Mリーグ2022 展望
Mリーグ2022-2023ドラフトが2022年7月11日に実施され、鈴木優プロと仲林圭プロがU-NEXTPiratesに、渋川難波プロがKADOKAWAサクラナイツに指名された。Mリーグのドラフトは、略式的でも今回のように放送した方が盛り上がりますね。
今年のドラフトは、多くの麻雀関係者やアマチュア雀士達が納得した指名だったと感じます。これは、Mリーグ2020-2021ドラフト時に堀慎吾プロが指名された時と似たような期待感と納得感がありました。
そして、全チームが揃った段階で、Mリーグ2022-2023のファイナルまでの予想について考えたい。
1.選手交代のレギュレーション
2年連続ファイナルに進出できないチームは、最低1名の選手の入れ替えをしなければならない。このレギュレーションにリーチが掛かっているチームは、以下の3チームです。
・赤坂ドリブンズ
・EX風林火山
・チーム雷電
この3チームは、Mリーグ2022-2023シーズンにおいて非常にプレッシャーが掛かり易く、他の5チームより精神的強さが求められる。特にセミファイナルやファイナル進出を決める各工程の後半戦では、非常に厳しい戦いになると思われます。
2.チームの経験値による分析
Mリーグを1選手が1年間所属していた実績を1人年と計算します。そして過去4期目までの実績を計算すると以下のようになります。
1.渋谷Abemas 15人年
1.赤坂ドリブンズ 15人年
3.セガサミーフェニックス 13人年
3.KONAMI麻雀格闘倶楽部 13人年(※1.)
3.チーム雷電 13人年
6.EX風林火山 10人年
7.KADOKAWAサクラナイツ 8人年(※2.)
8.U-NEXT Pirates 7人年
※1.滝沢和典選手は、昨年移籍という形をとっているので、4人年という計算をしています。
※2.KADOKAWAサクラナイツは、Mリーグ2019-2020より参加したチームなので、他チームより1年分若い即ち最低3~4人年少なくなります。
麻雀の強さも大事ですが、最後のちょっとの差を制するのはMリーグという大舞台をどれだけ経験してきたかという個人の経験値そしてチームの経験値が僅かの差に関係してくると思います。
そして、この一覧表と過去の実績を鑑みると以下の3チームが安定する事が予想されるチームとなります。
・渋谷Abemas
・セガサミーフェニックス
・KONAMI麻雀格闘倶楽部
赤坂ドリブンズがレギュレーションに該当していなければ、安定するチームの1チームとなっていましたが、今年はレギュレーションに該当するので厳しい戦いが予想されます。
またKONAMI麻雀格闘倶楽部は、昨年、Mリーグ経験4年の実績がある滝沢和典選手が合流した事が非常に大きかった事も読み取れます。
3.チームの実績による分析
優勝・準優勝という概念を抜きにしてファイナル進出をした回数をカウントすると以下となります。
1.渋谷Abemas 4回
2.KADOKAWAサクラナイツ 3回
3.EX風林火山 2回
3.赤坂ドリブンズ 2回
3.セガサミーフェニックス 2回
3.KONAMI麻雀格闘倶楽部 2回
7.U-NEXT Pirates 1回
8.チーム雷電 0回
ファイナル進出回数の観点でも、渋谷Abemasは初年度から常にファイナルに進出しています。今年も渋谷Abemasのファイナル1枠は非常に濃厚であるという事が言えるでしょう。
そして、渋谷Abemasに次いでKADOKAWAサクラナイツもチーム発足時から昨年度まで必ずファイナルに進出してきた実績があります。沢崎誠プロが牽引してきた大きな貢献が有りましたので、サクラナイツとしてはチーム総力戦でファイナル進出の記録に拘りたいです。
4.Mリーグ全体テーマ
「興行無視、命の打牌、雀士の重み」
昨年までのMリーグの歴史を鑑みた上で、5年目のMリーグ2022-2023は「興行無視、命の打牌、雀士の重み」をテーマとして捉えたい。
昨年Mリーグ2021-2022は、ファイナルの最終試合やレギュラーシーズン最終試合は、Mリーグの歴史に遺る名試合でした。その両試合における共通点が、命の打牌そして打っている雀士の人生を感じる打牌を感じられた事です。今年もそのような名試合が多く出現すると信じています。
