ZOZO、止まらない進化
この記事【スタートトゥデイ、ゾゾスーツ無しで買えるオーダー開始】はとても短い記事ですが、一読ハッとさせられました――「それがあったか!!」――。
そもそも、ファッションECには、ユーザーにとって、現物が目の前にない、という制約があります。その結果、商品の選択に困る場面として――
・サイズが分からない。
・着丈などが今一つつかめない。
・生地感が分からない。
・色目がイメージと違ったらどうしよう。
・どうコーディネートしていいか、イメージがつかめない。
・・・・・・・
――ZOZOSUITは、こういった課題の中でも最大のものと考えられるサイズ問題に光を当てたものでした。私などは、それだけで感動してしまい、『ZOZOSUITの次に来る一手』など、考えてもいませんでした。それ故、「これまでゾゾスーツで計測された数十万件の体形データをもとにアルゴリズムを開発した」というくだりを読んで、冒頭にも記したように、「それがあったか!!」と思わず手を打ったのです。
ZOZOSUITを大量に無料で配布したら、次に来るのは、大量の体形データの蓄積、そして、そこから導き出せるアルゴリズムだとは当然気付くべきでした。
厳密な採寸が必要なアイテムは別として、アルゴリズムの精度、進化次第で、様々なアイテムが採寸なしでオーダーできるようになる可能性を秘めているように思えます。ZOZOSUITの大量配布の次に来た一手が、採寸が前提だったZOZOオリジナルアイテムの一部の『ZOZOSUITなし』でのオーダーだったとは……。現状は、必須入力項目は身長・体重・年代・性別ですが、入力項目を一つ二つ付け加えたり(例えば胸囲など)、変更する事で、あるいは、過去の購入履歴も加味するなどして、あくまで想像なので具体的な道筋は分かりませんが、アルゴリズムはどんどん進化していくのかも知れません。
もちろん、採寸なしで高精度に体形を推測するアルゴリズムには、様々な場面で高度な汎用性がありそうな事もポイントだと思います。
幅広いユーザーの立場に立ってみると、①ZOZOSUITをまだ手に入れていなかったり、②ZOZOSUITで採寸すること自体を面倒に感じたり、③いつも標準的なサイズで間に合っているよ、というユーザーもいるはずで、そのようなユーザーが、ZOZOSUITなしでZOZOオリジナルアイテムを購入できるような施策というのは、真にユーザーに寄り添ったシステムだと思います。サイズ課題の解決のために、一見正論のようにも思える『採寸が必須』であるというシステムを避け、採寸データを有効活用したアルゴリズムを採用した点に、ZOZOの顧客に寄り添う姿勢を見たように思います。これからも、ユーザーのニーズ、思いに寄り添ったシステムの進化に期待したいところです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35114470X00C18A9000000/