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「やってみなはれ」と「やめてまえ」のバランス

 日経電子版の記事【山崎vsジムビーム 日米ウイスキー職人の意地 "やってみなはれ"世界へ(2)】は、経営の岐路に当たって、「やってみなはれ」と「やめてまえ」を絶妙のバランスで使い分けるサントリーの大変興味深い物語です。



 そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求するコト消費の時代に、細分化されるスモールマスな市場を見極め、消費者のインサイトに肉薄したイノベーティブなプロダクトを作ろうとすれば、①プロダクトの入口である消費者のインサイトと、出口であるフィードバックにおいて、消費者との密接な関係性のあるコ・クリエーションのエコシステムを構築して、②スピーディーな決裁プロセスのもと、③アジャイルな手法で開発を推し進める必要があると考えられます。

 つまり、プロジェクトのリーダー、経営トップにとっては、「やってみなはれ」と「やめてまえ」のジャッジを正しく下すことが、きわめて重要な使命であって、トップが「やってみなはれ」を英断できなかった場合に逃してしまうイノベーションのチャンスと、逆に、「やめてまえ」を勇断できなかった場合に襲ってくる様々なリスクは、文字通り会社の死活問題であると言えそうです。



 ①個々の案件の様々なフェーズで、②どのような情報、いかなる判断基準で「やってみなはれ」・「やめてまえ」を選択するのか、そして、③ジャッジを下すタイミング・方法・ニュアンスなど、部下にどのように語り掛け、説明し、納得感を共有すればいいのか、この記事は様々な事を考えさせてくれます。

 「やってみなはれ」か「やめてまえ」か、リーダーの舵取りは、文字通りプロジェクトの方向性を決定付け、会社という名の船をブルーオーシャンにもレッドオーシャンにも導きうるのです。

(付記:この記事を書いた後で、リーダーの決断という事に関連して、日頃、リーダーは部下とどのように接していけばよいのか、リーダーと部下の関係性を考えるのに格好の事例をNIKKEI STYLEで見付けました。その記事【社長室はいつもオープン 社員と常在現場で会社変える】は、とても分かり易く、現場をイメージしやすい内容になっていると思いました。)




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