興行無視とは、選手が卓上で興行を意識した打牌選択や所作、表情をすることを意識する必要が全く無いという事です。過去のMリーグの実績から既に多くのアマチュアファンがMリーグを楽しみにしています。胸が熱くなるような真剣な試合を望んでいます。Mリーグは既に選手が小手先の表現をしなくてもアマチュアファンを魅了するコンテンツになっています。
選手にとって一番重要な事は、1試合1試合に対して精神と身体を万全に整えて、1打1打に選手の雀士人生を乗せれば良いだけです。仏面顔で黙々と麻雀を真剣に打つそれだけでファンに伝わります。勿論ファンサービスも重要なので、卓外である勝利者インタビューやファンミーティングなどでは、選手の素の良さを表現すれば良いでしょう。
Mリーグ2022-2023は、命ある打牌、そして雀士人生を感じる打牌がどれだけ多く出現するかが、今からとても楽しみです。
5.渋谷Abemas
「10年目標の1年目」
昨年の表彰式でチームリーダーの多井選手が10年間同じチームでやりたい主旨を表明しました。このチームの伝統としてファイナル進出だけは譲れない目標です。
このチームの特徴としては、「固い」です。チームリーダーの多井選手そしてサブリーダーの白鳥選手2名の連帯率が高く、ラスを余り引かない。そのため、チーム全体の成績が安定し易い。今年はレギュレーションチームが、3チーム、そしてチーム編成が替わったチームが2チームと渋谷Abemasにとっては、経験の優位性を発揮できる状況が揃っています。ファイナル進出の確率は非常に高いと感じます。
優勝に関しては、全選手がMリーグの興行を意識しないでぶち抜けた成績で走る切るパターンが望ましいと考えられます。即ち、チームポイン654.7ptsを獲得したMリーグ2020-2021レギュラーシーズンのような動きを再現したいです。
5-1.多井隆晴
「抑えこみ」
Mリーグで活躍していたらゲージューになっていた多井選手は、気が付けばレジェンド枠のような存在になりつつあります。
そんな多井選手の守備力はホタテやカキの貝殻よりも固く、取り崩すが難しい選手の1人です。多井選手は、今期初参入の鈴木優、仲林、渋川戦では闘志を燃やし、Mリーグ一の試合巧者ぶりを発揮すると思われます。
そして、レギュレーションに該当する3チームにとっても多井選手の存在は、目の上のたんこぶだろう。チーム10年継続宣言の1年目他チームの大たんこぶになるべく今年もチームを牽引したい。
5-2.白鳥翔
「キャリアの差」
白鳥選手は、Mリーグ2018-2019のレギュラーシーズンにおける個人スコアにおいて、最下位の記録をマークした。その時に白鳥選手は、Mリーグ初の地獄を味わいました。Mリーグにアジャストできていなかった白鳥選手に対して、恐ろしい程屈辱的なコメントが流れていた。
そんな地獄の初年度を経験した翌年のMリーグ2019-2020シリーズでは、個人スコアが4位という成績を収め、更には第28期發王戦でタイトルを取得する輝きを魅せた。まさに悔しさをバネに結果でファンにその強さを証明した年でした。その後の2年間の成績は毎年+100pts以上を収め、チームの安定する原動力となっています。
今年Mリーグ2022-2023の白鳥翔は燃えている。同世代の鈴木優、仲林、渋川選手にMリーグ在籍5年目のキャリアの差を魅せつけるべきだろう。
5-3.松本吉弘
「若手筆頭」
松本選手は、Mリーグ初年度に初参加した時には26歳の若手としてデビューした。気が付けば渋谷Amebasの屋台骨を支える大切な中堅となり、ここ2年間の成績は非常に安定した結果を残しています。
そんな松本選手も気が付けば30歳になりましたが、男性選手では一番の若手です。30歳になっても若手の筆頭として活躍したい。今年も得点を沢山取られても親番を死守して和了まくる松本選手を観たいです。
5-4.日向藍子
「Mリーグ随一の強運」
日向選手の強運は、Mリーグ界一と言って過言ではないでしょう。
麻雀は、4面子1雀頭を手牌で構成するゲームです。一般的なプロやアマチュアでは、手牌や自摸が悪いと捨て牌と手牌を合わせても3面子1雀頭を構成するのがやっとです。そして手牌や自摸が良い時は、捨て牌と合わせて5.5面子1雀頭ぐらいが平均的な運でしょう。
