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名作ラジオCM_108
■サントリー / 角びん
父が飲まなかったウイスキー
SE:(豆腐屋のラッパ)〜
SE:カタカタ(下駄の音)〜
男:豆腐屋がラッパを鳴らすと、母はいつも下駄の音高く路地を走った
トントントン、トントントントン、やがて台所でネギを刻む音が聞こえると、 きまって父が帰ってきた
SE:トクトクトク〜
男:父は毎晩ウイスキーを飲んだ、サントリー角びんを飲んだ、小さなグラスで2杯、3杯
あのころのつつましい暮らしの中で、角びんは父の珍しいぜいたくだった
M:(ラジオドラマ「1丁目1番地」のテーマ曲)〜
男:父はラジオに合わせて鼻歌をうたう、チビリチビリと惜しそうに、小さなグラスを口に運ぶ、そんなとき、父は眉間のシワがのびて、目が細くなるのだった
ピカピカの自転車がほしい、ある晩ぼくは父にねだった
ピカピカの自転車は1万6000円、父の月給の半分を超えていたと思う
SE:(自転車のベル、子供たちのはしゃぐ声)〜
男:それから父は随分長い間ウイスキーをやめた、ぼくの自転車を買ったあと、長い間ウイスキーをやめた
M:BG〜
男:ぼくの父は毎晩ウイスキーを飲んでいた。でも、ぼくが覚えているのは・・・父さん、あなたが飲まなかったウイスキーだ
あのピカピカの自転車と引きかえになった父さんのウイスキーを、ぼくはいまでも覚えています
SE:トクトクトク〜
男:あのころの父のウイスキー、いまはぼくのウイスキー サントリー角びん
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ACC年鑑 1986年 全日本ラジオCM大賞
うまさを伝えることなく、風景を切り取っているストーリー。
自社の商品への自信、売れている事実があるからこそできるアイディアなのかもしれないですね。
売れていない商品では難しいと思います。
悠然としている態度、おごることなく怠けるわけでもない。老舗だからできる。
ブランディングのうえに成り立っているような感じがしました。