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ところで捻挫って何?
こんにちは。寒さ厳しい日が続いていますが体調など崩していませんか?大寒過ぎればあと少しの辛抱です。なんとか乗り越えていきましょう!
さて、皆さんは捻挫についてどれくらい知っていますか?今日は捻挫について少しだけ詳しくお話しをしていきたいと思います。
捻挫とは
捻挫にはちゃんと定義があります。『関節に力が加わっておこるケガのうち、骨折や脱臼を除いたもの、つまりX線(レントゲン)で異常がない関節のケガは捻挫』というものが日本整形外科学会より定義として示されています。具体的には靭帯や腱というような軟部組織といわれるものや、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガです。
捻挫の損傷程度
捻挫において最も発生頻度が高いのが靭帯の損傷。その靭帯の損傷程度を分類したものに『O'Donoghue分類(靭帯の損傷程度)』と『Leadbetter分類(靭帯の損傷程度と臨床的な内容も考慮)』というものがあります。
※)靭帯とは
関節包を補強する紐状の結合組織線維束で、基本的に関節包に癒着します。靭帯は関節包を強化するとともに、関節の過度の運動を制限して損傷を防ぐ役割を担います。一般的に靭帯は関節の外面(関節外靭帯)にあるが関節腔内(関節内靭帯)にある場合もあります。
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O'Donoghue分類
第1度:靭帯の一部断裂、関節包は温存されている
第2度:靭帯の部分断裂、関節包の損傷あり
第3度:靭帯の完全断裂および関節包の断裂を伴う
Leadbetter分類
Grade1:靭帯の微小損傷であり、関節包は温存されている。
疼痛、出血、腫脹、圧痛、機能障害の程度は軽く、
関節の不安定は認めない。
Grade2:靭帯の部分断裂であり、関節包の損傷も認める。
疼痛、出血、腫脹、圧痛、機能障害が認められ、関節不安定性が軽度か
ら中程度に見られる。
Grade3:靭帯の完全断裂であり、関節包の断裂を伴う。
疼痛、出血、腫脹、圧痛、機能障害は著明であり、関節不安定性も著明
に見られる。
※) 私は上記の分類に基づいて損傷程度を判断しています。判断基準は徒手テスト
や超音波観察装置を用いて判断することで正確性を上げていきます。
靭帯損傷の治癒機序
1、炎症期:損傷により周囲の毛細血管などからの出血により損傷部は血腫で覆わ
れる。
血腫で満たされた後に周囲の組織から炎症性細胞が増殖する。
血腫は血餅(かさぶたと思って下さい)となり肉芽組織に変わる。
2、増殖期:線維芽細胞(真皮を構成する3大要素である、コラーゲン、エラスチ
ン、ヒアルロン酸の生成とメンテナンスを行う)から放出されるコラ
ーゲン線維が肉芽組織内を遊走し損傷部位は新生されたコラーゲン組
織で埋められる。
3、リモデリング期:数ヶ月をかけ、コラーゲン線維は負荷に対して対応できるよ
うに再配列を繰り返す。この時期の運動は関節に適したコラ
ーゲン線維の配列に必要となる。
リハビリの必要性
損傷程度により治癒までの時間は異なります。では、この治癒とは損傷が癒えれば治癒なのか?生活でのQOL(クオリティ オブ ライフ:生活に質)は?スポーツへの復帰は?この辺りは人によって考え方に差があるところです。
靭帯の損傷が起これば必ず損傷はカラダの中には残ります。その傷にどの程度の機能障害を残して治癒というのか。損傷した組織が回復するのは大前提として、そこからどの程度『機能的にも満足いく生活に戻れた(本人と医療従事者による評価)』かが本当の意味での治癒だと思います。
皆さんもどうか痛みがなくなったから終わりではなく、できる限りの機能の障害、制限をなくせる様にリハビリを頑張って下さい。応援していますね!🙌
それではまたのお話でお会いしましょうー。