日向選手の場合、調子が良い時に7面子2雀頭程度構成できているのです。だから、日向選手が、守備寄りに構えて軽く流したい局面でも、面白いぐらいゴツゴツした手が入って守備牌に困ってしまう現象が起きます。
新人Mリーガー達に爆運の恐ろしさを魅せるべきでしょう。
6.セガサミーフェニックス
「平常心、健全な精神と健康美」
セガサミーフェニックスと言えば、女性3名に男性1名という構成を貫いてきたチームです。過去2回のファイナル進出時には、極僅かの差で優勝という所まで上り詰めています。昨年のMリーグ2021-2022ではチームワークが非情に良くそれぞれの選手が、役割を上手く果たしたように感じます。
今年のセガサミーフェニックスにとっては、大チャンス到来です。レギュレーションに該当するチームが3チーム、チーム編成に変更があったチームが2チームと過去の経験を活かして、落ち着いた試合を展開し易い状況にあります。
6-1.魚谷侑未
「平常心自然体」
魚谷選手は、攻守のバランスが取れたバランス型選手でありながら、強気な攻めをみせる攻撃型でもあります。Mリーグ2019-2020では、個人スコア451.4ptsを獲得し、 Mリーグ史上初の女性選手のMVP獲得を成し遂げました。
昨年のレギュラーシーズンで感じた魚谷選手は、少しファン目線の期待を意識し過ぎていた感じを受けました。即ち、MVPを獲得した年は、大変高い集中力で余計な事を考えずに麻雀だけに没頭できていたと思います。昨年は、少し肩肘が張っていた感じを受けます。
今期の魚谷選手が活躍できるかは、本noteの先頭に記載した「興行無視」に掛かっていると思います。それは、魚谷選手ファン、セガサミーファンの過剰なイメージを背負い過ぎるのではなく、自然な精神状態で勝っても負けても自分の選択、そして自分の選択と同卓者の選択の意識の差を味わい、麻雀を楽しむ事だと思っています。
6-2.近藤誠一
「健康そしてスタミナ」
近藤選手は、Mリーグにおいて年1回芸術的な試合を必ず残しています。レジェンド組の沢崎誠プロが昨年契約を終了され、気が付けばMリーグ最年長になっている近藤選手。
近藤選手の特徴は、チームの成績が傾きかけた時に流れを一気にチームに持ってきます。そんな力強い近藤選手の課題は、ロングタームを健康に過ごす事でしょう。新規参入した鈴木優、仲林、渋川選手は共に30代と現役バリバリの体力と集中力、そして雀力がある選手達です。そんな選手達に、スタミナ負けだけはしないで、いぶし銀を利かせてほしいです。
6-3.茅森早香
「健康優良児」
茅森選手は、ここ2年間非常に成長しています。特に試合に対しての精神・健康状態の整え方は、ベスト3に入る程上手くなっています。
選手自身及びチームでどのような事が起きても、茅森選手が出場する時には、非常に集中力が高く顔つきも良く、程よい高揚感を感じさせます。
茅森選手の良い所は、化粧が限りなく薄く派手な印象を受けず、トータルの纏め方が健康的なんですよね。今年もファンやチームの状況に左右される事なく、万全な整え方を多くのファンに披露して欲しいと思っています。
6-4.東城りお
「成長」
初めて東城りお選手が、昨年のMリーグ2021-2022ドラフトにおいてセガサミーフェニックスに指名された時には、正直がっかりした。結局、美人を売りにした興行枠・連盟枠なんだろうと感じた。
Mリーグ2021-2022の全試合が終了して、自分の認識が間違いで有った事に気が付きました。
新人1年目でありながら、卓につく精神状態は非常に安定しており、打牌選択も非常に落ち着いた選択をされており、他団体のガチ勢にも堂々とチャレンジされていた。その上で、レギュラーシーズンでは+55.9pts(15位/32選手中)と安定した成績を残し、麻雀での存在感も十分に示した1年だった。今年の東城選手は、昨年と同じように自分のペースで安定した精神状態を保ち、感性の赴くままに自分の選択をすれば良いと感じます。
一つだけ老婆心ながら記述させて頂くと、昨年の個性の出し方や美の表現方法は、東城選手の良さを活かせておらず子供向けの色付けをされています。美人さんなので、素の美しさを素直に表現し、内側から沸き起こる美を追求される方が、今後の長期的な事を考えると望ましいと感じます。
