本を読む。
はじめて本を1冊読めたのは20歳過ぎてからだった。
英語もできないのに海外にいた。半年間の海外生活は英語のできない私にはなかなかのストレスで、暴飲暴食気味になっていた。そんな時に1冊の日本の本を買った。街に出かけたときに紀伊国屋書店を発見し、とりあえず中に入ってみた。英語の本だらけで(当たり前)日本の漫画も英語、でも漫画は絵がたくさんで少し安心。本屋をブラブラしていると、輝いて見えるコーナーを発見!なんと日本の書籍コーナーで日本語で溢れていて、私も喜びで笑顔が溢れてしまった。独りなのに…。
漫画を手に取り値段を見ると、日本で見た時の倍の値段で販売され、驚愕した。漫画にこの値段は出せないと、小説のコーナーへ。本を読破したことがないのにと小説を眺めていると、「ユダヤ人大富豪の教え」と書かれた背表紙。題名に惹かれ手に取ってみた。ビニールでしっかりと包まれているため中身の確認はできなかったが、値段もお手頃でなんとなく購入した。小説ではなかったが、実体験を交えてのお金や考え方に関する啓蒙本で、読んでいくとスラスラと読めた。
仕事もしていなかった。時間もあった。読破できた!はじめて1冊読み終えた感動と中身の感動とで喜びも倍になり、それから海外にいるのに日本の本を読み続けた。
読むのが遅い。本当ならここで本を読み漁ってすごい数を読んだ、みたいな感じにしたかったが、読むのが遅いその上に集中力がない。とにかく1冊読むのに数日かかる。遅くても本を1冊読めたことが嬉しくて何冊も読んだ。
時間はたくさんあった。海外にいて言葉が通じないストレスと日本語が恋しくなったこと、紀伊国屋書店があったこと、たまたまその時の状況にあった本に出会えたことで人生初の1冊読破が達成できた。
本田健先生にはとても感謝してます。