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4月26日(金)林家つる子・三遊亭わん丈 真打昇進披露興行(池袋演芸場)

 林家木久扇師の教えを守って、つる子師は街頭に立って、笑顔を振りまいていた。池袋という街が少しだけ彼女に微笑がえししてくれたような気がした。




市助  金明竹

市若  微生物(?)


はな平  紀州


世津子  奇術
 
最前列だったので、トランプのカードを引きました。


小せん  ちはやふる 
  


三三  釜どろ
 
マクラでおおよそ次のようなことをおっしゃった。

 噺家がマクラをしゃべると、スグに「紀州」や「ちはやふる」などとササッとプログラムに書き込むお客様がいる。最前列に座るお客様はだいたいそうだ。自分が一番早いと競い合っているようだ。まるで「落語イントロドン」だ。

 この「メモ問題」は数年前に春風亭一之輔師もマクラで指摘していた。


風藤松原  漫才


正蔵  悋気の火の玉
 
女房が藁人形に五寸釘を打ち込みながら叫ぶ。

 根岸のオンナが憎い。海老名香葉子が…。


市馬  長短


ー仲入りー


(高座左より)【司会】三三・白酒・菊之丞・つる子・正蔵・さん喬・市馬  口上
 
この日、さん喬師の代演で菊之丞師匠が口上に並んだ。だが、いない筈のさん喬師がいる!(笑)休む日を間違えたそうな。
 「馬風ドミノ」ならぬ「市馬ドミノ」が実現!
正蔵「つる子の名をつける時、他にも候補があった。一門に林家パー子がいるので『林家ピー子はどうだ?』と聞くと『イヤだ』という。師匠を師匠とも思わない…」 


わん丈  強情灸
 
前座時代、この噺をモノにするために、わん丈師は実際に「峯の灸」を据えにいったそうだ。独自のサゲ。


白酒  新版三十石
 
確実に笑いを取ってゆく。つなぎに徹するチームプレイ。


さん喬  なすとかぼちゃ(踊りのみ)
 
いない筈の人が踊っている!(笑)

菊之丞  たいこ腹


橘之助  浮世節
 
一足早い『両国風景』に拍手喝采。


つる子  ミス・ベター
 
今日も平凡な毎日を送る女子高校生の須藤みなみは神社で「ベタな出来事がたくさん起こるよう」祈る。気まぐれな神様はそれを聞き届ける。
 登校中、不良にカラまれたみなみは謎の男に助けられる。彼は季節はずれの転校生、ナカマトオルだった。雨の帰り道、子猫を助ける彼の姿を見たみなみはときめきを覚える。それを機に二人はつきあいだす。だが、みなみの大学進学とトオルの就職をきっかけに恋は自然消滅する。

 それから五年目の夏!(笑)

 就職先で同僚と話していたみなみは偶然トオルの姿をみつける。彼の仕事の現場はそのビルに会った。運命の再会!だが、トオルには婚約者がいた。

 ベタな展開も立て続けに起これば、特殊化するというパラドックス。永遠に終わらない無限ループを予感させるサゲが秀逸。
 遅刻しそうになったみなみが手拭いをくわえて(いちごジャムを塗ったトーストに見立てている)走るのがカワイイ。
 真打昇進披露興行も終わりが見えてきた。はじめは緊張が目立っていた彼女も、今日この自作の新作落語を選んできた事じたいに「慣れ」と「余裕」を感じる。そして、「フィナーレの予感」という一抹の寂しさをも覚える。
 
 寄席での「林家つる子・三遊亭わん丈真打昇進披露興行」は今月末まで続くが、私にとっては今日が千秋楽である。一人の落語家の真打披露興行に7日も通うのははじめてだが、やり切った感がある。だが、喪失感や虚脱感はない。来月以降もつる子師匠の会に通うからだ。そう、これは終わりではなく、はじまりのはじまりなのだ。林家つる子にとっても私にとっても。

田中篤志が観た【林家つる子真打昇進披露興行】トリネタ

3月21日(木)鈴本演芸場『紺屋高尾』
3月23日(土)鈴本演芸場『しじみ売り』
3月27日(水)鈴本演芸場『おかみさん目線の芝浜』
4月1日(月)末廣亭『しじみ売り』
4月3日(水)末廣亭『中村仲蔵』
4月13日(土)浅草演芸ホール『JOMO』
4月26日(金)池袋演芸場『ミス・ベター』  


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