7.KONAMI麻雀格闘倶楽部
「渇望」
KONAMI麻雀格闘倶楽部は、人気チームの筆頭です。そんな人気のあるチームは、昨年と同様にファイナルへ行くことが最も大切な義務です。昨年、滝沢選手と伊達選手の活躍により、優勝への道筋に光が差した感覚を受けました。優勝を渇望しているファンに初の栄冠をもたらしたい。
そして、人気がある故に選手1人1人にプレッシャーが大変かかり易く、選手が疲弊し易いので、4選手が健康に走り切る事を大切にして欲しい。
7-1.佐々木寿人
「Mリーグの象徴」
誰が何と言おうとも、ここ4年間の佐々木寿人選手は、Mリーグの象徴的な選手としてMリーグを牽引してきた選手の1人です。麻雀の体感が非情に優れており、攻撃回数、攻撃力が高く、勝負感も優れている。
自団体の最高峰タイトルである鳳凰位を現在2連覇中であり、これも三連覇を目指したい。その上で、Mリーグでは佐々木選手が大暴れする試合を沢山視たい。
7-2.高宮まり
「自分を超えろ」
高宮まり選手のレギュラーシーズンの成績を鑑みると2019-2020を除き、▲273.9,▲246.0,▲237.4となっています。高宮選手の雀力を考慮すると踏ん張っている方だと感じます。今年は、-200pts以内に収めれば、過去の実績から鑑みると必ずチームに貢献している事を意味します。
そして高宮選手の過去の戦いを鑑みると、やはり「興行無視」というテーマが当てはまります。高宮ファン、コナミファンの想いを強く意識している時に肩に力が入り過ぎて、思考や選択に影響しています。勝つか負けるかが重要ではない、自分が納得した選択を卓で表現し、相手の選択に関してその意図を少しでも多く感じ取る事が一番大切です。今年の高宮選手には、無心に没頭して欲しいです。
7-3.滝沢和典
「ブランド力を磨く」
昨年のMリーグでは、KONAMI麻雀格闘俱楽部ファン全員が喜ぶ活躍をみせ、チーム、ファン、選手にとって素晴らしい移籍となった。そして、滝沢選手自身、佐々木寿人選手とのタキヒサというブランド力が向上した1年間だった。
この滝沢選手のブランド力、タキヒサのブランド力を更に向上すべく、今年もチームを安定する立ち回りをみせたい。タキヒサの対抗相手は、ルミアキではない。今期Piratesに新規参戦した優・じゃがコンビでしょう。
7-4.伊達朱里紗
「自分との闘い」
Mリーグ2021-2022でKONAMI麻雀格闘俱楽部に伊達旋風を引き起こした伊達朱里紗選手。昨年は、最高スコア部門のMVPを獲得し、更には個人スコア部門においても最後まで上位争いをしました。そして、Mリーグ1年目ながら非常に麻雀感が確立した選択をしており、Mリーグガチ勢に対して、五分以上の大健闘をしていました。
そんな伊達選手の今年のテーマは、自分との闘いです。伊達ファン、コナミファン、Mリーグファンは昨年の強烈な1年間を覚えており、今年も大きな期待からプレッシャーが係ると思います。そのような大変な環境でも、冷静さ・謙虚さ・集中力・読み・攻める姿勢・自分らしさを大切にし、精神面・身体面を整え今年も活躍して欲しいです。
8.U-NEXT Pirates
「天空船」
今期のPiratesは、ドラフトの人選からして、その本気度が伺えます。リーダーは、将王の小林剛選手。そして、Mリーグ2021-2022においてMVPを獲得した瑞原明奈選手。その上に新規参入者が、最高位の鈴木優選手、發王位の仲林圭選手と全員タイトルホルダーとなり、否応なしに期待が高いチームです。
新人Mリーガー2人が、10,11月頃の早い段階で対戦選手やMリーグルールにアジャストして年内で上位チームに絡みたい。
8-1.小林剛
「リーダーシップ」
小林剛選手は、初年度を除きここ3年間のレギュラーシーズンでは必ず+150pts以上の獲得そして個人スコアベスト10に必ず入賞している。チームが困難な状況には、「1日1剛」といわれるほど試合に参加し、チームを安定させている。
今年の小林選手の課題は、チームを取り纏めるリーダーシップを求められます。雀力は高い新人Mリーガーですが所詮1年生です。新人達の能力を100%だせるチームの雰囲気作りが小林選手に求められる最初の仕事でしょう。
