柴又でAb(ラb)の音を使うと雰囲気がガラッと変わってしまう話

 柴又でAb(ラb)の音を使うと雰囲気がガラッと変わってしまいます。柴又本来の雰囲気を出しつつメロディーアレンジを行いたい場合、Abの音は避けるべきでしょう。
 その理由を音楽理論を用いて説明していきたいと思います。音楽理論がわからない方のためにも簡単にまとめますのでそこだけでも読んでくださると喜びます。

なぜ雰囲気がガラッと変わってしまうのか

 思いっきり説明を省き結論だけ言うと、
「Abの音を使ってしまうと違うスケールに聴こえてしまうから。」
です。
 ここから先は音楽理論を少し用いて説明していくのでAb使わない方がいいのか~とわかった方はブラウザバックしてもらっても構いません。音楽理論のかなり進んだあたりの内容になりますのでわからない人向けのまとめさえでも理解できないと思います。G#ではなくAbという表記にした理由がわかる方は大丈夫かと思います。

音楽理論を用いた説明

前提知識

前提知識として、音名だけは必ず必要です。度数スケールも知っておくとより理解が深まるでしょう。
※全ての音名を英米式表記で統一します。

ここで音名からスケールまでの前提知識を身に着けることができます。

Soundquestというサイトは音楽理論を無料で学ぶことができる神サイトなので是非見に行ってみてください。

柴又のスケールとは

 そもそもスケールには二種類あって、音の組み合わせだけで考えるキースケールと組み合わせと順序も考えるコードスケールの二種類があります。キースケールが同じでもコードスケールが異なっていれば曲の雰囲気は変わってきます。「長調にしてみた」「短調にしてみた」など長調短調で雰囲気が変わるのと変わりないです(短、長にしてみたシリーズはキースケールも異なっている場合がほとんどですが)。つまりコードスケールごとに決まった雰囲気があります。
 それでは柴又はどうなのでしょうか。ここからは個人の解釈なので人によって分かれると思いますが私はヨナ抜き音階とも呼ばれる律音階+長七度だと思います。律音階は日本の雅楽にも使用されていて和を感じる音階です。千本桜や夏祭り、シオカラ節にも使われている旋法で現代音楽でもペンタトニックスケールと呼ばれています。
 特徴的なのがマイナー系のコードが多いのに五度の音をよく使っていることです。マイナー系のコードが多いならばマイナー系のスケールとも取れますが、メジャー系のスケールの中で安定した音とされる五度の音を多く用いるためメジャーなのかマイナーなのかハッキリしない独特な雰囲気を持つスケールです。
 柴又はサビの最初がⅡm7から始まりマイナー系のコードが多く登場しますが主音への導音となる長七度が律音階に混ざっているのでよりマイナーメジャーが入り混じり、どこか暗さの中に明るさを感じる、哀愁を感じるメロディになっているのではないかと考えています。

なぜ雰囲気が変わってしまうのか

 やっとここで最初に述べた結論についての説明ができます。
「Abの音を使ってしまうと違うスケールに聴こえてしまうから。」
というのはAbが律音階の雰囲気を壊す音とも言えますが、Abがエオリアンスケールを連想させる特性音だからです。エオリアンスケールとは簡単に言えばマイナースケール、短調です。つまりどこか暗さの中に明るさを感じる、哀愁を感じる曲調から一気に暗くダークな響きをもつ曲調へと変貌してしまいます。それがAbなのです。
実際に聴き比べてみましょう。

 上が原曲、下がハモリにAbを使ったものです。たったこれだけなのにかなり雰囲気を壊してきますね。コードの響きはほとんど変えていないのでE7のところは原曲っぽさを保っていますがそれ以外はマイナーっぽさが目立ちます。
 こういう曲調が好きでこういうアレンジがしたいならばいいと思いますが原曲の雰囲気を壊したくないというのならば絶対Abは使わないでください。

最後に

 よく自分で耳コピをしろと強要したり既存のものを使わなかったりする人を見かけます。別にそれで合っていれば構わないのですが違ってたりすることがあります。曲のハモリやコードはメロディと同じくらい奥が深くてそこに力を入れて作る人もいるのです。それを間違えてしまうと原曲の魅力を生かしきれない作品になってしまうことがあります。私は必ずコードは正しく取りたいと思っています。(summerは投稿後一か所ミス見つけたけど…)
 おそらく自分で耳コピして音感をつけようという理由で自分でやっていると思いますがWave toneを見るな!MIDI使うな!と言って答え合わせをせずにやっていても音感は育ちません。今なっているコードは何の音が鳴っているのかよりも、今なっているコードはこれなんだと耳にたたきつけることが先です。正解を見ずに手探りでやったものが間違いでそのまま作品を作ってしまう、非常にもったいないです。私は合作でコチラが用意したMIDIを使わずコードを間違える人がいて言っても治らなかったりとコードに重きを置く私にとってはとても嫌な出来事がありました。耳コピミスは仕方ないとしてもそれを合作でやらないで~
 私はとあるコードが好きで、その曲のコード進行を鳴らして、理論を勉強してというのを続けているうちにちょっとですがコードの相対音感が付きました。音感を身に着けたいのならば理論を勉強してみるの良いと思いますね。


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