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6月23日(日)有望若手応援寄席 春風亭一花 独演会(飯能 一丁目倶楽部 2階大広間)
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最初に席亭が登場し、長い挨拶をする。しかも内容はほとんど先日『笑点』のメンバーになった立川晴の輔市の話。今日は誰の会なのか?
一花 駆け込み寺
ダンナの金原亭馬久さんが来秋、真打に昇進する事を生報告する。落語家同士の結婚で良かった事をいくつか挙げる。先輩の落語家から電話があって、「今夜呑むから、馬久は帰らないぞ」と言われても、「?」とならない、お互いの着物を畳める…。
もともとは大師匠の春風亭柳朝が演っていたネタで、新作落語だそうだ。
鎌倉にある東慶寺。ここに女房が駆け込んで3年経つと離縁が成立したという。
ヤキモチが原因で、おかみさんが「いざ鎌倉だよ」と言い残して出ていってしまう。心配になった八五郎は大家に相談する。すると大家は「それは(縁切り寺)へ駆け込んだぞ」と言う。八五郎は東慶寺に向かう。一方、女房が帰って来るとダンナがいない。おばさんに相談すると、また「駆け込んだわよ」という。女房もまた、東慶寺に行く。そして、二人は東慶寺で出逢う。
女房がおばさんに「ダンナが仲直りに手を握ってくれるんです。アタシも握り返す。その晩、余計に燃えるんです」と言うのが艶めかしい。
喧嘩をしつつも実は惚れ合っている夫婦関係のおかしさ、もどかしさを一花さんがユーモラスに描く。
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一花 船徳
一花さん達の一行が長野へ地方公演に行った。その時に泊まった宿坊の噺をマクラに。
本題はネタ下ろし。 船宿のおかみさんが芸者出身だけあって、抜け目なく艶っぽい。 船を石垣につけてしまい、二人の客に怒られた若旦那は「もうやめる」とヘソを曲げる。このあたり、昔流行ったアダルトチルドレンっぽい。
ネタ下ろしらしくなく、一花流の『船徳』として完成されていた。この夏、もっともっと演りこんでブラッシュアップしてほしい。
ー仲入りー
一花 三方一両損
今では絶滅してしまった威勢のいい、いわゆる「江戸っ子」の生態に迫った一席。宵越しの銭は持たねえ江戸っ子達の意地の張り合い、見栄の張り合いは面白くて、ちょっぴり哀しい。 一花さんが喧嘩っ早い江戸っ子を威勢よく、でも下品にはならずに、きれいに演じ切った。