小林選手が、レギュラーシーズンにおいて30試合出場している時には、チームの総合力が不安定であると認識して良いでしょう。逆に小林選手が20~25試合という範囲に収まっている時には、チームの調子が良いと判断できるでしょう。
8-2.瑞原明奈
「コツコツ」
Mリーグ2021-2022のレギュラーシーズンにおいて、個人スコアにおいてレジェンド沢崎プロと壮絶なMVP争いをして、多くのファンに麻雀の魅力と感動を届けました。
今年の瑞原選手もマイペースに周囲の過熱な期待やイメージに惑わされる事なく、集中力・冷静さ・自分らしさ・Piratesらしい積み重ねを大切にして、コツコツ1試合1試合を積み重ねを大切にしたい。既に周囲との戦いではなく、自分自身との闘いが今年も始まっています。
8-3.鈴木優
「現最高位のプライド」
最高位日本プロ麻雀協会の最高峰のタイトル最高位を獲得している最高位日本プロ麻雀協会の顔とも言える現最高位鈴木優プロが、満を持してU-NEXT Piratesのチームメンバーになりました。
先にMリーガーになった近藤、村上、園田、鈴木たろうの活躍を考えると期待せざるを得ない。自団体の最高峰のタイトルを保持しているタイトルホルダーは、そのプライドに賭けてその麻雀の強さをMリーグの舞台でも発揮したい。
Mリーグに長く在籍されている選手達の経験値は油断ならない。鈴木優選手の持ち味を活かした上で、型に嵌らずに色々とチャレンジして欲しい。11月末までに0pts以上を保持していれば、立ち上がりとしては上出来な出来といえるだろう。
そして、多くのファンが色々と熱い期待とイメージを多く持ち、過剰なプレッシャーが起きえると考えられます。そのような環境下でもブレる事無く自分が培った麻雀をそのまま表現できるようにすることが最も大切な事だと思います。
8-4.仲林圭
「Mリーグ界の暴れる君」
仲林選手のキャラクター的に小さく纏まる選手には、なって欲しくない。勝っても負けても、自分らしい感性の赴くままの選択を続けて、Mリーグ界の暴れる君の座を得たい。乱数は、リーダーの小林船長が何とか調整してくれるだろうから、早いタイミングで周囲の声に惑わされる事なく伸び伸び打ち切る事が、序盤戦で大切な事と感じます。
現役發王として、過去發王を獲得した渋谷Abemas白鳥、松本選手との新旧發王対戦が面白そうです。
9.赤坂ドリブンズ
「技術で勝つ」
赤坂ドリブンズは、男性選手3名のおっちゃんズが麻雀のハイスキルを売りにした麻雀職人集団です。それぞれタイプが全く異なるタイプの雀風だが、しっかりとした芯の強い麻雀を特徴としています。
昨年の結果から、今年は選手入れ替えのレギュレーションの該当要件にリーチが入ったシーズンになる。今年は今まで以上にプレッシャーが係るシーズンであり、麻雀職人集団でも今まで以上に苦戦が予想されます。
只、この赤坂ドリブンズのアイデンティティは、麻雀の高い技術で勝ち切ることによってのみチームの存在意義を証明できる。
昨年の敗退の理由は、明確でチーム全体で他チームの仕上がりを過少評価した事によりレギュラシーズン弩終盤の1月、2月に追い越せなかった事に起因します。後から追いつく追い越せるだろうという考えは、年々全体的に強くなっているMリーグでは通用しません。年内12月末の最終試合までに4着前後に位置づけなければなりません。
また、おっちゃんズも園田41歳、村上47歳、鈴木たろう48歳と気が付けば皆おっちゃんになっているので、健康な身体を意識する事も大切
になってくるでしょう。
9-1.園田賢
「体感を研ぎ澄ます」
園田選手は、変芸自在の鳴きを主体とした技術の高い麻雀を表現されています。年に1回必ず、園田Mリーグ映画監督作品を色々と残しています。
そんな園田選手も既存のMリーガー達に対しても、新規参戦した鈴木優、仲林、渋川相手に燃えないわけがないでしょう。
高い技術以上に私は、自摸力を高める方向即ち麻雀の体感の鋭さを更に研ぎ澄まして欲しいと毎年思っています。今年も勝利者インタビューで尺が足りない喋りを期待しています。
9-2.村上淳
「挑戦者」
