4月16日(火)やきもちお楽しみ会(落語・小料理 やきもち)
秋葉原の雑居ビルの一階に佇む小さな花のような店『やきもち』。若手ベテラン問わず数多の芸人があがったこの店の高座。この日の主役は女将の中田志保さんである。予てから稽古に励んでいる日本舞踊を披露するのだ。新進気鋭の古今亭雛菊さんもこの日ばかりは前方として脇役に徹する。
雛菊 片棒
干し豆腐を喉につまらせて熱が出て声が出なくなった話などをマクラに振る。
寄席に決して来ないが故にいくら悪口を言ってもいい、「三棒」の話は師匠・菊之丞譲り。
雛菊さんは『片棒』を菊之丞師から教わった。師匠の前で4回も演ったという。
つる子師匠の『片棒』がお客様を巻き込む「カーニバル」なら、雛菊さんのはニッポンの「まつり」だ。「通夜を2回出す」金太郎から壮大な葬式祭りの銀次郎まで、雛菊さんが丁寧に積み上げ、大きな笑いを生む。ラストは、ややぶっきらぼうな鉄三郎が登場し、思いがけない結末に着地する。
「寄席の広瀬アリス」(笑)と自称する通り、汗を大量に流しながらの熱演。昨年から住吉踊りに参加し、太鼓も習っている彼女。そうした経験が大いに生かされた一席であった。
中田志保(女将) 日本舞踊
「やきもち上品化計画」の一貫として、密かに日本舞踊を習っていた女将さん。「手下」の雛菊さんを前方にして、華麗に踊ってトリを取る。
華麗な踊りを堪能したあとはおまちかねのトークタイム。
雛菊さんとお酒を飲みながら(私はソフトドリンク)、楽しいおしゃべり。雛菊さんが面白おかしく話す師匠・古今亭菊之丞とのエピソードに大笑いしたり感動したり。中でも、師匠をしくじって岐阜まで謝りに行ったというエピソードに驚愕した。
『小料理・落語 やきもち』は食事とともに演芸を楽しめ、演者との距離も近いあたたかい空間。大切にしたい。
古今亭雛菊さんは口は悪いが、ハートのある落語家。美しい成鳥となって天高く羽ばたけ!
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