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悠久の風


長野県 奥信濃 飯山の春は遅い

やっと暖かくなった5月の上旬
見渡す限りの菜の花の黄色と柔らかな桜のピンクが美しい
白い雪の残る山々から届く風はまだ清々しく
全てのものが青い空に静かにそよぐ

長く厳しい冬のあとに訪れる雪国の春は
希望と慶びに満ちている


托鉢の響く声
つぎはぎだらけのボロ着を身に纏った
生一本な性格のひとりの僧侶がいた

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無愛想で観光客に笑うでもなく、媚びるでもなく
ただただ自分の信念を曲げずに
深い義理と人情を持って実直に生きた寛道和尚

檀家もなく、拝観もなし
托鉢だけで暮らしながら、田畑を耕す
一見とっつきにくいその風貌とは裏腹に
彼を知った地元の多くの人に慕われていた

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四季折々の美しい春夏秋冬が残るこの町
日本でも有数の豪雪地帯で冬には全てのものが白に染まる
この町に来るといつも清冽な風を感じる
冬はそこに猛烈な寒さと厳しさが伴うが
この静けさはなによりも美しい

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寛道さんの愛した飯山に、また長い冬がやってくる







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