はじめまして。こんにちは。 四月は邂逅。何か不思議な出あいがあれば、と。 ▷ 好嫌 好きな食べ物は、クリームパン。 嫌いな食べ物は、トマト。 好きな言葉は、狂言綺語。 嫌いな言葉は、器用貧乏、八方美人、優柔不断。 好きな色は、黒。 嫌いな色は、白。 ▷ 目標 一人前の、表現者になりたい。 自分の、心の中にある色。それに言葉を与えたい。 過去に価値があるような。 未来に希望があるような。 勘違いしたままの自分で、生きていたいから。 ▷ 理由 "note" を選
「一緒にお酒を飲まない?」 僕が賢示に言った瞬間、彼の鋭い目が僕を疑わし気に見つめてきた。表情を隠しきれないというか、まるで僕が何か裏があるかのような視線だ。 「君は酒を嫌っているだろう?」 賢示の低く、少し驚き混じりの声が静かな部屋に響く。 「いや、まあ、そうなんだけどさ…………。」 僕は少し言い訳がましく続けた。 酒が苦手なのは事実だけど、何かこう、たまには気分を変えてみたかったというか、賢示のあの厳格な顔をほころばせてみたいというか
リビングのソファに腰掛け、僕はテレビ画面に映るニュース番組をぼんやりと眺めていた。 画面にはスーツ姿の人たちが堅苦しい言葉を交わし、彼らが何か重大な問題について話しているらしいことは何となく分かる。 でも、その重要性は、僕には理解できないものだった。 隣に座っていた賢示は、そのニュースを真剣な眼差しで見つめている。 その横顔はまるで鋭い刃のように冷静で、何を考えているのか僕にはわからない。そんな彼の様子を見ているうちに、ふと疑問が湧き上がってきた
テレビ画面には野球の試合が映し出されていて、選手たちが次々と白球を追いかけ、走り回っている。 僕にとっては特に興味が湧くわけでもなく、これまで積極的に観ようとしたこともないスポーツだ。けれど、今日は隣にいる勇太に誘われての観戦。 だから、正直なところを言えば、まあ、面白いとは思う。けど、たぶん、勇太に誘われなければ僕はこの時間、別のことをしていただろう。 「面白いか?」 僕の方を見て尋ねる勇太に、僕は「面白いよ」と軽く答えた。でもそれ以上に、彼がなぜ
法学部のキャンパスの片隅で、僕は机に広げられた資料を眺める賢示を見つめていた。 彼は例のごとく真剣な表情で、眉間に皺を寄せている。いつも堅い表情をしている賢示が、今はうっすらと目を閉じ、ほんの少しだけ肩の力が抜けているように見えた。 「休憩中、なんだよね…………?」 僕はふと、彼の頬に触れてみたくなった。 普段なら到底許されない行為だ。けれど、今の彼はそれに気づくことなく、疲れた様子で椅子に深く腰掛けている。だから、僕は手を伸ばし、そっと頬を指先で撫
ボヌールの前に立ち、僕は自動ドアが開く音に一瞬耳を傾けた。 白く輝くカウンターの向こう側には、いつものように勇太がいる。優しい笑顔を浮かべながら、僕を迎える彼は、今日も変わらず穏やかな雰囲気だ。 「朦依君、いらっしゃい。」 その挨拶に軽く応えながら、僕は目的の品を告げる。 「ソフトクリームを一つ、お願いします。」 勇太は慣れた手つきで、ソフトクリームを機械から取り出し、綺麗な渦をコーンの上に作っていく。 目の前に差し出されたその白い柔らか
最近、やたらと野球が話題になっている。 テレビをつければ野球、ネットのニュースでも野球。僕自身、特に野球に興味があるわけじゃないけど、なんだか気になる。 でも、野球について何か書いてみようと思ったのは、自分にとって良い成長の機会になるんじゃないかと感じたからだ。 僕が普段、書くのは、自分が好きなもの、興味のあるものばかりだ。それだけだと、なんだか味気ないし、幅が狭い気がする。 やっぱり、新しいことに挑戦し続けなきゃいけない。少なくとも、作家としても、
相変わらず、魔王は怖い表情で僕を見下ろしていた。 レグルスの鋭い目つきと完璧な姿勢は、見るだけで威圧感を感じさせる。それでも、今日はそこまで怒っている様子はない――――、はずだ。少なくとも、魔素は揺れていないし、紫の光も見えない。これは、ある意味チャンスかもしれない。 僕は、ふとした興味本位でレグルスの頬に手を伸ばし、その硬質な表情を柔らげられるか試してみたくなった。指先が彼の顔に触れ、冷たくも温かい肌の感触を確かめながら、両手で頬を包み込む。 「…………
