携帯参入、三木谷社長の決断と秘策(?)
忘れもしない昨年12月14日の携帯事業参入表明。以来、今年に入って1月26日にウォルマートとの提携が伝わり、一時株価は持ち直したものの、依然厳しい状況が続いています(その他の与件もありますが)。その間には、証券各社による目標株価の引き下げなどもありました。
マーケットは、携帯電話事業参入を冷めた目で見ているのですが、それは、設備投資への資金負担増、そして、その効果を懸念しているからです。7年で6000億円という設備投資計画は巨額で、それ自体が懸念されるのはもちろん、逆説的に、大手3社と比べたら見劣りする点も、また重大な懸念材料となっているのです。何故なら、そんな事にはならないと思いますが、基地局の数が不十分だと、エリアが狭くなり、ユーザーの利便性という点で大手3社に太刀打ちできない。他者網を借りるローミングでしのぐとすれば、それはそれで費用負担がかさんでしまいます。まさに、設備投資の金額は、多くても懸念材料、少なくても懸念材料という訳です。
さらに、周波数幅の割り当ての問題があります。これがもし大手3社より少ないと、通信速度でかなわないことになりかねない。万が一、通信のエリアが狭くて、通信のスピードが遅いようなことになると……
ここまで考えてきた私は、ハッとして思わず立ち止まりました。
普通に考えたら、どう考えても不利な点ばかり目について、経営の素人だって、こんな事業には乗り出さない。荒唐無稽かも知れないが、敵対的TOBで既存の携帯会社を取り込んでしまった方がよっぽど早い。普通にやっては立ち行かないことなんて、三木谷社長には、言われなくても分かっているはず。……という事は、社長には、普通ではない考え、あっと驚くアイデア、秘策があるのではなかろうか?
携帯大手が物販・決済と事業を拡大していく中、同様にECサイト・クレジットカード・モバイル決済・ネット銀行と事業を拡大していく楽天が、最後の一番大切なピースである携帯事業を手に入れて、最大のシナジー効果を出せる経済圏を築き上げようとしている。その最も大切な一手が、思い付きや中途半端な計画であるはずがない……。私は、確信に似た物を感じたのでした。何か秘策がある……それは、総務省や大手3社との交渉とか、そういう次元の問題ではないのじゃなかろうか?……ひょっとして、技術的なもの……多額の設備投資を回避できる、革新的な技術?……何故、楽天の参入と5Gの1年前倒しの時期が一致したのか……。
私は、希望的観測をもって、楽天の今後の計画、『秘策』を待とうと思ったのです。それが、幻の秘策とならないことを祈りつつ……
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27494420Y8A220C1000000/