11月17日(日)第8回小田原福泉寺落語会 林家つる子独演会
つる子 やかん
前回、つる子師がこの寺で演ったのは昨年4月。ちょうど真打昇進が発表された時期だった。後に同時に昇進した三遊亭わん丈師もここで会を行っている。福泉寺は幸福を呼ぶ寺だ。
八五郎がご隠居のもとに来て根掘り葉掘り聞く。ご隠居は知ったかぶりのデタラメを次々と開陳するが、妙なテンションになってゆき、果てには講釈まで登場する。
ナンセンスな落語だが、つる子師がハイテンションのままサゲまで突っ走る。
つる子 箱入り
前座時代、つる子さんは師匠・林家正蔵宅で台所の手伝いをしていた。すると、おかみさんの海老名香葉子さんが
「つるちゃん、オテショ取って頂戴」
と頼んだ。さあ、つるちゃん困っちゃった。考えた末、彼女がおかみさんに差し出したモノとは?
ちなみに「オテショ」とは小さなお手塩皿の事である。
『箱入り』はこのところつる子師がよくかける噺である。周囲を振ります無知という名の怪獣のようなお嬢様・お静の破壊力は相変わらずすさまじい。
ー仲入りー
つる子 ねずみ
仙台へやって来た左甚五郎が父子で営む小さな宿屋「ねずみ屋」で巻き起こすやさしい奇蹟。
先程の『箱入り』つる子師が演じる子供は圧倒的にカワイイ。そしてけなげでかなしい。
師匠・正蔵から受け継いだ噺だが、つる子師は師匠からこの噺に一貫して流れる「やさしさ」をも受け継いだようだ。旅に出たくなる一席。そして、人間をもう一度信じたくなる一席でもある。