いろんな経験から、料理をこんなふうに作っているよ。

わりと昔から、なるべくシンプルに調理しよう。と心がけている。

30代前半くらいだった、子羊のもも肉のトマト煮込みを作っているときだったな。そのころまでは、“手をかけた方が料理はおいしくなる!”って、本気で思ってた。

もも肉は適度な柔らかさに煮え、よし、完成~!ソースを味見!

スプンで一口すする。

ん………なんか味がぼやけてるな。

その時の料理長に、できたんですが…イマイチなんです。。と報告、すぐさま彼は言う「お前さ、漉し過ぎなんだよ、しかもミルポア(香味野菜)多すぎ。」

心の中で、え?そんなことない、しっかりシュエ(じっくり炒めることね)して、最後にしっかり漉して、それがダメなわけない。と

でも、そこだったんだよね、次は言われた通りに作ったらおいしくできちゃった。思い描いてた味に。

こんなこともあった。スイスの星付きレストランで働いてる時の事。

まかない用にジャガイモのポタージュを作るのを横目で見ていたら、玉ねぎをびっくりするほど炒めない、さらに、薄くも切らない。鍋にバターを溶かし、5ミリくらいの玉ねぎを入れ、ほんと、少しシナッとするくらいでじゃがいも入れるんだけど、このじゃがいもも厚切りなの。東京のホテルの修行時代とはまったく違う。さらにそこへ入れるのもブイヨンじゃなく水!コトコト煮てじゃがいもが手でつぶせるようになったらバーミックスでなめらかに。

そうやってサラサラさらっと作ったポタージュがめちゃくちゃおいしいわけよ~~~

ほんの一部のエピソードだけど、たくさんのおいしいの経験、たくさんの失敗から、手をかけ過ぎずシンプルに、料理を作ることができている。

最近ミネストローネを作ったの。ガッツリシンプルにしてやろうと、野菜は大きめ、キャベツは手でちぎり、鍋に放り込んで水を注ぎ、オリーブオイルとホールトマト、塩コショウ。圧力鍋でシュシュ5分。あら不思議。

おれはこの味が、好き。



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