『令和』の日常生活を変える4種の神器 ~日常生活のパラダイムシフト~
日経電子版の記事【家事を助ける新三種の神器は? スグ効くニュース解説(令和新時代・展望編)】は、新しい『令和』の時代を象徴する画期的なアイテムは何か、主に家事における家電製品に絞って検討した楽しい記事です。いい機会なので、もう少し範囲を広げて、『令和』の時代の日常生活を大きく変えていく分野、テクノロジーは何だろうか、考えてみました。
はじめに、記事などから、いわゆる『三種の神器』の変遷をたどってみると――
▶『三種の神器』の歴史(主なもの)
①50年代後半・・・白黒TV・・・・・・・・・・・・・・・・・・新生活・豊かさの象徴
洗濯機 ⇩
冷蔵庫 ⇩
⇩
②60年代半ば・・・カラーTV・・・新・三種の神器 ⇩
クーラー (3C) ⇩
自動車 ⇩
⇩
③平成・・・デジタルカメラ・・・デジタル三種の神器・・・余暇の充実
DVDレコーダー ⇩
薄型大型TV ⇩
⇩
④令和・・・スマート冷蔵庫・・・(記事より)・・・・・・・・・家事の時短
自動調理器
アイロン機能付きクローゼット
『三種の神器』の変遷を辿ると、上記以外にも、企業が独自に訴求したものも含め様々なバージョンがあることが分かります。それらは、時代とともにエレクトロニクス⇨デジタル技術⇨AI・IoT・ロボット技術とテクノロジーでできるコトが拡大するのに呼応して、そのメインテーマも移ろっていく様子が見えます。
『快適な日常生活の追求』という普遍的なテーマの中で、最初は、文字通り豊かさへのあこがれから出発したものが、やがて、家事から離れて余暇の充実へと移ろい、今は、AI・IoT・ロボティクスの急激かつイノベーティブな進化に合わせて、再び家事を含めた『日常生活のあり方のパラダイムシフト』へと向かっているように思えます。
ここに、改めて、『日常生活』というものを、その生活シーンごとにごくおおざっぱに区切ってみると――
▶『日常生活』の生活シーン
朝・・・『家庭』シーン
⇩
『移動』シーン
⇩
『仕事』シーン・『余暇』シーン
⇩
『移動』シーン
⇩
『買物』シーン
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夜・・・『家庭』シーン・『余暇』シーン
+
全てのシーンに横断的に『情報』シーン
ここでは、それだけで非常に大きなテーマである『仕事』シーンと『余暇』シーンは除外した狭義の『日常生活』について考えます。また、全てのシーンに横断的に関わってくる『情報』シーンとは、AI、IoTの進化によって、あらゆるシーンで、行き当たりばったりではない、情報を有効活用したコントロールが行われる状況を指しています。
現在進行形の第4次産業革命の時代には、上記の『家庭』シーン・『移動』シーン・『買物』シーン・『情報』シーンの4つのシーンそれぞれに、画期的な変化、パラダイムシフトが起きると考えられます――
▶『令和』の日常生活を変える4種の神器
(1)家庭シーン~『スマートホーム』~
AI+IoT+ロボットによって家そのものがスマート化し、安心・安全・
快適の切り口で、掃除、調理などの家事・空調・照明など『家庭』シーン
に属するあらゆるコトの徹底的な自動化が進行する。
家事にゆとりが生まれることで、現代人の慌ただしい生活が和らぎ、
余暇が充実していく。そこには、家事そのもの、例えば調理を趣味的に
楽しむようなケースも含まれる。
(2)移動シーン~『MaaSアプリ』~
顔認証システムやキャッシュレス化によって、チケットも現金も、
カードもなしで、最適な交通手段をシームレスに乗り継いで目的地に到達
できるアプリが一般的となる。
決済・乗継・待ち時間といった移動シーンのストレスから解放され、
結果として、ユーザーにとっては移動時間の短縮、社会にとっては混雑の
緩和が実現する。
(3)買物シーン~『ネットとリアルの融合』~
ネット通販とリアル店舗、それぞれの持ち味を融合して、ユーザーの
利便性を追求するオムニチャネルが進化し、多様化する。
ユーザーは、ネットで購入して店舗で受け取る『BOPIS』や、現物を
確認できる『ショールーム化したリアル店舗』など、ネットとリアルの
様々な組み合わせを自由に使えるようになる。
(付記:『BOPIS』と『ショールーム化したリアル店舗』については、下記
の拙稿でも考察しています。)
(4)情報シーン~『統合されたAIアシスタント』~
人間にとって最も自然なインタラクションである音声をUI(ユーザー
インターフェース)とするAIアシスタントは、最初、様々なシーンで個別
に発生し乱立していくが、やがて、統合され、私達一人につき一個の
AIアシスタントが付くようになる。
この統合されたAIアシスタントは、あらゆる生活シーンで最適化された
情報を私達に提供し、物事がストレスレスに進行するようコントロール
する助けとなる。
また、統合されたAIアシスタントは、常に私達に寄り添い、家庭では
各種のモニターやホログラムとなって、外出時はスマホやスマートグラス
などのウェアラブルデバイスを通して私達とコミュニケーションする。
(付記:『統合されるAIアシスタント』については、下記の拙稿でも考察
しています。)