麻雀の勉強量、技術そして面前主体の高打点麻雀の質は、麻雀を知っている人ならば、その実力は周知されている。昨年、村上選手がMリーグ人生で初めての地獄を経験して、▲384.1(30位/32人中)という屈辱的な成績を残した。
今年は、実力を考えると昨年のような底は起きずに上昇するだけだろう。但し、年々若手達も成長し、新たに参加した選手達も今乗っている雀士達です。
そんな、全体的に雀力が上がっているMリーグでは、ベテランの村上選手でも若手達から謙虚に学ぶ姿勢と挑戦する気持ちを持ち続ける事が、今年の活躍の鍵を握っていると思います。
9-3.鈴木たろう
「元祖踏み込み王」
鈴木たろう選手の麻雀は、ギリギリまで踏み込んで攻撃に参加し続けている所に面白さがあります。
サクラナイツの堀選手、KONAMI麻雀格闘倶楽部の伊達選手、風林火山の松ヶ瀬選手、新規参入の鈴木優、仲林、渋川選手など反発精神が旺盛な選手が増えてきています。元祖踏み込み王として、これらの勢いのある選手達に踏み込み返しを魅せる必要があります。
また、年齢がゲージューという大台が近くなっているので、1年間のハードスケジュールを走り切るために村上選手と共に健康管理には、留意して欲しいです。
9-4.丸山奏子
「成長のみに集中する」
丸山奏子選手は、Mリーグ一幸せな選手です。それは、赤坂ドリブンズの選手育成に対する指針が素晴らしく、過去3年間丸山選手は、落ち着いた試合数と落ち着いたチームでMリーグの1試合1試合を糧としてきた。
今年は、レギュレーションに該当し、チームに通年と異なる重圧が係ることになるであろう。そんな中、丸山選手がやるべき事は、ファンの熱中やファンの期待に対して、ブレる事無く1試合1試合を成長の糧としていく事に集中するだけです。今年の新人達にMリーガーの経験全てをぶつけてやりましょう。
10.KADOKAWAサクラナイツ
「新たな挑戦」
昨年Mリーグ2021-2022に壮絶な最終戦を制して、初優勝を成し遂げたKADOKAWAサクラナイツ。今年は、Mリーグに初参加した初年度以来の試練が訪れている。沢崎プロの過去の功績は、ポイントを稼いできた以上にチームメンバー全員に安心感を与えていた。
今年は、精神的支柱が無くなった直後において、チームメンバー全員の精神的強さとチームワークが試される1年になるだろう。
10-1.内川幸太郎
「リーダーはドッシリ」
内川選手が調子の良いときには、リーチ・ダマ・鳴き・守備などのリズムが大変良い、玄人好みの麻雀感を持たれている。弱点としては、生真面目過ぎて、ファンの期待や熱中、個人成績、チーム状況に精神的な部分が左右される所があります。
今年は、内川選手自身、岡田・堀選手、そして新規参加の渋川選手が浮足立ちやすい初めての状況が起きるでしょう。そんな時のリーダーの役割としては、どんな状況になっても精神的・身体的に落ち着くことが求められます。
興行やチームの人気、内川選手自身のファンは、自然体でドッシリしていれば自然と増えていくはずなので、周囲の状況に流される事なくリーダーとしての落ち着きを今年は表現したい。
10-2.岡田紗佳
「成長と和み」
岡田選手は、昨年のMリーグ2021-2022レギュラシーズンに初トップが中々取れず精神的に追い詰められた時期を経験した。岡田選手にとって重要な事は、目の前の勝ち星以上に色々なMリーグでおきる出来事を成長に繋げる事が求められる。今年も岡田選手にとっては、大変なリーグ戦になるでしょうが、その大変な経験を糧にできるのが若い選手の特権です。
そして、チームの男性選手3名は、それぞれ年齢が近く麻雀に対してもそれぞれの美学がある。男性陣に気まずい雰囲気が流れた時に明るい笑顔でチームに和みをもたらせるのも岡田選手の大切な役割だと思います。
10-3.堀慎吾
「MVP争い」
堀慎吾選手は、Mリーグ2021-2022においてレギュラーシーズンは沢崎プロと並んで最後までMVP戦線に残っていた。更には、ファイナルシーズンでは、セガサミーフェニックスの近藤選手と優勝を争う大変大きな一戦の重責を果たした。
そんな強いMリーガーの堀選手でも、今年は苦戦すると思っています。それは、沢崎プロという師匠のような存在が精神的に大きく影響していたと感じます。師匠を安心させるためにも、今年もMVP戦線に残ることが堀選手に期待されることです。
