日大通信 人文地理学概論を終えてのつぶやき
長かった、人文地理学概論との戦い。
日大通信の教材は読みにくい物も多いが、この人文地理学概論もその一つだ。読みにくいのだが、素晴らしくできている点もある。だが、やはり読者をイライラさせるところもあって、、、かもしゅうが終わったこともあって、今日はそのあたりを呟いておきたい。
まず、この教材の古さ。2009年に発行されており、それ以降内容の更新が行われていないため(たぶん)、最近の法改正などについて言及できていない。執筆者は日大の教授で、都市地理学のエキスパートである。鎌倉市における御成小学校の改築問題や、円覚寺の裏山における開発問題に自ら携わり、本教材ではそこで得られた見識も紹介してくれている。
教材は150頁程度で、薄めの部類に入る。けれど、扱っている内容は専門性が高い。都市地理学に関する基本事項は少なめに扱い、自らが手掛けた事例研究をいくつも紹介する形で構成されている。人文地理学の教科書、もしくは都市地理学の教科というと、中心地理論や立地論といった、抽象的で基本的な内容を扱う教科書が多い中、この教材は事例研究を主にしており、この点では希少でもあり、非常に良くできた教材と思う。
しかし、文章は読みづらい。分かりやすくするための例や表現を省き、大事な部分を厳選して短く圧縮して書かれている印象を受ける。まあ、それだったら集中して読めばなんとかなるのだが、この教材、誤字・脱字も結構多い。入念に校正が行なわれていないのだろう。しかも法制度が多く取り上げられていることもあって、内容が難しいのに日本語が変で、非常にイライラさせられた。
また、内容に誤りがある部分も見受けられた。例えば、重要伝統的建造物群保存地区は文化財保護法に定められているはずなのに、文中及び表中に都市計画法とあり、あやうく間違えて覚えるところだった。他の文献にあたって調べるうちに、おかしいなと思って見つけた誤りである。他にも法令の出された年号が違っていたりした。
あとは、結局何が言いたいのか、分からないことが多い。なんとなく言いたいことはわかるのだが、ポイントを整理して分かりやすくまとめていない事が多く、結局分からない。これは特に、かもしゅうのために過去問を見て準備している時に切実に思った。以下にその例を述べる。
・「都市化の意義を述べよ」というような設問があったけど、教材では都市化について延々と述べているが、「地理学として都市化について研究する意義とは〜〜〜〜である」というような決定的な文章がどこにもない!!なんとなく、意義があるんだなあとは分かるんだけど。。。
・「レッチワースの都市構造について説明せよ」って、都市構造は計画について書かれているだけで、結局どう建設されたのか書いてないじゃん。しかもその計画も2つ書いてあるから、どっちが採用されたのか分からないし。完成図っぽい図があったけど、それもよく見えませんよ。ちゃんと文章で説明して!
・「レッチワースの特徴を説明せよ」ってあるけど、私が思うに、「土地や設備が株式会社に所有されていて、住民は賃貸料を払う。だから町並みの計画性や景観を維持できる。そして住人は(みんな?)株主になって配当金を上限つきで受け取り、余剰利益はまちの整備拡充に使用される」っていう点が大事だと思うんだけど、教材ではこの点がほとんど説明されていないんだよね。
・鎌倉市の御成小学校、結局どこに改築して、どのような校舎が出来上がったの??あれだけ問題の経過を説明しておいて、結果書いてくれないと気になるじゃん!!
・「歴史的な町並みを守る取り組みについて、鎌倉市の事例で説明せよ」だって?いや、教材に書いてあるのは、いかに行政が歴史的な町並みや景観を守る意思がなくて、地元民をだましながら開発を続けてきたのかということ、それに対する地元民の戦いだったんですけど!!経済優先の行政や企業に対しては法制度を作って規制していかないと勝てないよ的なことを書かせたいわけ??
・「都市化の問題について、アジアの国の事例で説明せよ」っていっても、教材で扱っている具体的なアジアの国・地域は香港、ボンベイ、ハノイだけで、どれも短くさらっとしか書いていないんですけど。それについてさらっと書けばいいわけ??
っとまあ、愚痴を書いてきたわけだが、他にも勉強中にイラッときた点はあったはずだ。
この教材、惜しいよなあ。事例研究は良いんだけど、2倍くらいに文章を膨らませて、分かりやすい記述にしてほしい。あと、都市地理学についての基本事項も、もっと扱って欲しい!
ちなみに、都市地理学を含む人文地理学の基本事項は、東京スクーリングでカバーされていました。「普通は逆じゃない?」と思いながら。
以上。