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8月2日(金)林家つる子独演会(日本橋社会教育会館 8Fホール)


小きち  弥次郎
 弥次郎のホラ話を聴くご隠居が「そういうのスキ」「それ好物」などと言う。カワイイ。

つる子  片棒
   9月8日(日)に行われる落語協会のファン感謝デー『謝楽祭2024』に、つる子師も出店する。

 甘味処おつる

 群馬県の菓子舗『扇屋』の協力のもと、「つるサブレー」はもちろん、どら焼きならぬ「つる焼き」、葛棒ならぬ「つる棒」を販売する。
 本篇。圧巻は次男・銀次郎のお祭り騒ぎ。誰一人置いていかないつる落語。手拍子の嵐の中、「ソーレソレソレお祭りだぁー」と美空ひばり『お祭りマンボ』を歌うつる子師。参加型落語は三遊亭白鳥から林家つる子へ受け継がれた。
 マクラが終わり、本篇へ入るあたりから、つる子師の髪が乱れはじめた。話の中盤あたりで髪をすべて解き、結び直す事態に。思いがけなく艶っぽい場面となった。

 

つる子  ミス・ベター
 女子高出身の彼女がもし共学へ行っていたら? という驚愕の妄想全開ラブコメディ。
 トオルが百人の不良を倒す場面。「シュッシュッシュッ」「パンパンパン」などと擬音が多い。果てには「かめはめ波」まで飛び出す。つる子師がいかにマンガに影響を受けてきたかがよく分かる。

ー仲入りー

つる子  酔の夢 
 吉原に人気の易者・ホソキカズオがあらわれる。遊女達がキャッキャ言いながら見てもらっている。易者は人気の花魁・玉菊を占おうとするが、彼女は後輩のヨシノを見てもらおうとする。易者の見立てではヨシノは役者に向いているという。それも男方。玉菊は喜び、今度行われる「吉原俄」(吉原遊廓内で行われる素人芝居)に出なさいよと勧める。役者になるのが夢だったヨシノは一も二もなく承諾する。当日、『仮名手本忠臣蔵』五段目の斧定九郎を見事に演じ切ったヨシノは終演後、玉菊にある想いを口にする。

 完全新作。吉原に実在した人気花魁・玉菊とヨシノの交流を軸に女達の夢の場所の光と影をうつしだす。
 ヨシノは役者志望であったが、金もなく、仕方なく、吉原に身を売る。そこでの日々は「生きていなかった」。夜毎、知らぬ男に身を任せるには、自分を殺すほかなかったのだろう。
 玉菊とその贔屓の役者はヨシノの想いを遂げさせようと一計を案じる。彼女らのお陰である事を成し遂げたヨシノは手を広げながら、ある言葉を口にする。この場面、終演後つる子師に「映画『ショーシャンクの空に』を思い出した」と言ったら、「おお、ありがとうございます」と笑顔で言ってくれた。ひょっとしたら、彼女もこの映画を見ていたのかもしれない。

 玉菊の酔いはさめず、夢もさめない。つる子師が私に魅せてくれる夢はさめないし、つる子師にかけられた魔法はとけない。
 
 

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