『イノベーションのエコシステム』と『リーダーのスキル』~リーダーはイノベーションという進化を促す淘汰圧~
日経電子版の記事【「トラスト」欠いたゴーン元会長 結合なき経営の限界】は、一般論として、グローバル時代のリーダー像を考えるのに、極めて示唆に富んだ内容になっていると思います。
何と言っても、記事中で紹介される米人事コンサルティング会社コーン・フェリーが世界の経営者や管理職など約15万人を分析して選んだ「これからのグローバル経営者に求められる5つのキーワード」がポイントです――
▶グローバル経営者に求められる5つのキーワード
①『アンティシペート anticipate』・・・変化に俊敏に対応する
②『ドライブ drive』・・・他者に活力を与えてものごとを進める
③『アクセラレート accelerate』・・・アイデアを素早く実行する
④『パートナー partner』・・・他者と協力し、アイデアを交換する
⑤『トラスト trust』・・・多様な力を結合する
これらリーダーに求められる5つのスキルは、実際には複雑に絡み合って作用するベクトルの集合体であると考えられますが、企業が、自らを取り巻く【変化】に対応して、最終的な【プロダクト・サービス】へと結実させていく事業化のプロセスに落とし込んでみると――
▶事業化のプロセスとリーダーの5つのスキル
【変化】
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『アンティシペート』
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『ドライブ』 『パートナー』
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【人的リソース】 【アイデア】
⇩ ⇩
『トラスト』
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【イノベーションのアイデア】
⇩
『アクセラレート』
⇩
【イノベーティブなプロダクト・サービス】
このような事業化のプロセスがうまく機能してイノベーションが実現したとすれば、そこにはイノベーションのエコシステムが存在していたと言えます。つまり、『リーダーに求められる5つのスキル』は、『イノベーションのエコシステム』で起きる『イノベーションの進化』を促す『選択圧(淘汰圧)』であると捉えることができます。
▶イノベーションという進化を促す淘汰圧としての
スキル
①『アンティシペート anticipate』・・・変化に俊敏に反応して、課題として
社内に徹底する。
②『ドライブ drive』・・・社内に課題へ積極的に対応しようという空気を
醸成する。
③『パートナー partner』・・・広く社内外と協力し、課題解決へ向けた
アイデア交換を活性化する。
④『トラスト trust』・・・ダイバーシティな力を結合へと導く。
⑤『アクセラレート accelerate』・・・イノベーションのアイデアを素早く
(アジャイルに)実行する決断と責任。