質問です。今の今まで触れずに見ていたもの。それは本当に触れられるものであると、証明できるのでしょうか。 「触れる」ということは、単に物理的な行為以上の意味を持つことがありますね。特にそれが象徴的な存在や感情に関連する場合、実際に触れられるかどうかは、その存在の本質や自分自身の覚悟にかかっているとも言えるでしょう。 目の前にあるものが、本当に「触れられる」ものなのか。それを証明するには、自分の手を伸ばし、行動に移すしかない。しかし、触れることで初めて、それが触れる
雨が激しく窓を叩く音が、部屋の静けさを包んでいた。 僕達はソファに並んで座り、テレビをぼんやりと眺めていた。でも、意識はそれほど集中していなかった。 シルヴァンが僕の家に遊びに来るのは、実はそんなに珍しいことじゃない。彼の独特なセンスが好きで、僕の部屋のインテリアにも少しアドバイスをもらったことがあるくらいだ。 「雨、すごいね。」 僕は窓の外を見ながら、なんとなく呟いた。街灯がぼやけて、雨が白く霞んで見える。こんなに強く降ると、外に出るのは厳しそうだ
シルヴァンの横顔をこっそり写真に収める為に、僕はスマホを構える。彼は集中していて、僕のことは気にしていないようだ。 インテリアのデザインを練りながら、どこか遠くを見つめるその表情は、まるで彫刻のように美しい。だからだろうか。少し、悪戯したくなった。 静寂であった部屋に、シャッターの音が小さく鳴る。 「んっ、いいじゃん。」 僕は保存した写真を見る。我ながら上手に撮れたものだ。 「僕の恋人って、言いふらしてもいい?」 深くソファに体を沈め、僕
「鶏が先か、卵が先か」という問いは、古代から議論されている哲学的な問題です。この問いは、原因と結果の無限ループを示す例としても使われます。つまり、どちらが最初に存在したのか、という問題です。 生物学的観点からの説明: 現代の進化論に基づく説明では、卵が先と考えるのが主流です。鶏は鳥類の一種ですが、鳥は爬虫類から進化したとされています。進化の過程で、鶏に似た祖先がまず存在し、遺伝子変異がその卵の中で起こり、そこから初めて現代の鶏の形態を持った生物が誕生したと考えられま
いつも通り、僕の部屋は静かだった。――――。心地いい。その感情と共に思い出されたのは、先程、読み終えたばかりの小説に対する疑問である。 僕はソファに身を預けながら、同じく隣に座るシルヴァンに声をかける。同じ創作をする者、彼は何を思っているのだろうか。 「何故、人気のある小説は、セックスを示唆するのか、考えたことある?」 僕は別にそんなシーンが欲しいわけじゃない。むしろ、不必要に感じることが多い。物語に何か意味があるわけでもなく、ただ売れるためだけに加えられ
椅子に座って二時間。僕はペンを持てないままでいた。 絵を描くつもりがネットサーフィンに勤しんでしまっている。不真面目。しかしながら言い訳をさせてほしい。刺激が足りないのである。 創作意欲を突き動かしてくれる刺激。自分が見たいもの。それが漠然としている。わかりやすく言うなれば、やる気が出ない。 「んー…………。」 僕はスマートフォンを手に取り、シルヴァンに短いメッセージを送る。僕の数少ない創作の仲間。迷惑だろうが、このくらいは許してほしい。 数時
夏の夕暮れ。白峰天狐神社の境内に、薄暗い空を映し出すように色づいた木々がそよいでいる。僕は、いつものように神社の参道を歩きながら、ちらりと隣を見た。 「今日も手袋をつけているんだ。」 「ああ。」 ふと、僕は興味本位で彼の手袋の指先に触れてみた。柔らかく、それでいてしっかりとした質感を感じながら、僕の指が彼の手に軽く触れると、シルヴァンはピクリと体を震わせた。 「…………。何をしている?」 彼の声はいつも通り落ち着いているが、その瞬間の僅かな緊張が、
存在の意味を、理解した。 酸素の価値を、創作した。 狂言綺語。 明日、消える夢は、何を残すのでしょうか。