5月27日(土)第13回 林家つる子独演会@日本橋社会教育会館
たたみ「洒落番頭」
※彼の人生最大のしくじりは三平師に入門した事か(笑)。
つる子「片棒」
※たたみさんがメクリをめくると「林家つる子」の名前が逆になっていた。これが人生2番目のしくじり(笑)。
「ここで皆さんにご報告があります」
シーンとする客席。
「実は昨日、はじめて大相撲を観に行ったんです。」
Twitterでも話題となった、林家あずみさんと大相撲を観に行った顛末を面白おかしく物語る。
ひとしきり笑わせた後、改めて来年の真打昇進を報告する。つる子さんの目に光るものが…。美しい涙だった。
「片棒」は旦那と三兄弟が見事にコントラストを描いた。中でも、二番目の兄のお囃子のくだりでは、お客も手拍子をし、場内は一体に。つる子の参加型落語、ここに極まれり。
つる子「子別れ」
※熊が弔いの帰りに吉原へ行ってから、遊女に出ていかれ、酒をやめ改心するまでをダイジェストで説明する。
亀との再会から語る。
許す許さないの問題。
「許せねえかもしれねえが」
と復縁を求める熊に女房は
「許さない」
と言い放つ。だが、熊が「変わった」事を理由にヨリを戻す事を告げる。
熊がした事は女房にとって到底許せるものではなかろう。それに「許し」を与えず、その上で熊と関係を結び直そうというのだ。男の言いなりにはならない自立した女性像をつる子さんは提示した。
ー仲入りー
つる子「子別れーおしま目線ー」
※マクラなしにいきなり本題に入る。
品川で馴染みの客だった熊五郎がプッツリと来なくなった。おしまは熊が吉原に出入りしていると知り、吉原に移る。そして首尾よく熊と再会する。しばらくして、熊がおしまを身請けしたいと申し出る。やがて始まる長屋での暮らし。だが、女一通りの事ができないおしまにとって、それは地獄の日々の始まりであった。
つる子さんが遊郭を描く時に提示する「嘘と真」がここでも示される。嘘で固めた世界から出てゆき、長屋に真を求めたおしまであったが、結局ここも嘘であったと気づき、遊郭に戻り花魁へと上りつめる。嘘と真が反転し、鮮やかな世界を作り上げた。
林家つる子さんの落語は「受け」の演技がしっかりできていると思う。話している人間だけでなく、その話を聞いた人間の反応・表情がきっちり描けているのだ。リアクションをうまくとらえているから彼女の落語はカラフル且つダイナミックなのである。つる子さんが抜擢で真打になるのもうなずける話だ。