プロシューマーの時代の商品開発
日経電子版の記事【西武鉄道 「常識」の枠超え、乗りたくなる電車】は、20代中心の社員6人を集め、次世代型通勤列車の開発で、デザインの中心的な役割を担わせた、というリポートです。
ベビーカー・車椅子の利用客がそのまま乗り降りできる座席のない空間「パートナーゾーン」、子供も車窓を楽しめるよう床までの距離が60センチの窓、子供を抱っこしている人・立ち上がるのが負担な高齢者・障害者のための簡易座席――トップダウン型ではない、若手のアイデアを活用したボトムアップ型の開発によって、より利用客に近付き、寄り添って、「乗りたくなる電車」をデザインできたのです。
そもそも、消費者が体験を重視する『コト消費』の流れは、3Dプリンティングなどのテクノロジーの進化によって出来る事の幅が広がりつつある『カスタマイゼーション』や、消費者が積極的にプロダクトの開発に関与する『コ・クリエーション』などを加速させ、やがて、自分だけの体験を実現するモノ、自分の実現したい体験をもたらすモノを自ら創る、広い意味での『消費者のプロシューマー(生産消費者)化』が進行すると考えられます。
▶消費者のプロシューマー化
コト消費の進行
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カスタマイゼーション、コ・クリエーションの拡大
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消費者のプロシューマー化
そのようなプロシューマーの時代に、トップダウン型の商品開発を排し、畑違いの若手の活用など様々な手法でユーザーのインサイトに肉薄することは、プロダクト(モノ・サービス)のデザインにとって必須の条件ではないでしょうか。電車はモノではなく、電車というサービスであり、文字通りコト消費の対象なのです。
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