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Study18.豊栄の郷土料理を再現してみる。vol.2(豆腐編)

2月からスタートした地域食文化の掘り起こし「豊栄の郷土料理をつくってみる会 」、2回目のテーマは「豆腐づくり」です。豊栄町に暮らす70才前後の方々の中には、現在も豆腐づくりを続けている方がいらっしゃいます。今回は、そんな豆腐づくりを続けているお母さんからお豆腐づくりを教わることができました。

野菜Laboが教科書にしている「ふるさと とよさか 新 四季の味」には、「特産物(大豆)を使った加工方法」として豆腐が掲載されています。

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「ふるさと とよさか 新 四季の味」に出会った経緯についてはこちらの記事をご覧ください。
Study14.豊栄の郷土料理を再現してみる。(ゴボウ編)

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お邪魔した厨房には手書きのイラスト付きレシピがまとめてありました。この豆腐レシピは、お母さんが50才の頃、80才前後の地域のおばあちゃんおじいちゃん方から、地域のみんなで集まり教えてもらったそうです。豆腐づくりは共同作業で、おばあちゃんが大豆を仕込み、おじいちゃんが火を起こして火加減を調整、豆腐が湧いたら二人で型に流し込み重しをして仕上げていきます。

大豆は2日前から水に浸す

豆腐づくりは2日前からはじまっています。2日前に大豆を浸水し、調理する直前にミンチ状にします。

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そこに水を加えながらミキサーにかけていきます。このとき水の量は多くなっても大丈夫。固めるときに余分な水分は分離してしまうためです。

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ミキサーにかけるとたくさんの泡がでできます。この大豆と水が混ざった状態の液体を「呉汁(ごじる)」と言います。
※この泡の正体はサポニンという成分で抗酸化作用や免疫賦活作用など様々な効果があります。

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大豆を炊く窯はドラム缶で手作りしたお手製です。窯に薪で火を焚き、直接上にお鍋を置いて、「呉汁」を加熱していきます。

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大豆を煮込んでいくお鍋は大型で厚みのあるものが向いています。前に薄いアルミ製の鍋で試したところ焦げてしまい豆腐の味に焦げ他感じが移ってしまったそうです。そこにサラダ油を敷き、柄杓1杯の水を入れてから「呉汁」を流し込み加熱していきます。

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ここから湧いてくるまで蓋をして数十分加熱していきますが、完全に沸騰すると吹きこぼれてしまうためお鍋の様子を常に気にかけておきます。また、泡を消すために米糠を振り入れて泡に混ぜておきます。

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ちなみにこの米ぬかは、「うるち米」よりも「餅米」の方が美味しくなるそうです。

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「呉汁」が沸騰してきたら、くべていた薪を減らし火を引いていきます。

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手拭いで作った袋に流し入れ「おから」と「豆乳」に分けていきます。

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この流れ出ている乳白色の液体が「豆乳」で、この豆乳から豆腐ができていきます。

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二人がかりで「おから」から「豆乳」を絞り出していきます。全体重をかけて、何度も何度も押して絞り出していきます。

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途中、人力では限界があるところを、お父さんお手製の「てこの原理装置」を使って絞り出します。※柱の「豆腐を絞るのにベストな高さ」に板を打ちつけ、そこに長い棒をひっかけて下に押しつぶす装置。

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絞り出した「豆乳」に「にがり」を加えていきます。お母さんが使っていたのは「海人の藻塩」を作る過程でできた「にがり」を商品にしたもの。海藻の成分が含まれています。「薬品のような匂いがせず、美味しくできる」そうです。

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にがりを入れてしばらく混ぜると、豆乳が分離していきます。「型に入れて押し固める前のが一番おいしいのよ」と「おぼろ豆腐」を味見させてもらいました。なんの調味料がなくても、甘みと豆腐の旨味を感じました。ここから時間が経過するにつれて、豆腐の味はどんどん落ちていってしまうそうです。

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手作りの型に入れて、重しをしてしばらく水気を切っておきます。

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完成した豆腐は、縛り出したばかりの汁の中に浸しながらちょうど良い大きさに切っていきます。豆腐はまだ温かく、ほのかに豆腐の良い香りがしてきます。この絞り出した汁の中で保存すると味が落ちにくいそうです。

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完成した豆腐がこちらです。お母さんのおすすめはシンプルにお醤油をかけていただくこと。水っぽくなく甘みがあり、しっかりと大豆の味がする豆腐です。「この豆腐でいろんな豆腐料理を作ったらどんなに美味しくなるだろう」と思いましたが、一番はそのまま食べていたいな、と思えるような美味しさでした。

夫婦で引き継ぐ食文化

お母さんが10〜20才上の世代の方々から教わった豆腐づくりは、ここでしっかりと引き継がれています。てっきり「女性の間で引き継がれてきた文化」かと思っていましたが、豊栄に残っているのは「夫婦で引き継いできた文化」でした。

郷土料理に関する記事も、合わせてご覧ください。
Study14.豊栄の郷土料理を再現してみる。(ゴボウ編)

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朝のひとくちめ 田野実 温代
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