文芸からレシピ本まで。雑食系読書好き俳優・中江有里さんおすすめの本3選
「本の楽しさをもっと多くの人に知ってほしい」と読書好き芸人・ティモンディの前田裕太さんが、世の中に読書好きを増やすために提供するYouTube番組「芸能界読書部」では、毎回ゲストを招いて読書をテーマにしたトークを展開しています。
今回は数々のテレビ、ドラマで活躍する俳優の中江有里さんをお迎えして、中江さんの読書癖とおすすめ本について語っていただきました。
その内容を一部noteでもご紹介します。
<本編の動画はこちらから視聴できます>
年間読破数300冊。大の本好き・中江有里さんの読書術
前田:始まりました。芸能界読書部の部長のティモンディ前田です。第2回「芸能界読書部」のゲストはこちらの方! 俳優の中江有里さんです。
中江:よろしくお願いします。
前田:中江さんは大の読書好きということですが、年間どれくらい本を読まれているんですか?
中江:今は少しペースが落ちていますが、多いときは年間300冊ぐらい読んでいました。
前田:すごいですね!一日一冊といったペースで読むことが多いんですか?
中江:私は「併読」と言われる読み方で読み進めるタイプで、時間やシチュエーションに分けて同時に2冊以上の本を読んでいます。
前田:僕と一緒ですね!本のジャンルはどんなものを読まれますか?
中江:(フリップを見ながら)ざっくりですが、文芸が一番多くて割合としては40%くらい。それに、エッセイ、ノンフィクションが続く感じですね。
前田:「その他」が30%と多いですね。
中江:私、読書に関してはいわゆる「雑食」で、ジャンル問わずいろいろな本を読むんです。書店に行くときも、自分では「パトロール」っていってるんですけど、売り出し中の本が平積みされている新刊本コーナーから棚差しコーナーまで、書店全体を練り歩くように見てまわります。
前田:自警団とか野良犬みたいですね(笑)
中江:本って年間にものすごい数が出版されるじゃないですか。できる限り見逃しがないようにしたくて。文庫コーナーもレシピ本コーナーも含めてくまなく見て回るようにしています。
前田:文芸好きでレシピ本も読むって珍しいですね。
中江:レシピ本にもやっぱりセンスみたいなものがあって、レシピを読んだだけでおいしそうって思える本はつくりや文章がうまいんですよね。
前田:レシピ本で文章までしっかり読み込んだことはなかったですね。
中江:雑食なんです(笑)
中江有里さんおすすめの三冊
前田:中江さんには視聴者と僕におすすめしたい本を3冊ご用意いただきました。第3位から教えてください!
第3位 『11人いる!』
中江:3位は萩尾望都さんの漫画「11人いる!」です。前田さんはこの本はご存じですか?
前田:SFですよね。読んだことはないです。
中江:宇宙大学の受験生が宇宙船に閉じ込められた状態で最終試験に挑む設定なんですけど、10人しかいないはずの受験生がなぜか11人いるんです。偽物が一人紛れ込んだ状況で、お互いに疑いを持ちながら課題をクリアしていって最終的にどうなるか……というストーリーで、1975年に発表された作品ですが今でも決して古びていない、とてもよくできたSF作品です。
前田:気になります! 続いて、中江さんのおすすめ本第2位はどんな作品ですか?
