対症療法でもなく原因療法でもない第3の道~狭まる選択肢と『気候工学』~
日経電子版の記事【気候工学で地球を冷やせるか 科学記者の目】は、昔からないではなかったアイデア、成層圏への微粒子散布で太陽光を遮り地表を冷やすソーラー・ジオエンジニアリングなどの気候工学に関するリポートです。
地球温暖化などによる異常気象がいよいよ顕在化しだした昨今、災害に備える堤防・防潮堤などの『対症療法』がその限界を露呈し、限られた予算の中での抜本的な見直しが迫られ、また、CO2排出規制などの『原因療法』がはかばかしく進捗しない状況にあって、私達人類の選択肢はみるみる狭まりつつある、というのが実態ではないでしょうか。
選択肢が狭まると、今まで敬遠されていたり、半信半疑であったりした施策がクローズアップされてくるのが人間社会の常ですが、気候の移植治療とでも言うべき『気候工学』などは、その最たるものかも知れません。――核爆弾の爆発でハリケーンを破壊するなどといった極端な案から、ヨウ化銀粒子の散布でハリケーンの勢力を弱める、といった比較的科学的とも思える実験まで、『気候工学』の様々な取り組みには、常にその科学的根拠・実現性・リスクといった懸念が付きまといます。
一方で、『地球の肺』と呼ばれるアマゾンの大火災など、地球の自然、エコシステムに関する心配は、増えることはあっても、決して減る気配はありません。真剣に『人工光合成』のプラント(工場)建設を検討しなくてはならないのか、とさえ思えてきます。
(付記:『人工光合成』に関しては下記の拙稿でも考察しています。)
対症療法でもなく原因療法でもない第3の道『気候工学』への関心と期待は今後ますます高まっていく事が予想されます。本当に『気候工学』に頼らなくてはならないような状況にならないことを祈りつつも、『気候工学』の研究の推進、そして、そのリスクの精確な予測は、私達人類のto do(行動)リストの中でその優先順位を徐々に上げつつあることは、間違いなさそうです……
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