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11月2日(木)林家つる子 独演会 つる子の芝浜(かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール)


歌きち  初天神

つる子  やかん
 知ったかぶりの人間が生半可な知識(?)を振り回すとおそろしい。
 つる子師の『やかん』は「愚者」のクダリから「嫁入り」「鯨」の名の由来を経て、「やかん」へと至る。「人が出たの出ないの」「猫も杓子も」「鰻の蒲焼き」などの話を彼女はしない。つる子流の取捨選択の結果、スタイリッシュな『やかん』が完成した。

つる子  箱入り
 バカは隣の火事より怖い(立川談志)。
 和泉屋の一人娘・お静は無知で世間知らずなだけではなく、与えられた指示を手前勝手に解釈して間違えた行動を取り、結果、深刻な事態を引き起こす。まわりにいる人間がふりまわされる。彼女が家庭において大過なく(あったのかもしれないが…)生活できたのは、身の回りのことを両親(特に母親)がしてくれていたからである。過保護は子供本人だけでなく、周りの人にも悪影響を与える。
 

ー仲入りー

つる子  おかみさん目線の芝浜
 大家さんのもとに魚屋の勝五郎がやってくる。二人で話している。大家がお光を勝に紹介する。次第に惹かれ合う二人。大家の家で酒を呑んだのをきっかけに二人は夫婦となる。だが、岩田のご隠居と喧嘩した事をきっかけに勝は仕事を休みがちになる。そんなある日、お光がご隠居の家に飛び込んでくる。勝が浜で財布を拾ったというのだ。

 春の真打昇進披露興行の時は寄席サイズの30分ヴァージョンだったが、今日はたっぷり約1時間。本来の『芝浜』を裏打ちするようなアナザーストーリーなのだが、幾度も聴いているとこちらの方が本来のカタチのような気がしてくる。つる子師の想像力と語りのうまさの賜物である。

サイン入りコースター(『反対俥』)を手にニッコリ。


 
 

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