ユニクロに学ぶネット通販の利便性向上~『新EC(ニューEC)』の潮流~
日経電子版の記事【ユニクロ、ネットで悩まず服選び AIやアプリ強化】は、国内ネット比率を現在の3倍に高めるべく、様々なデジタル技術を駆使するなどしてネット通販の利便性に磨きをかけるユニクロの施策をリポートしたものです。
そもそも、リテール(小売)の2大形態であるリアル店舗とネット通販、オフラインショップとオンラインショップには、それぞれに一長一短があって、なかなか消費者の「こんなことが出来たらいいのに」という買物体験のインサイトに肉薄できていないのが現状ではないでしょうか。
今、小売業界では、そんな消費者の不満を解消すべく、ネットとリアルの融合、オムニチャネルを図ったり、リアル店舗にネットの良さを加味したりする施策が試みられている訳です。例えば、最近の日経電子版の記事で、アリババの取り組む最先端のオムニチャネルが、『新小売(ニューリテール)』というキーワードでリアル店舗の視点から紹介されていました。
(付記:この記事、『新小売(ニューリテール)』については、下記の拙稿でも考察しています。)
そんな中、この記事で紹介されるのは、消費者がネット通販に感じる不満に寄り添い、ネット通販でリアル店舗の良さを実現する施策です。
さっそく記事からピックアップしてみると――
▶ネット通販でリアル店舗の良さを実現する
(1)「ユニクロIQ」・・・ユーザーが着用シーン・探している商品の名前を
入力⇨該当する商品をAIが検索・提案⇨興味のある商品を選択⇨商品
の特徴・展開する色・価格などを表示⇨在庫状況・口コミも確認
できるチャットボット。
▶ユーザーのメリット
① ネット通販であっても、リアル店舗で店員の接客を受けるように
アドバイスを受けられる。
② 欲しい商品を探しあてて買うまでのプロセス、時間が短縮され、
ストレスレスに。
▶ECのメリット
① ネット通販で買物をする時にアドバイスを受けられる利便性で
他のECと差別化できる。
② ユーザーが商品を探しあてて買うまでに時間がかかり、アプリに
不具合が発生するなど、商機を逃すような事態を回避できる。
(2)「マイサイズカメラ」・・・アプリに身長・体重など4項目の情報を入力
⇨正面・横から撮影した2枚の全身写真を送信⇨体の10カ所の推定
採寸ができる。
▶ユーザーのメリット
ECサイトでの買物体験におけるサイズの不安を軽減。
▶ECのメリット
サイズが合うか気になってファッションECを敬遠していた消費者
の囲い込み。
(3)「マイサイズアシスト」・・・サイズが分かっただけでは不十分。
「ゆったり」・「ぴったり」など好みの着用感を求めるユーザーにも
応える。好みの着用感を選択肢の中から選択⇨自動でお薦めサイズを
教えてくれる。
▶ユーザーのメリット
届いた服を着た時の満足感の向上。
▶ECのメリット
顧客満足の向上による顧客ロイヤルティの向上。
(4)「スタイルヒント」・・・ユーザーが思い思いに撮影・投稿した手持ち
服の画像を閲覧⇨気に入れば類似品を通販サイトで購入。
▶ユーザーのメリット
自分一人で何もない所から欲しい服を探さなくても、リアルな
投稿写真に共感することで買物に進める。
▶ECのメリット
何を買おうか迷うユーザーを共感という切り口で取り込める。