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乙武洋匡さんとの出版記念トーク特集記事公開!

先日の乙武洋匡さんとの出版記念トークこちらからほぼ全内容をご覧になっていただけます。

ハイライトだけご紹介します!!!

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収束しても、日常に戻れない人たちがいることを忘れないで

税所:最近、五味太郎さんのインタビューを読んだのですが、記者が「感染症によって、大変なことになってしまいましたね」と言ったら五味さんが、「コロナ前、あなたは居心地がよかったのですか?そもそも、居心地のいい社会だったんですか?」と返されていたんですよ。

このインタビューを読んだとき、オトさんがブログに書いていたことを思い出して、僕ハッとしたんです。外出自粛だったり、制限のある生活だと思っていたけれど、こうなる前から、制限のある生活をしていた方はたくさんいるんだよなと。でも、こういう大事なことって、人間どうしても忘れてしまいます。どうしたらいいんですかね……。

乙武:読んでいない方のために、私がブログで書いたことを説明しますね。今、多くの人がコロナ禍で混乱し、戸惑っています。なぜなら、今までの生活が成り立たなくなったから。電車に乗って会社にいく、外食をするとか。でも、それらをもともとできていなかった人たちもいるんです。車椅子に乗った人や視覚障害のある人が、毎朝電車に乗って会社に向かうことは、至難の技ですよね。それから、不登校になっている子や、病気で長期入院を余儀なくされている子なども、学校に通うことができなかった。

それを考えると、みなさんはコロナで大変なのかもしれないけど、今みなさんが直面している困難を、ずっと日常として直面してきた人たちもいます。コロナが収束しても、日常に戻れない人たちがいることを忘れないでください、とブログに書いたんです。

税所:忘れてはいけない、大事なことですよね。

乙武:でも、アツが言うように人間の記憶というのは、風化されて日常に洗い流されていくよね。ここで大事なのは、自粛中にようやく出来かけた、オプション的なシステムをなくさずに、残していくこと。例えば、教育でいうとオンライン教育。今までは未来のことでしかなかったけれど、休校状態が続くなかではじめて一般的に、オンライン教育を充実させようという声があがってきた。

コロナが収束すると、きっと「オンライン教育を整備する必要があるのか」という議論になると思う。でも、そうじゃなくて、コロナがあろうがなかろうが、不登校の子どもや病気で入院している子のために、オンライン教育を充実させなければいけない。そもそもコロナは、第二波、第三波が訪れるかもしれないから、そのオプションをどう残していくのかが大事なところだよね。そうやって考えていかないと、学校が再開しても、従来の姿に戻ろうとしてしまう。

徳留:実際、学校は従来の姿に戻ろうとしています。少人数で授業をすることの良さなど、みんな実感しているはずなのに、なぜ戻ってしまうのですかね。

乙武:社会的なコストの話をすると、多様性はコスパが悪いんですよ。同質な人を集めて1つの方法で教えるのは、コスパがいいんですよね。でも、そこに入りたくても入れない人たちもいる。生まれたときから大多数でない人たちにとっては、完全に排除されたうえで成り立っているシステムですよね。

たしかに、戦後復興していくために、この方法は仕方なかったのかもしれない。でも、その時代は終わりました。ここからはコスパ重視ではなく、一人ひとりの尊厳を大切にしながら誰もが豊かな学び、豊かな生き方を保障される仕組みを整えていくことが、大事だと思います。

でも、生まれた環境など与えられたカードが不利で、自分ではどうにもならない場合、そのまま生きていくしかないというのは、本当に豊かな国ではないと思っています。どんな環境に生まれても、きちんと選択肢やチャンスが与えられる。これが本当の意味での健全な国であり、豊かな国だと思っています。

だから、基本無償の公教育が大事なんです。今の課題は、不登校の子どもたちを経済的にどう救っていくかです。今って、ようやく社会の認識として、不登校ってそこまで悪くないよね、いろんな学び方があるのも当然だよね、と浸透してきたと思うんです。

でも、その認識に社会が追いついていない。公教育のやり方に合った子はお金がかからずに済んで、合わなかった子は自分が悪いわけではないのに、お金を払わないと教育が受けられない。ここはなんとかしたいなと思っています。

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おかげさまで重版が決まりました!感謝です!


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