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茅ヶ崎と茅ヶ崎のあいだ〜サザンオールスターズ『茅ヶ崎ライブ2023』から1年

【茅ケ崎以前】

1999年12月30日(木)31日 (金)サザンオールスターズ 年越しライブ 1999『晴れ着 DE ポン』(横浜アリーナ)

 このライブ、私は12月30日(木)31日(金)に参加した。年末の2日間、横浜アリーナに通ったのだ。両日ともSB(ステージバック)席だったが…。
 大晦日のカウントダウンに参加するのははじめてだった。定刻よりやや遅れて、23:45頃、『燃えよドラゴン』のテーマに乗って、メンバーが入場した。1曲目は『女呼んでブギ』。ミレニアムライブならではの気負いや緊張感を吹き飛ばすエッチでコミカルなナンバーに会場は盛り上がる。2曲目の『My Foreplay Music』を経て、『太陽は罪な奴』でカウントダウン。新年を迎えた後は『一月一日』を合唱(「〽とーしーのはーじめーのためしーとてー」)した。

 ライブのMCで桑田佳祐がこんな事を言った。

 今年の夏は茅ケ崎でライブをやりたいんです。

 この後、発言は「茅ヶ崎がダメなら辻堂、辻堂がダメなら平塚」とトーンダウンしていくのだが…。この発言が後に大きなうねりを生み出す事をこのときの桑田をはじめ、横浜アリーナにいた全ての人はまだ知らな
い。

 ライブは後半、ミレニアムメドレーなど、趣向を凝らした楽しい展開になるが、このライブのキモは次の三曲であった。

いとしのエリー
涙のアベニュー
TSUNAMI


 ストリングスが登場し、ピアニストの島健が指揮をするという異例の展開。桑田佳祐がギター1本で『私の世紀末カルテ』を歌うかと思いきや、

 泣かした事もある

 と『いとしのエリー』を歌い出すサプライズ的な演出に客はうなる。
 桑田が「エーリィー」と絶唱した後は、サザン初期の傑作バラード『涙のアベニュー』へ。スクリーンに横浜の風景が映し出される中、歌い続ける桑田佳祐の後ろ姿に胸が熱くなる。
  そして、この時点ではまだリリースされていない『TSUNAMI』が演奏される。桑田佳祐にしか出せない情感・せつなさに心をわしづかみにされる。この曲は「2000年のサザンオールスターズ」を象徴する曲として、1年後の大晦日まで頻繁に耳にすることとなる。

 ライブは、この後、盛り上がりに盛り上がり、『勝手にシンドバッド』で本篇は終了した。アンコールでは「黄色い男」が登場し、大晦日深夜世紀のバカ騒ぎを繰り広げたが『Oh! クラウディア』でせつなく終宴した。この歌のラストは次のように変えられた。

 まるで夢の様な今日の横浜 今日の日をそっと胸に刻むよ みんなと一緒なら、なおのことだよ

 ともあれ、サザンオールスターズにとって激動の2000年は幕を開けた。

①女呼んでブギ

②MY FOREPLAY MUSIC

③太陽は罪な奴

ーMCー

④茅ケ崎に背を向けて

⑤当って砕けろ

⑥朝方ムーンライト

⑦愛する女性とのすれ違い

⑧あっという間の夢のTONIGHT

⑨死体置場でロマンスを

⑩Ya Ya(あの時代 (とき)を忘れない)

ーMCー

⑪ミレニアムメドレー

(1)せつない胸に風が吹いてた

(2)C調言葉に御用心

(3)Bye Bye My Love (U are the one)

(4)Happy Birthday

(5)君だけに夢をもう一度

(6)マチルダBABY

(7)ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)

(8)爆笑アイランド

(9)チャコの海岸物語

(10)そんなヒロシに騙されて

(11)松田の子守唄

(12)涙のキッス

(13)あなただけを~Summer Heartbreak~

(14)LOVE AFFAIR~秘密のデート~

(15)THE END/THE BEATLES

(16)希望の轍

(17)思い過ごしも恋のうち

(18)いなせなロコモーション

⑫いとしのエリー

⑬涙のアベニュー

⑭TSUNAMI

⑮Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)

⑯フリフリ'65

⑰ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)

⑱勝手にシンドバッド

ーアンコールー

⑲イエローマン~星の王子様~

⑳マンピーのG★SPOT

㉑Oh!クラウディア

【2000年】

 桑田の「茅ヶ崎でライブをやりたい」という発言を受けて、茅ヶ崎では署名運動が始まる。それはさながら市民運動の様相を呈し、5万人以上の署名を集める。その声は茅ヶ崎市を動かし、アミューズやビクターを動かし、ここに『サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ』が実現される運びとなった。

2000年8月19日(土)サザンオールスターズ 茅ヶ崎ライブ (茅ヶ崎公園野球場)

