オーディオブック活用率7割超!三井住友海上が考える「学び直し」の重要性と「能力KAIKAプログラム」
個人としてキャリアの可能性を広げるため、企業としては変化の激しい時代への対応のために、慣れ親しんだ分野から離れた新たな学びの重要性が指摘されるようになっています。
こうした「リスキリング」や「学び直し」に、「読書」は有効な手段の一つ。国内最大規模のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を展開する株式会社オトバンクは、同サービスの法人向けプラン「audiobook.jp 法人版」を導入している三井住友海上火災保険株式会社人事部部長(能力開発担当)の渡辺裕子さんと、同じく人事部の能力開発チーム長・菅原修さんをお招きするオンラインセミナーを2024年3月6日に開催。「学び直し」に着目した背景と、オーディオブックの果たす役割について語っていただきました。
三井住友海上が考える「学び直し」の重要性と課題(渡辺裕子さん)
■事業環境の著しい変化と新たな知見の必要性
当社が社員の「学び直し」を推進している背景には、事業環境の変化があります。気候変動リスクや自然災害の激甚化、国家間紛争などの地政学リスクの高まりといった要素によって世界経済や社会環境は見通しが立ちにくくなっています。
従来の価値観やビジネスモデル、事業モデルが通用しない時代になったと考えています。それは当社で言えば、自然災害の被害が大きくなり、保険金の支払いが増大。もちろん保険はお客様のためにあるので、増大してもそれはやむをえないのですが、それによって火災保険の赤字が数年続いておりました。
事業として利益をあげられないと、お客様に安定して保険商品をお届けすることができませんから、気候変動への対応は社会課題であると同時に、当社の保険ビジネスそのものを左右する問題です。そこで私たちは、単に火災保険を商品としてお届けするだけではなく、脱炭素や少しでも災害被害を少なくしていくことに貢献することが社会課題の解決と当社のGX(グリーントランスフォーメーション)的な成長につながると考えています。
ただ、こうした取り組みにはDX人材の育成拡充が欠かせません。たとえば、お客様それぞれにパーソナライズした防災情報の提供や、AIを駆使した老朽化インフラによる事故の防止、あるいはサイバー攻撃の防止など、いずれもデジタル活用が必ずついてくる、となると従来の保険事業から得られる知見以外の広範な学びが必要となってくるわけです。
■「能力KAIKA率」で社員の主体的な学びを促進
では、社員に「学び直し」を積極的に行なってもらうためにどんな取り組みをしているか、ということですが、これにはカルチャー変革が必要です。社員が自ら考え、主体的に行動する。そして過去の経験や知識に安住せずに自己成長を続ける、そして失敗を恐れずにチャレンジするカルチャーを形成していかないことには、いくら社員に自己学習してもらおうと会社が働きかけても進まないんですね。
ですから、当社では変化に対して柔軟に対応し、能動的に取り組む人材を育成するために、デジタル人材、マーケティング人材、データ分析人材などを育成する制度を設けるとともに、デジタルイノベーションチャレンジプログラムというビジネスアイデアコンテスト方式のプログラムを実施しています。
また、社員の主体的な学びを可視化する試みも行なっています。私たち人事部では、社員に対して必須研修に参加していただくだけではなく、自己学習を奨励していまして、中期経営計画として必須研修意外に自己学習を行う社員の割合を「能力KAIKA率」と名付けて、この率を100%に近づける取り組みをしています。2022年度の能力KAIKA率は69%だったのですが、2023年度は今年の2月時点で73%となって、上がってきています。
具体的には、社員それぞれが上司と話し合いながら「自分は将来どんなキャリアを歩んでどんなことをしたいか」について目標を作り、そのために何を学ぶかを決めて、それを実践していきます。そして、何をどのくらい学習したかを上司と確認していく。この一連の流れを「能力KAIKAプログラム」として全社的に進めています。
「audiobook.jp 法人版」導入のきっかけと社員の反応(菅原修さん×オトバンク会長・上田渉)
■海外で浸透しているオーディオブックが能力開発施策の中になかった
上田: 経営学者のピーター・F・ドラッカーは、イノベーションを起こす組織の条件として「継続学習の風土」を挙げているんですけど、御社ではこの言葉をまさしく実践されているということで、すばらしいですね。
菅原: その「継続」というのがポイントですよね。さきほど渡辺がお話しした「能力KAIKA率」ですが、社員が自ら行う自己研鑽はハードなものでなくてもよくて、それこそ読書をしたとか、何かしらの社内のサークルに参加したとかでもいいことになっています。ハードなものではなくても何かしら自ら学ぶという文化をしっかり根付かせたいと考えています。
上田: 「能力KAIKA率」を伸ばしていこうというところで、弊社の「audiobook.jp法人版」を導入していただいたと思うのですが、興味を持っていただいたきっかけはどんなことだったのですか?