10-4.渋川難波
「自解説越え」
Mリーグ初年度から「Mリーガーになりたい」と訴え続け、その想いを継続したYoutube活動や解説などで地道に活動し、更には第20期雀王という自団体の最高峰のタイトルを獲得し、悲願のMリーガーに4年越しの努力によって実現した。
解説者としては、ファン達から大変高い評価を受けている渋川選手。前評価が高く、期待の大きさが他の新人選手達よりプレッシャーが係り易い状況が既に起きています。
Mリーグにアジャストする11月末頃までに原点である0ptsを維持している事を目標にするぐらいがちょうど良いでしょう。ファンの過熱なイメージに押しつぶされる事無く、解説者時代の良さを選手になっても維持して欲しい。
11.EX風林火山
「男女平等」
風林火山は、他チームと明らかに趣が異なるチームです。それは、過去4年間女尊男卑を感じるぐらいに男性陣の登板数が多い。昨年は、禁断の松ヶ瀬攻め、勝又攻めと非常に偏りのある登板をみせ、一時期はチーム500pts越えを魅せた。しかし結果として総合力において他チームに苦汁を飲んだ。Mリーグのここ2年間の特徴としては、総力の強いチームが必ず勝つ傾向が著しく、チームの総和としての戦いが求められる。
風林火山がセミファイナルに進出するかどうかは、長期レギュラーシーズンにおいて男女平等に均等した試合登板をできるかによります。偏った登板をみせれば、必ず選手がスタミナ負けし、他チームのしぶとさに打ち取られる結果となる。
風林火山は、選手入れ替えのレギュレーションにリーチが掛かっているチームです。4選手は、生き残るためにチームのためにという事だけではなく、選手1人1人が生き残るための最前を尽くす事が求められます。
11-1.二階堂亜樹
「1試合でも多く」
二階堂亜樹選手は、Mリーグ2021-2022レギュラーシーズンにおいて連続2着記録を作るほどの安定感を収めた。今期険しい戦いが予想される風林火山における亜樹選手に求められるのは、1試合でも試合を多く消化する事です。
亜樹選手がトントンで試合を消化できるとポイントゲッターである勝又選手と松ヶ瀬選手にゆとりを与える事になる。持ち味の守備的な麻雀で、ラス回避率を高め持久戦に負けないように勝又・松ヶ瀬選手の負担を下げることが風林火山に勝機が見出せます。
11-2.勝又健志
「大黒柱」
勝又選手は、初年度から風林火山を支え続けた大黒柱の選手です。強敵な新規参戦選手が入ろうとも、選手交代のレギュレーションにリーチが係ろうとも、勝又選手はチームの屋台骨を支える大黒柱として個人スコアベスト10に絡む働きを魅せなくてはならない宿命があります。
今年も持ち前の冷静さと踏み込みの強い攻撃参加でチームを牽引したい。
11-3.松ヶ瀬隆弥
「MVP戦線」
松ヶ瀬選手は、168名もの麻雀プロが参加されたEX風林火山オーディションを優勝し、昨年待望のMリーガーとなった。Mリーグ入りを熱望していた松ヶ瀬選手は、レギュラーシーズン最終盤までMVP戦線に残り続けた。勝又選手と並んで、風林火山を支える柱として今年もMVP戦線に張り付きたい。
新規Mリーガーである鈴木優、仲林、渋川選手との対戦が非情に興味深いです。
11-4.二階堂瑠美
「興行を考えない」
二階堂瑠美選手がパツキンに染めた理由を分かるだろうか?背丈や顔つきそして風貌が亜樹選手とそっくりなので、新規ファンに区別がハッキリつくようにパツキンにしている。
昨年デビューした瑠美選手だが、全てにおいて同団体出身の伊達・東城・本田選手に負けている。一番足りていない所は何かといえば、精神力。
Mリーグにおける興行即ち新規ファンを獲得する事を理由に、変顔や落ち着かない所作などを行い、卓上での精神的不安定さが垣間見られた。
Mリーグは既に、プロ雀士が真剣な麻雀を打つだけで十分興行が成り立つ程のブランド力を維持できている。興行を理由に卓で数字に拘らない選手は、弾き飛ばされていくのが、Mリーグです。
今年最後の1年だと思って、素の良さと麻雀に集中しきった瑠美選手を表現しなくてはいけない。では、そのような状態を引き出すには、監督が興行的数字でヒステリックになっても興行を無視して、麻雀プロの全てを卓に置いていけばいいと思います。