 茅ヶ崎駅の改札口を出ると頭上に

 おかえりなさい桑田佳祐

 の横断幕が掲げられていた。目頭が熱くなる。ライブはすでに始まっていたのだ。昼前に着いたが、球場への道はすでにサザンファンでひしめいていた。通り沿いの店からはサザンがかかり、街中がライブ会場となっていた。
 今のうみかぜテラスが建っているあたりに当時はテニスコートがあった。ここでグッズや飲食の販売テントが設けられていた。グッズを買うために並んでいると球場からリハーサルが聴こえてきた。何を演るのか分かっちゃった。
 17:00。伝説のライブは始まった。茅ヶ崎で「小川道場」を営む小川直也の「3・2・1ハッスルハッスル」や福山雅治による開会宣言に続き、サザンオールスターズのメンバーが自転車で登場した。1曲目の『希望の轍』から最高潮!『いなせなロコモーション』『みんなのうた』と会場のボルテージはいきなりMAXに達する。
 MCの後、まだ日が高い内は照明が効かないので、イントロ一発でメンバーと観客がわかり合えるようなナンバーが続く。『勝手にシンドバッド』へ向けて時が巻き戻されてゆく。
 このライブで沁みたのはアコースティックコーナー。

メロディ (Melody)
冷たい夏
SEA SIDE WOMAN BLUES
ラチエン通りのシスター

  しばらくライブで演奏されてなかった『メロディ(Melody)』から 、桑田佳祐の初恋を歌った御当地・茅ヶ崎を舞台にした『ラチエン通りのシスター』まで、珠玉のバラードを桑田がアコギを弾きながら、丁寧に歌った。この後、『真夏の果実』で感情のたかぶりはMAXに達する。
 サザンオールスターズ最大のヒットとなった『TSUNAMI』、このライブで完成形を見た『HOTEL PACIFIC』から『マンピーのG★SPOT』へ、最高の盛り上がりで駆け抜けた。
 アンコールも名残惜しい気持ちを胸に『心を込めて花束を』を以て大団円となった。ライブ後の充実感と喪失感と疲労が入り混じる中、高砂通りを茅ヶ崎駅へ向かって歩いた事である。

①希望の轍

②いなせなロコモーション

③みんなのうた

ーMCー

④茅ヶ崎に背を向けて

⑤YOU

⑥海

⑦涙のキッス(メドレー)

⑧夏をあきらめて

⑨C調言葉に御用心

⑩チャコの海岸物語

⑪思い過ごしも恋のうち

⑫気分しだいで責めないで

⑬勝手にシンドバッド

ーMCー

⑭鎌倉物語

⑮NO-NO-YEAH / GO-GO-YEAH

⑯爆笑アイランド

⑰イエローマン~星の王子様~

ーMCー

⑱虫歯のブルース~インディアン狂想曲[MEDLEY]

⑲SE~通りゃんせ

⑳愛の言霊(ことだま)~Spiritual Message~

㉑メロディ (Melody)

㉒冷たい夏

㉓SEA SIDE WOMAN BLUES

㉔ラチエン通りのシスター

㉕真夏の果実

㉖TSUNAMI

㉗HOTEL PACIFIC

㉘SE~ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)

㉙マチルダBABY

㉚フリフリ'65

㉛ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)

㉜マンピーのG★SPOT

ーアンコールー

㉝LOVE AFFAIR ~秘密のデート~

㉞夕方HOLD ON ME

㉟いとしのエリー

ーMCー

㊱心を込めて花束を

  この年の大晦日、サザンオールスターズは『TSUNAMI』で自身初のレコード大賞を受賞した。そして、大騒ぎの2000年は年越しライブ 00~01 『ゴン太君のつどい』で賑やかに終わり、21世紀を迎える事になる。

【2013年】

  サザンオールスターズ35周年。『  サザンオールスターズ SUPER SUMMER LIVE 2013「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」』が開催される。茅ヶ崎でも公演が行なわれたが、私は8月10日(土)横浜公演(日産スタジアム)に行ったため、茅ヶ崎公演(茅ヶ崎公園野球場)には行かなかった。

【2023年】

 サザンオールスターズ45周年。『茅ヶ崎ライブ2023』の詳細は、もしよろしければ下記の投稿をお読みください。

【2024年】

2024年10月1日(火)サザンオールスターズ『茅ヶ崎ライブ2023』から1年

 自宅でBlu-rayを見た。再生ボタンを押せば蘇る情熱が弾けそうな仲秋の夜。落ち着いて見るつもりが加山雄三『君といつまでも』でメンバー登場した途端、胸が熱くなる。
『C調言葉に御用心』ではのっけからトップギアになった。『いとしのエリー』ではジーンとした。『栞のテーマ』には酔いしれた。『真夏の果実』では熱い涙を流した。『盆ギリ恋歌』のダンスは忘れていなかった。『みんなのうた』ではサビで手を左右に振った。そして、『勝手にシンドバッド』のお祭り騒ぎで大団円。
 あの秋の光と影はどこにも行っちゃいなかった。あの日の海が空が茅ヶ崎名物の松が、そしてエボシ岩が、ちゃんとそこにあった。サザンビーチへと吹く砂まじりの風がサザンオールスターズの音楽を運んでくれた。
 
 あの日から1年経って、まだ次のライブに行けていない。

 だけど、大丈夫。夏はまた来る。


 



 

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