第2位 『どうで死ぬ身の一踊り』
中江:西村賢太さんの『どうで死ぬ身の一踊り』です。西村賢太さんは「苦役列車」で芥川賞を受賞されて、2022年にお亡くなりになられた作家さんです。私小説を書く方で、『苦役列車』の前作の主人公が、今回ご紹介している『どうで死ぬ身の一踊り』の主人公と同じなんです。西村作品の初期のもので文体も初期っぽい印象がありますね。
西村さんって情熱溢れる人なんですけど、私生活はめちゃくちゃで読んでいて本当にダメな人だなと思うんですけど、なんだか憎めない雰囲気を持っていて。そばには近寄りたくはないけど遠くからは眺めていたい、みたいな方(笑) 読んでいると自分の方がちょっとマシかなと思ってほっとする、そんな作品です。
前田:続いて第1位を教えてください。
第1位 『じゃむパンの日』
中江:1位は赤染晶子さんの『じゃむパンの日』です。
前田:この本、僕は知らなかったです。
中江:赤染晶子さんの初めてのエッセイ集です。もう、とにかく赤染さんの妄想力がすごい。どのエピソードも本人は必死なんだけど、側から見たらほんとにおもしろくて、そんな内容をよくこんなにさらっと書けるなと読んでいて感心してしまいます。赤染さんの没後に出版された本なんですけど、元々出版社に勤めていた方がこの本を出すために会社を立ち上げて出版したそうです。そこまでのストーリーも含めて、ぜひ多くの方に読んでほしいです。エッセイの概念が吹っ飛びますよ。
前田裕太さんおすすめの一冊
『新釈 走れメロス 他四篇』
前田:僕からも中江さんに一冊ご紹介してもいいですか?読書家の中江さんに紹介するのは緊張しますが…… 僕が今日ご紹介するのは、森見登美彦さんの『新釈 走れメロス 他四篇』です。
中江:どんな話なんですか?
前田:走れメロスや山月記などの古典を現代に置き換えて書かれた作品です。走れメロスの王とメロスの関係を暴虐な大学の教授と生徒に置き換えてあったり、山月記は大学サークルでの出来事になっていたり。短編小説が5つまとめて一冊になっています。
阪神ファンの中江さんが薦める、阪神愛溢れる野球本
前田:本好きの中江さんですけど、野球もお好きなんですよね?
中江:熱心に見るようになったのはつい最近ですね。阪神ファンで、バース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発をyoutubeで見て感動しているところです(笑)
前田:そんな阪神ファンの中江さんがおすすめする野球本があるとか。
中江:池松舞さんの『野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった』です。2022年に阪神が開幕戦から9連敗したんですけど、それがショックで、池松さんが毎日短歌を読むことにしたっていう本です。阪神のことをよく知らないと書けない短歌が満載で、阪神愛が溢れる一冊です。
前田:おもしろいですね。これ、僕買います!
話題の新刊から古典まで。雑食派も納得のオーディオブックのラインナップ
前田:中江さんはオーディオブックをご存じですか?
中江:知っています。知り合いがオーディオブックを聞きながら通勤していると聞いたことがあります。
前田:オーディオブックは声優さんや俳優さんが本を読み上げてくれるサービスで、過去の名作から話題の新作まで何万冊もの本がすでに音声化されています。実際僕も、「本を読みたいけど目が疲れたな」みたいなときがあります。でも、音声化されているので耳でも聞けるんです。
中江:私はこの夏に入院したんですけど、入院中は小さい文字は読む気がしなかったんです。そのときにすごくつらくて、オーディオブックがあればよかった、知っていればよかったなと思いました。
最後には、前田さんのデビュー作を読んだ中江さんからのエールも。
前田:最後にもう1冊、最近読んだ本でおすすめがあれば教えてください。
中江:そうですね、ごく最近読んだもので……『隣の席の女子がバズった話』という新人の前田裕太さんという方が書かれた1編を。
前田:いやいや、こんなに紹介してもらったのに「最後にまた1冊」?そんなに紹介させるか?と思ってたら。急に汗かいてきた。(笑)
中江:どうですか、スムーズに書けました?
前田:締切を過ぎて過ぎて。やっぱり難しいですね。自分のイメージする映像を表現する技術みたいなのがまだ全然追いついていなくて。
中江:でも、やっぱり1本書いたということは、一山超えたということです!次がありますよ、これは。「隣の席の女子がバズった」から始まるのが良いですよね。
ぜひ、本編はこちらの動画からご覧ください。
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