12.チーム雷電
「我武者羅に藻掻く」
Mリーグ2022-2021のレギュラーシーズンにおいて、▲1256.1というMリーグ史初のマイナス4桁という屈辱的な成績を残したチーム雷電。選手入れ替えのレギュレーションにリーチをかけ、今年ファイナルに進出しなければ最低1名の選手を交代する。
今年の雷電は、ファイナルに進出することは相当厳しいであろう。ほぼ同じ体制で、4年間に1度もファイナルに進出できていない実績で、レギュレーションというプレッシャーが係る状態では、ファイナル進出は限りなく0に近い。しかしながら、どのような順位になるにせよ、どれだけ最後の抵抗を示すかがとても重要になってくる。
来年の今頃の時期を予想して、大切な事を言いたい。レギュレーションに該当した折には、新人の本田選手を変えれば、瀬戸熊・黒沢・萩原体制は維持できるだろう。只、そんな形式的なレギュレーション逃れのような手段を使っては、雷電は必ず地に堕ちるであろう。どんな事があっても、負けたら一番若い本田選手だけは必ず残し、他3選手は解散する覚悟を今の段階で宣言して欲しい。
12-1.萩原聖人
「-100は+200」
Mリーグ界を4年間支え続けた日本有数のタレントである萩原聖人選手。芸能界一の麻雀愛をMリーグ内で表現してきました。萩原選手は、過去の実績から考えると▲200pts~▲100pts内に収めるだけでもチームは、+100から+200ptsを稼ぐことを意味します。
瀬戸熊、黒沢、萩原3選手の最後の挑戦として、今シーズン悔いを残さないように伸び伸び自分の感性に赴いた手を選択すればいい。その結果、チームが来期のレギュレーションに該当した場合には、瀬戸熊・黒沢・萩原3名で潔く責任を取ればいい。雷電と萩原選手は、魅せる麻雀とか雷電の麻雀とか上辺的な事ではなく、兎に角我武者羅であることが、本質的なチームカラーです。
12-2.瀬戸熊直樹
「プライド」
昨年のMリーグ2022-2021レギュラーシーズンにおいて、個人スコアは最下位の▲405.5ptsを記録し、チームとしても▲1256.1と瀬戸熊選手の雀士人生において初めての大きな屈辱を経験した。このままでは来期、選手として残るにしても、責任を取って交代するにせよ悔いが残る。
瀬戸熊ブランドそして雷電ブランドの信頼回復をすべく、今期はファンに甘える事なく兎に角数字に拘り、我武者羅に戦い、瀬戸熊選手のプライドをみせて欲しい。
12-3.黒沢咲
「戦う母親」
チーム雷電で唯一の女性選手でありながら、過去4年間全ての成績が黒字経営で収めています。昨年においては、自団体最高峰のタイトル戦鳳凰戦に女性初の決勝リーグ進出を決めた。チーム全体の事を考え、ファンの事を想う黒沢選手は、今年だけは自分の成績を叩きだす事のみに集中した方が良い。
持ち味の胆力の効いた面前高打点麻雀は、どんな選手が参加しても通用するはず。先手を取られても落ち着いた精神力をキープできるかが重要になってくると思います。
12-4.本田朋広
「個人戦として割り切る」
昨年Mリーグ一年生としてデビューした本田選手は、非常に厳しい戦いが続いた。私が一番気になったのが、本田選手が見る見る痩せていくもしくは窶れていく様子を鑑みた時に、責任感を非常に感じている生真面目な青年だと思いました。
Mリーガーになって多忙になった事もあるでしょうが、一番の原因は成績が頼りないチームで、過剰の期待をされている事でしょう。今年選手入れ替えのレギュレーションにリーチが係った雷電ですが、本田選手は、チームの成績の事や興行の事は一切責任を負わなくてよい。
我武者羅に32名の成績表である個人スコアとにらめっこして、本田選手がチーム内の3名の成績と競い、同世代鈴木優、仲林、渋川選手と個人成績を競えば、自然とチームに貢献する事になる。
先ずは、Mリーガーになり立てだった頃の元気を取り戻して欲しい。
13.纏め
今年のMリーグも熱くなりそうです。
色々なドラマがある事でしょう。
Mリーグを視聴するファンが増えて、熱狂が多くなり期待も高まっている5年目の今だからこそ、選手達にはファンの感情にブレる事無く卓上で麻雀人生を乗せる事だけに集中して欲しいです。
今年もMリーグ史に残る名試合が多く出現することを楽しみにしています。