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進化するUI~知性を持った機械の時代~
日経電子版の記事【ゲームの歴史に学ぶもの】は、一見地味な記事ですが、とても重要な内容が含まれているように感じました。それは、末尾の次の件です――
前出の西角さんも「良いゲームとは」と問われ「単純なもの」と答えている。 操作は簡単、でも複雑な動きをコントロールできる――。今後の人工知能(AI)を軸とした技術革新や新製品開発でもヒントになりそうだ。
――簡単な操作で複雑な動きをコントロールする、つまり、簡単にシステムの状態を確認でき、簡単にシステムの機能を制御できることは、UI(ユーザーインターフェース)のユーザビリティの高さに他なりません。現在進行形の第4次産業革命の時代に、機械のUIは、どのように進化し、そのユーザビリティーを高めていくのでしょうか?
まず注意しなくてはならないのは、ゲームの世界と現実の世界とでは、ユーザビリティーのデザイン思想が根本的に違うと考えられる事です。
ゲームの世界では、UIのユーザビリティーは、単に『簡単』という切り口だけでなく、『そのゲームの性質』そのものと密接に関係してくると考えられます。
例えば、『リアリティーを追求したゲーム』であれば、VR(仮想現実)を活用するなどして、自分が現実に行動しているような感覚を作り出すために、敢えて簡単な、単純化された操作は避けたUIになるかも知れません。そのようなゲームのUIは、「ほど良く疲れる」ユーザビリティーでデザインされると思われます。
また、『簡単』を追求するあまり、現状ユーザーが慣れ親しんでいるUIから乖離することは、必ずしもユーザーの支持を得られるとは限らない、というリスクを伴うでしょう。ゲームの世界のユーザビリティーは、簡単すぎても、リアル(複雑)すぎても良いとは言えず、ゲームの性質に最適化する事が求められていると思います。
それでは、私達の現実の世界ではどうでしょうか?現実の世界では、UIのユーザビリティーは、『簡単』な操作という事が徹底的に追求されていくのではないでしょうか?ただし、操作が『簡単』という事は、『簡単』な操作で大きな効果が得られるということで、当然、誤操作による悪い結果も大きなものになる、と予想されますから、『安全』のシステムが働くという前提です。
SF好きの私などは、『簡単』な操作というと、真っ先に、映画などでAI(人工知能)と人間が会話する場面を思い出します。宇宙船はAIの搭載されたスマート宇宙船に進化しており、探検に出た主人公は、AIと会話しながら宇宙船を操船したり、突発事態への対処を相談したりします。この場面で重要な点は――
① 機械がAIによって知性を持つようになっている。
② 知性があるものとの相互関係、インタラクションは、『音声』による
のが最も自然である。
③ 『音声』で操作できるのであれば、機械の使い方を学習する必要が
ない。
④ 知性を持った機械が十分に進化していれば、その機械を擬人化して、
『音声』の進化した『会話』によって、複雑・高度・広範囲のタスクが
実行できるようになる。
――この内容は、そのまま、現在進行形の第4次産業革命の時代の状況に当てはまります。今、私達は、SFの世界、『機械と人間が会話する世界』に大きく一歩を踏み出したのではないでしょうか。
イノベーティブなUIとしては、他にも、音声どころか頭の中の『思考』を直接入力する手法や、空中で手を動かしてディスプレーを操作するジェスチャー入力などがありますが、やはり、『音声』、『会話』に勝るものはないと思います。IoT、AIといったイノベーションアクセラレータによって『機械が知性を持つ時代』に、UIは『音声』の方向へと進化していくと考えられます。