変形性膝関節症(OA)のこと
こんにちは。今回は変形性膝関節症についてのお話です。お付き合い頂けると嬉しいです。
変形性膝関節症とは
まずは定義です。膝に限ったものではなく、変形性関節症としての定義があります。米国リウマチ学会診断・治療基準委員会は、『関節軟骨の欠損的整合成に関連した関節症状や徴候へと導く状態の混成グループであり、付け加えて関節周囲の下層の骨の関連した変化』としています。簡単に言うと『関節の軟骨の変化だけではなくて、関節の周りの変化もあるよ』と言うことです。
痛む原因
膝に痛みがあってよくお聞きする言葉が『軟骨がすり減ったから痛い』ですが、これ本当は痛くありません。関節軟骨には血管や神経、リンパ管などは存在しないので痛みを感じることができません。では何故痛みを感じるのか?膝にでる痛みの原因は周囲の軟部組織の炎症や線維化が原因と考えられています。
軟骨はすり減るのか
そしてこの言葉もよく聞きますよね、『軟骨がすり減っているから…』これも真実は違います。関節軟骨はすり減るのではなく、代謝障害が原因で減少していきます。
健康な関節軟骨は破骨細胞による破壊と骨芽細胞による修復が繰り返されていて(新旧の組織が入れ替わってバランスが保たれています)、何らかの原因で修復が追いつかなくなった時に破壊が優位となり関節軟骨が減少した状態となります。ですので正確に表現するのならば『破壊されたままになってしまう』でしょうか。
画像所見と疼痛は一致しない
痛みの原因の項で話しましたが、関節軟骨がすり減ったくらいでは痛みは感じなません。画像所見で関節裂隙(かんせつれつげき←関節の間)が狭くなっているから痛いんだね!は間違いで通用しない話です。膝関節がすごい変形をしていても痛みなくスイスイ歩いている人が良い例ですね。この場合、関節周囲の組織へのストレスが少ない『ちょうど良い』で筋肉が膝関節を動かせているから痛みがない状態を作れているのです。
だからこそ必要な処置は
変形性関節症で大切なのは『痛みの原因は何か?』を把握し、その原因を取り除く道筋を考えること。炎症があれば炎症を抑え、筋肉のストレスが強ければ調整し、皆さんの下肢の状態にあった使い方を体に覚えさせることが必要な処置と言えるのではないでしょうか。
関節が変形しているからといって諦めないでください。その痛みは取り除けるかもしれません。皆さんの信頼できる医師や柔道整復師、理学療法士などに相談してください。私たち医療従事者の願いは患者様が普通の生活に戻ることです。
それではこの辺でおしまいにしたいと思います。お付き合いくださいましてありがとうございました。
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