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超個性的な家のお披露目の日に、担当設計者は考えた。
「こんな設計でよく施主が許したものだな」
この家を見た方々から、よくそう言われる。
事実、個性的なプランの家を見ると、私自身もそう思う。
題して「厨房の家」
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この家で一番豊かな空間は、キッチン
DKではなくて、キッチン
食事もキッチンでとる
ダイニングテーブルなど、ない
このアイデアは、
お客様の暮らしの形と、
町の井戸のような四周囲まれたロケーションから生まれた。
住まいに求める機能は数多くあるが、代表的なものとしては
「使う」と「寛ぐ」であろう。
多くの住まいはLDK方式をとっていて、
「使う」と「寛ぐ」は互いに重なり合っている。
しかし、今回のお客様は、「使う」のウエイトがとても高い。
使うことに対して、並々ならぬこだわりをお持ちで、現に様々工夫を凝らしながら家を使っていた。
さらに、建物の谷間のような閉鎖的なロケーション。
寛ぐにはどこを向けばいいのかと思案してしまう。
そこで、日々の「使う」と、
日々のタスクから離れた「寛ぐ」は、別の生活様式だと仮定した。
まずは使う家として考えた。
そこにロケーションから紡ぎだされた貴重な抜けに向かって、リビングを設ける設計。
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キッチンが中心の家という題目の住まいは時々見かけるが、
その程度を大きく逸脱した、キッチン第一主義のプラン。
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98033737/picture_pc_38ae35e8ba41fe298389366dcb775757.png?width=1200)
ほぼ厨房と呼べる代物である。
10畳吹き抜けのキッチンには、作業台兼ダイニングテーブル。
あくまでもここは作業台。ダイニングテーブルなどではない。
吹き抜け空間を介して、二階に配置したリビングは、
お客様に「カーテンなんていらない」と言わしめた抜群のロケーション。
リビングでは日々のタスクから離れ、だらだら、ごろごろ、する。
景色、本棚、テレビ、ベンチ、展望デッキ、などなど。
楽しそうなものはすべてここに詰め込んだ。
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キッチンとダイニングとリビングは繋がってないと不便とは、誰が言い始めた?
もともと用途が違う3つの部屋だったのだ。
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私は、お客様の生活スタイルから「使う」と「寛ぐ」をもう一度見直しただけ。
これが個性的な住まいと言うのであれば、必然的にお客様が「個性的」という事になる。
個性とは得てしてそう言うものなんだ。