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二重手術、埋没法のお話③
↑↑↑前回の記事も目を通していただけるとありがたいです↑↑↑
この記事のまとめ
埋没法の糸は勝手に取れたりはしませんが、二重の線は消えてしまうことがあります。消えてしまう人の中では、半年〜1年の間に消えてしまうことが多いです。多くの人は1年経っても線が残りますが、その人たちは糸のテンションそのものではなく、糸の周囲に出来た鞘状の固い繊維がまぶたの皮膚側と瞼板側を繋ぐ事で線が維持されます。厚さやたるみのあるまぶたには埋没法は向いていませんよ。
糸が取れる?
取れません
さて、良く埋没法の糸が「取れる」ということを聞きますが、あれは正確に言えば多くの場合間違いです。結んできた糸が自然に取れるなんておかしいですもんね。
糸が取れなくても二重の線が消える
でも、糸は手術時に結んできたそのままの位置に有っても、埋没法では二重の線が消えてしまうことが有ります。
糸有るのに消えるんかーい!
それを「線が消えたって事は『糸が取れた』んだ」と誤解したのが始まりで患者さん側に広まり、その後医療従事者側にもいわば逆輸入で『取れる』という表現を用いる人が徐々に増えてきたことが、更に誤解を拡大再生産させているのが現状です。
ですので、私は『取れる』という表現は使いません。
例外的に『取れた』と言っても良い場合も有ります。埋没糸の結紮が強すぎる場合、結んだ糸にゆっくりと瞼の組織が切られてしまいます。そうなると、本来皮膚側の組織に掛かっていたはずの糸が瞼板側に落ち込んでしまうのです。
糸は取れないけれど、テンションは無くなる
糸は取れませんが糸のテンションがずっとそのまま残るわけではありません。半年〜1年もすれば、テンションは無くなってしまいます。これは糸が伸びたり緩んだりするのではなく、糸に結ばれている瞼の組織の方が緩んでしまうからです。(とは言え長い目で見ると糸自体も劣化します。これも『取れる』と言って良いかもしれませんが、この話はまた別の機会に。)
糸による『癒着』
でも、1年経ったら必ず線が消えてしまうかというと違いますよね。報告によって異なりますが、埋没法手術の1年後に二重の線が残っているのは大体95%ほどと言われています。では糸にテンションが無いのに多くの人で二重が消えないのは何故でしょう?
埋没法に使われる糸は、医療用の安全なものとは言え、体から見たら異物は異物です。異物に対する防御反応として弱い炎症の反応が持続的に起こり、糸の周りに硬い繊維状の組織ができます。これが皮膚と瞼の深部を癒着することで、二重瞼の線が保たれるのです。
↑リンク先に、このように記載されています。
ポリアミド縫合糸は組織に対して急性炎症を引き起こすとしても軽微である。
その結果徐々に体内の繊維状結合組織が埋没された縫合糸を鞘のように包み込んでゆく。
埋没法の二重はなぜ消える?
ふう、やっとここまで来ました。二重の線が消えてしまうのは、この癒着が起こらなかったか弱かった人が多いです。ではどんな瞼だと癒着が起こりにくいか、
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厚いまぶた
まず挙げるべきは厚い瞼です。
皮膚から深部までの距離が長くなれば、当然癒着は起こりにくいです。
また、厚さの原因が何かも影響します。眼窩脂肪は眼球が動くときの潤滑油やクッションの役割をしているので、とても柔らかいドロッとした脂肪です。この様な組織では、癒着は起こりにくいです。
希望する二重幅が広い場合も、二重の線が消えやすいです。瞼は上に行くほど厚いですし、特に眼窩脂肪を貫通する様な幅では消えやすくなります。
たるんだまぶた
たるみのある瞼も、埋没法には向いていません。癒着が生じ難い(糸周辺の組織が動きやすいから?これに関しては良く言われる事ではありますがエビデンスは見た事が無いです)ですし、折れ線の様なカッコ悪い仕上がりになりがちです。
次回も埋没法のお話。術式による違い、糸の違い、アスフレックス愛、どんな医者を選ぶべきかといった事に関して書きました。
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