるメロディになります。
最後に3。これは好みにもよるんですが
拍が短い音(特に16分音符~32分音符)を多用している
“詰め込んだメロディ”って、忙しなくて余裕がないので
アクセント的に一部で使う分には美味しいものの、
その勢いを保った状態でずーっと鳴られてしまうと
なんというか、聴いていて単純に息が詰まりますし
音の繋がりや流れが捉えづらくなる関係で、
相対的に印象に残りづらい旋律になってしまいます。
感情を爆発させて「うぁぁあ」となっている人に
取り付く島がない、みたいなイメージでしょうか。
だから、全音符~8分音符の割合を増やして
わざと“隙”を作ってあげるのが肝要なんですね。
その余白があることによって
ハモリやオブリガートが入ってくることができて、
結果的にメロディを引き立ててもらえるわけです。
以上3点。
共通しているエッセンスは“均衡が取れているかどうか”です。
これが優れたメロディの条件である……と私は考えています。
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