菅原: 私たちは能力KAIKAプログラムの一環として、どんなものを導入するかを日頃から話しているのですが、そのメンバーの一人に海外から帰ってきた人がいて、その人が「社員の能力開発の施策の中にオーディオブックがないよね」という話をしていたんです。オーディオブックは海外では結構浸透しているという話もしていました。それがきっかけで、オーディオブックってどうなんだろうということでご紹介いただいてお話を伺った、というのが最初でした。
その時に、目だけではなく耳から情報を入れることのメリットについて教えていただいて、じゃあやってみようということでトライアルをさせていただきました。
上田: トライアルをしてみていかがでしたか?
菅原: 人事部のメンバー20名くらいに試してもらったのですが、非常に好評でした。やはりラインナップが幅広く、特にビジネス関連書籍が充実しているのが大きかったです。
また、同じ時期に社員の健康推進の施策の一貫でウォーキングのチーム対抗戦のようなものを実施しておりまして、私たち能力開発チームで「1日1万歩歩こう」ということをやっていたんですけど、単に歩くだけだとなかなかどうしても続かないんですよ。ただ、オーディオブックを聴いて情報をインプットしながらだと飽きずに歩けるんですよね。私も御茶ノ水の本社から渋谷まで歩いたことがあります。
私は元々、本は「目で読むもの」と思っていたタイプなのですが、耳からでも読書はできるということがわかりましたし、倍速にして時短で聴けるというのもいい。これは非常に有効だということで導入させていただきました。
■手挙げ率が他の施策の倍以上!活用率も7割超
上田: 導入後の評判はいかがですか?
菅原: 2023年の10月に社内で利用希望者を募集をしたら260名の社員から応募が来ました。強制ではなくて任意で申し込んで費用は自己負担という形で導入したのですが、この人数はかなり多いです。これまでに導入したサービスを考えても、大体申し込みは100名くらいですから。それだけ読書やオーディオブックに興味を持っている社員が多かったということだと思います。
また、申し込んだ方の活用率も非常に高くて毎月7割を超えています。大体半分くらい使ってくれればいいかなと思ってこちらも導入しているのですが、すごく高いですね。
聴かれているものについては、一番多いのはやはり「聴く日経」ですね。二番目はビジネス書で、三番目は英語関連の書籍です。能力開発という目的に合うものが聴かれていると感じています。
上田: 申し込んでくださった方はどんなシーンでオーディオブックを利用されているのでしょうか?
菅原: 細かく調べているわけではないのですが、通勤時間に聴く人が多いようです。あとは地方の拠点に行ったり、お客様のところに行く移動時間に使っている方も多いと思います。
上田: これからもオーディオブックを楽しんで使っていただければと思います。今日はありがとうございました!
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2024年3月6日に開催した本セミナーを動画でご覧になりたい方は、下記の申し込みフォームからお申し込みをお願いいたします。
※掲載内容は取材当時のものです
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日本の人事部「HRアワード2022」で優秀賞を受賞するなど人材育成のツールとして高く評価され、現在130社以上にご導入いただいています。
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