買う前にARで試すというUX
少し前に出た日経電子版の記事【リクルートキャリア、ARで就活生のメイク支援】は、一読して「なるほどな」と思ったものの、そのままスルーしていました。しかし、しばらくして気付いたのは、『ARで試してみる』というUX(ユーザーエクスペリエンス)のポテンシャルの大きさです。
そもそも、AR(拡張現実)とは、実在する視覚情報とバーチャルな視覚情報を重ね合わせて表示するテクノロジーです。その本質は、『あるモノ』と『ないモノ』をマッチングさせることだ、と言えそうです。そのテンプレートを買物というUXに持ち込んだらどうなるでしょうか?
まだ買ってないモノを、バーチャルに試してみる、という事に他なりません。
この『ARで試してみる』というUXには、『ARメイク』だけに止まらない大きなポテンシャルがありそうです――
▶『ARで試してみる』というUX
①『ネット通販での有用性』・・・買う前に現実のモノを確認できないネット
通販では、販売するモノをバーチャルな視覚情報として、ユーザーの
実在する視覚情報と重ね合わせて表示することで、バーチャルに試す
UXを実現できる。
②『応用範囲の広さ』・・・ARメイク以外にも、ARコーデ、ARインテリア
コーディネイト、AR引越(家具の配置確認など)等、応用範囲が広がる。
③『リアル店舗でも有効』・・・リアル店舗であっても、試着が面倒な人、
化粧品のレコメンドなど、活用できそう。
④『大きなモノにチャンスか』・・・あくまで想像ですが、買おうと思って
いる洗濯機が自宅の洗濯(防水)パンに入るかとか、車が駐車スペースを
どの位ふさぐかとかの用途が考えられます。
⑤『高額商品のネット通販でUX向上』・・・今後、返品を前提とした高額商品
のネット通販が伸長すると予測されますが【下記の拙稿参照】、ARで
試せることは、買い安心感に直結すると考えられます。
買う前にARで試すというUXは、様々な場面でストレスレスな買物体験を実現し、買物の満足度を向上させるポテンシャルがありそうです。そのことは、逆に言うと、『ARで試せる』システムを導入している店舗(オンライン、オフライン含めて)のストアロイヤルティを高め、競合との差別化へと繋がると考えられます。