ゼロからのインステップキック
インステップキックは足掛け1年半以上取り組んでいるのですが、ようやくしっかり蹴ることができる様になったので記事にまとめたいと思います。
普通のフィジカルの選手であればここまで苦労することはないのですが、フィジカルに恵まれていない息子は非常に時間が掛かりました。
限界小学生フットボーラーに捧ぐ練習法
レギュラークラスの選手であれば、サッカー歴が1年以上になればある程度蹴れていると思うので、部分的な指導をするだけで蹴られるようになると思います。ただ、ウチの場合はボディーコーディネイトの部分、つまり土台がボロボロだったので多くの指導者が諦める話にもならないレベルでした。
ですので、チームでなかなか活躍できない、他の選手の様にプレーできず、インステップキックを諦めてしまいそうな保護者の方に是非共有したいと思います。
まず、ステップを磨き直す
まず、ウチの子の場合、踏み込みのスピード、力強さが壊滅的でした。ゆっくり、そしてふにゃふにゃとした動き、その上ボールを蹴る直前に踏み込みがスピードダウンします。何度天を仰いだか分かりません(苦笑)。こういう背景もあり、急がば回れで具体的なキックのトレーニングよりも先に踏み込みの筋力を上げることにしました。
まずはつま先立ちのトレーニングです。当たり前すぎて申し訳なくなりますが、これは毎朝の練習前のアップの中に取り入れました。
次に踏み込みのステップを鋭くするために、走りの学校で紹介していたクロスオーバーステップの練習です。これも20回程度ですが毎日実施しました。
こちらのトレーニングを毎日行うことで、足腰の筋力が改善し狙っていた軸足の踏み込みだけでなく、踏み出す、止まる、走るという基礎的な動作も改善されました。これはもっと早くから導入しておくべきでした。
キックのコーチ田所剛之式
キックの理論は、東大卒キック専門コーチの田所剛之さんの考えを参考にしました。「キックは力学」という氏の考えが非常に腹落ちすることが多かったことが理由です。
「ボールにキックが当たる瞬間の力量を最大化する」ことがキックの力を伸ばすという考え方は目から鱗でした。
田所さんの理論で、
軸足はボールの横
軸足の膝は曲げない
骨盤を回転させる
軸足を大きく踏み出せばキックのテイクバックは必要ない
ボールの芯を捉える
等のポイントを参考にしました。
何か迷うことがあれば「東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方」を開いて確認しました。
イメージの共有
踏み込むステップが力強くなり、ボールに対する力の正しい伝え方も理解したので、「よし、これで飛ぶぞ」と思ったのですが、ボールに対する歩幅が全く合わずのんびりボールに向かっていってしまいます。
「早く!もっとスピードを上げる!」と何度も言いましたが本人の中で正しいイメージが作れていなかったのでそれを払しょくすることにしました。
hiroコーチのInstagramのリールを見せて、選手たちが猛ダッシュでボールに突っ込む姿を脳裏に植え付けました。
これは分かりやすかったようで、その後はあまり言う必要がなくなりました。逆に、息子に自分のキックの動画を見せることで何が問題かを直ぐに理解させることに役立ちました。スマホ時代に感謝です。
ダッシュさせる
バックステップを取り過ぎない蹴り方もありますが、「ボールへの衝撃を最大化させ前に飛ばす」ために、まずは2~3メートルダッシュさせることを優先しました。
思わぬ副作用として、インステップキック以外のプレーでもボールに対して歩幅が合わず、プレースピードが常に緩慢でしたが、グッとボールに詰められるようになり攻守にプレーに切れが出てきました。
周囲からも「上手くなった」と声を掛けられることが増えましたが、テクニックを磨くよりもこうした意識を変えることの方が評価が上がると思いました。このポイントはもっと早いタイミングで取り組むべきでした。
ボールの手前でスピードダウンする癖が根強く、指導後も繰り返していたので、ボールの1メートル程度前に立ち「お父さんを全力で倒す勢いで走ってこい」とボールの向こう側まで減速しない感覚を付けさせました。父親を倒すことに関しては全力で来るので効果てきめんでした。
軸足を抜く
キック前の加速はある程度付き、以前に比べて随分と「蹴れる」様になってきたのですが、知り合いに息子のキック動画を見せたところ「ボールに体重が乗っていない」ことを指摘され、また、対角線にシュートする場合軸足を残したまま蹴るので足がクロスする形で窮屈な姿勢になっていたので軸足を抜くことを指導しました。
「軸足を抜け」と指導しても当然できないので、
まずは蹴り足を振った後に軸足もジャンプする
慣れてきたら蹴り足が着地する前に軸足もジャンプする
というボールがない形からの練習をしました。体重が乗ったボールを蹴れる回数も増え、対角線のシュートもスムーズに出来るようになりました。
その他の細かな点としては、
キックのテイクバックの状態でバランスが崩れるので腕を振ってバランスを取る
ボールを上から下に救い上げる癖が付いていたので「足を猫の足で丸めて、しっかり先まで伸ばす」と指導
インサイド気味に蹴ることが多かったので「膝は外側ではなく内側に倒す」
軸足はつま先から付ける
田所式ではフォロースルーは意味がない(理論上はその通り)としていたがフォローを意識させることで蹴り足をしっかり振る様にする
蹴り足を力まず早く振る
といったことも指導しています。
インステップキックが蹴れなかった頃は、PKもゴールまで届かない状態で仲間からも笑われていたのですが、重いシュートを蹴られるようになり、また「蹴れる」という自信が息子のプレーのスケールを大きくしていきました。さらに、ダッシュする、止まるという動作管理の基礎能力が向上したので、選手としてのスケールアップが図られました。