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最適化経済・消費者余剰・経済成長~変化する『豊かさ』の所在~

 日経電子版の記事【先進国が患う長期停滞に克つには(大論戦)】は、今再び注目されている『長期停滞論』、需要不足などの要因で潜在成長率が下がり、低成長が常態化する『長期停滞論』についての、各界の識者による見立てを紹介しています。

 


 この記事を通読して改めて痛感するのは、「モノ・サービスの生産・提供を通して生み出される付加価値の額」である『GDP(国内総生産)』では、今の時代、第4次産業革命の時代の『豊かさ』は測れないのではないか、という事です。

 そもそも、第4次産業革命の時代の消費トレンドである、消費者が体験を重視する『コト消費』の流れは、モノの世界にあっては、3Dプリンティングなどのテクノロジーの進化によって出来る事の幅が広がりつつある『カスタマイゼーション』や、消費者が積極的にプロダクトの開発に関与する『コ・クリエーション』などを加速させ、やがて、自分だけの体験を実現するモノ、自分の実現したい体験をもたらすモノを自ら創る、広い意味での『消費者のプロシューマー(生産消費者)化』が進行する、と考えられます。

 その一方で、『コト消費』の王道であるサービスの世界にあっては、『シェアリング』・『マッチング』の機能が進化し、リソースの最適化がますます進行する、と考えられます。

 IoT+AIに象徴される第4次産業革命のIT化によって、コト消費・プロシューマー化・シェアリングなどが進行するという事は、取りも直さず、大量生産大量消費とは一線を画する、最適化によって駆動する=最適化をエンジンとする、言うなれば『最適化経済』を出現させることになる、と言えるかも知れません。

 このような『最適化経済』にあっては、単純な『付加価値』よりも、最適化によって消費者が受ける恩恵である『消費者余剰』、「消費者が払ってもよいと考える額と実際に払った額の差」である『消費者余剰』の方が大量に生み出される事が予測されます。
 つまり、付加価値の指標である『GDP』では、もはや『豊かさ』を推し測ることは出来なくなっているのです。
 『最適化経済』における『経済成長』とは、『消費者余剰』を加味する事で初めて実態に近付く、と考えられます。

▶変化する『豊かさ』の所在

真の豊かさ=GDP(付加価値)+消費者余剰

消費者の経済的な豊かさ=資産価値のもたらす部分+所得+消費者余剰



(付記:『消費者余剰』については、下記の拙稿でも考察しています。)




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