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見積時にバッファについてどう説明するか。

システム開発で営業されている方などは一度は言われたことはあるのではないでしょうか。みなさんはクライアントから「高い!バッファを見積に含めているか」と質問されたら、どう回答していますか?
受託開発でPM、営業をしていた経験からどう回答すべきかという話をまとめました。少しでも何かのお役に立てたら幸いです!


バッファとは

まず「バッファ」について説明します。このバッファというのはシステム開発などの見積で算出した工数の信用度、正確さが低い場合に保険として工数を多めにとっておくことをバッファと言います。

なぜバッファを見積に含めるのか

受託開発やWEBサイト制作では、クライアント側がある程度企画、要望が固まった段階でベンダー探しに入り、要望を伝え、見積もりを依頼をします。

この段階は、システム開発やWEB制作の作り手側からしてみると、「空を飛びたいという要望はわかったけど、具体的に飛行機で飛びたいのか、ヘリコプターなのか、舞空術なのかどれなのよ!」という風に具体的にどのようなシステム、サイトを作るのか不明なまま見積を作成することになります。
そのため、工数を算出するために必要な情報は十分とは言えません。

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引用:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131001/508039/ ​

上記のグラフは有名な「不確実性のコーン」です。
X軸は開発の時間軸で、Y軸が見積のバラつきを表したものです。スタート時点であるほど不確実な要素が多く、徐々に低くなっていくといった変化になります。スタート時点での見積もりのバラつきは4倍にもなっています。

それでも見積を作成する必要があるのは、ある程度の価格感は伝えないと前に進まない状況が発生するからです。なのである程度のリスクを考慮して多めに工数を見積もることで未来追加されるであろう工数(バッファ)を積み、制作側は見積を提示するのです。

クライアントはバッファが嫌い

大抵のクライアントは不確実性のコーンなんて知りません。そのため、要件が不明確な見積はクライアントからみると想定よりも大きい金額が提示されるケースがほとんどになります。依頼側の担当からすると「なんでこんな金額が高いんだ!」と疑問に思い、色々と見積について詳細に説明を求めてきます。(実際に僕はドラマみたいに見積書を顔に投げられた経験があります…)

制作側は、その質問に対して説明はするものの具体的に何を作成するのかが不明なので、場合によっては簡単なものを作るように聞こえる説明になることがあります。

そこでタイトルの質問「なんでその作業がこんなに高いんですか? バッファ乗せてませんか?」とクライアントが聞いてくるわけです。

正直にバッファと伝えるか

私の経験上の結論は、素直にストレートに「はい!バッファ大分積んでます!!」と言い切ります。

とある時期までは、「バッファなんて言っても理解されず、逆上して面倒になるだろうな」と思い、何かを理由をつけてごまかし、説明していました。
ただいくら説明しても要件が不明な説明になるため、先方も100%理解を示したとは言えない状況でした。

では、なぜバッファを積んでいることを言うようになったのか。
これは昔の上司から「フェーズによるけど、何も要件が決まっていない状態での見積でバッファを積まないベンダーを信頼するか?」と問われてからです。この問いに確かにそうだ!と思い考えが180度変わりました。
これ以降は、クライアントにバッファについて質問された場合は以下2つの回答をしています。

バッファをもちろん積んでいます。この状況でバッファを積まないベンダーは信用できないし、炎上する可能性が高いと考えており、これはお客様のためにもならないと思っています。

もしバッファが嫌なのであれば、この見積はあくまで概算なので大体の価格感として理解頂き、その上で要件定義のフェーズを準委任契約で進めさせてください。要件がある程度固まった段階で詳細の見積もりを提示します。

上記の内容に切り替えてからは、全て成約に至ることはないですが、受注しても炎上することはほぼなくなりました。

要件が不明確なフェーズは準委任で、要件が決まり何をつくるのかが明確なれば、請負契約で進める。が受託開発やWEBサイト制作ではより安全かなと思います。

ただ金額感であったり、お客様との関係、過去に類似した内容であれば、無理に準委任にはせず、一括して請負にすることもあります。

この進め方が正解かどうかは不明ですが、誰もが炎上させたいとは思わないはずです。他にもクライアントが納得する見積の仕方や言い回しがあると思いますので臨機応変にアップデートしながらより良いビジネスが生まれるといいなと思います。

長文最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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